「parity(パリティ)」。
国際ニュースで「ジェンダー・パリティ(男女格差の是正)」や、為替の「ドルとユーロのパリティ(等価水準)」という形でよく見かける単語です。専門用語に見えて、実は誰でも知っている2つの言葉とまったく同じ語源を持っています。
その2つとは、靴や靴下の「ペア(pair)」と、ゴルフの基準打数「パー(par)」。この入り口を押さえると、parity を起点にした仲間が芋づる式に広がります。
※ なお、見た目が似ている repair(修理する)と impair(損なう)は、語源がまったく別の「偽の友」です。この記事ではそこにも触れています。
parity を分解してイメージで覚える
parity をパーツに分けると、非常にシンプルです。
par(等しい)+ -ity(〜な状態・性質)
語源の核はラテン語 par(等しい、同等の)。これは英語の日常に、いくつもの顔で入り込んでいます。
- pair(ペア):もともと「等しい釣り合いを持つ2つのセット(paria)」。2つが揃って1つになる、あの感覚がそのままです。
- par(パー):ゴルフのコース基準打数。「基準と等しいスコア」という意味そのもの。スコアカードに書く「イーブン(±0)」のイメージです。
この par に「〜な状態(-ity)」を足したのが parity(等しい状態 = 同等、均衡、平等)。
イメージするなら、「両側がピタリと釣り合った天秤」。どちらにも傾かず、対等でバランスが取れている状態です。
parity の基本の意味と使い方
parity は主に3つの文脈で使われます。
① 社会・経済の「平等・格差是正」
ニュースで最も多い用法です。
- gender pay parity(男女間の賃金の同等性)
- reach parity with …(〜と同等の水準に達する)
Today, companies are being asked to report on gender pay parity.
(今日、企業は男女の賃金格差の状況を報告するよう求められている。)
② 金融・為替の「等価」
異なる通貨の価値が1対1で釣り合う水準を指します。
The euro fell toward parity with the US dollar.
(ユーロは米ドルと等価の水準に向けて下落した。)
③ IT・通信の「パリティチェック(誤り検出)」
コンピュータで送受信データの誤りを検出する仕組み(パリティビット)。「偶数か奇数かの釣り合い」で確認します。
「ペア」「パー」「天秤」・・・どの用法でも、「2つのものが対等に釣り合う」というイメージが根っこにあります。
“par(等しい)” でつながる単語ネットワーク
par を知っておくと、別ジャンルに見える単語が一本の線でつながります。
| 単語 | 語源構造 | イメージ | 意味 |
|---|---|---|---|
| parity | par(等しい)+ -ity | 等しい状態 | 同等、均衡、平等 |
| disparity | dis-(非)+ parity | 等しくない状態 | 格差、不均衡、相違 |
| pair | par → paria(等しい組) | 釣り合う2つ | ペア、一対、一組 |
| peer | par(等しい人) | 立場が同等な人 | 同僚、仲間、同等の者 |
| compare | com-(共に)+ par | 2つを対等に並べる | 比較する、比べる |
| comparable | compare + -able | 並べて比べられるほど等しい | 同等の、比較できる |
| disparage | dis- + parage(対等の身分) | 相手を「同等でない」と見る | けなす、見下す、軽視する |
「par が入っていたら、どこかに”等しい・釣り合い”の話がある」と見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。
※ repair(修理する)は re + parare(整える・準備する)、impair(損なう)は in + pejor(より悪い)が語源で、par(等しい)とは別ルートです。形が似ているだけの「偽の友」なので注意してください。
派生語|parity まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| parity | 名詞 | 同等性、均衡、平等 | パリティ /ˈpærəti/ |
| disparity | 名詞 | 格差、不均衡 | ディスパリティ /dɪˈspærəti/ |
| par | 名詞 | 同等、基準打数、標準 | パー /pɑːr/ |
| on a par with | 熟語 | 〜と同等で、〜に匹敵して | ― |
| peer | 名詞 | 同等の者、仲間 | ピア /pɪər/ |
| compare | 動詞 | 比較する | コンペア /kəmˈpɛər/ |
| comparable | 形容詞 | 同等の、比較できる | コンパラブル /ˈkɒmpərəbl/ |
熟語 on a par with(〜と同等で) は TOEIC・ビジネス英語で頻出なので、parity とセットで押さえておくと実用的です。
TOEIC・英検での出題傾向
parity・disparity ともに、試験で確実に押さえておきたい語です。
英検(準1級〜1級)では、社会問題・経済格差・ジェンダー平等を扱う長文で parity と disparity が頻出します。economic disparity(経済格差)、income disparity(所得格差)はライティングでも使える必須表現です。
TOEIC L&R では、Part 7 のビジネス記事や社内報で on a par with や comparable が登場し、言い換え問題の正解の鍵になります。parity 単体より、「同等」「均衡」という概念をフレーズで問う形が多いので、熟語ごと覚えておくのが実戦的です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- The union fought for wage parity across all branches.
- Women have not yet achieved parity with men in political representation.
- The new software is on a par with its competitors in terms of speed.
- The country aims to reach economic parity with its neighbors.
- The report highlighted the growing disparity between rich and poor.
- He treats all his colleagues as peers, regardless of their title.
- Both currencies traded near parity throughout the week.
- It is unfair to disparage someone’s sincere efforts.
- The two products are comparable in quality, but differ in price.
- True parity in education requires equal access to resources.
語源メモ|「ゴルフのパー」と「同僚」はどこでつながるか
ラテン語の par は、古代ローマで単に「数値が等しい」というだけでなく、「人の権利や身分が対等である」ことを指す言葉でした。
中世の貴族社会では、同じ階級の仲間を peer(貴族・同僚) と呼び、そこから現代の「ピアサポート(仲間による支援)」や「ピアレビュー(同僚による査読)」という言葉が生まれました。
相手を対等な仲間(peer)として扱わず「自分より下だ」と見なす動作を表す動詞が disparage(けなす・見下す)。dis-(対等でない)+ parage(同等の身分)という構造です。
スポーツの世界では、20世紀初頭のアメリカのゴルフ界で「コースの理想の基準スコア」を「基準と等しい」という意味で par(パー) と呼ぶようになりました。
「パー(基準)」「ペア(一組)」「ピア(同僚)」。すべては古代ローマの「対等に釣り合う(par)」という感覚から広がった言葉です。
なお、repair(修理する)は re + parare(整える)、impair(損なう)は in + pejor(より悪い)と、par(等しい)とは別の語源です。「形が似ていても別ルート」という偽の友の典型なので、混同しないよう語源メモに残しておきます。
まとめ
- parity は par(等しい)+ -ity(状態) で「同等、均衡、平等」。
- 語源の核はラテン語 par。ゴルフの par(パー)、靴の pair(ペア)、仕事の peer(ピア) と同根。
- 対義語の disparity(格差)、熟語の on a par with(〜と同等の) をセットで。
- repair・impair は別語源。混同しないことが parity を本当に覚える一歩。
一語の「釣り合い」のイメージが、社会問題から金融・IT まで横断していく。それが par 一族の面白さです。

- 語源・中心:par(等しい)+ -ity(状態)=「釣り合う天秤」
- 身近なカタカナ:par(ゴルフの基準打数)/ pair(一対・一組)/ peer(同僚・対等の者)
- par 一族:disparity(格差)/ compare(比較する)/ comparable(匹敵する)/ disparage(見下す)
- 重要フレーズ:gender parity / on a par with / pay parity
関連記事(内部リンク)
- disparity の語源(格差・不均衡)→ (近日中に公開)
- compare の語源(比較する)→ (近日中に公開)
- peer の語源(同僚・仲間)→ (近日中に公開)
- 英単語の語源・パーツ分解 全リスト 👇 → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/

翻訳練習の解答例
- 組合はすべての支部における賃金の均等を求めて闘った。
- 女性は政治参加の面において、男性との対等な立場をまだ達成していない。
- その新しいソフトウェアは、速度の面で競合他社と同等の水準にある。
- その国は、近隣諸国との経済的な均衡に達することを目指している。
- その報告書は、富裕層と貧困層の間で拡大する格差(disparity)を強調した。
- 彼は肩書に関係なく、すべての同僚を対等な仲間(peers)として扱う。
- 両通貨は一週間を通じて、ほぼ等価(1対1の水準)で取引された。
- 誰かの誠実な努力を見下す(disparage)ことは不公平だ。
- その2つの製品は品質の点では同等(comparable)だが、価格が異なる。
- 教育における真の平等(parity)には、資源への公平なアクセスが必要だ。


