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【語源で覚える】satisfactory|中に「factory(工場)」が隠れています

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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ファクトリー(工場)、ファクト(事実)。どちらも日本語になっているカタカナ語ですよね。

では、こちらの単語を見てください。

satis-factory

後半、まるごと factory です。工場の factory とまったく同じ綴り。

そして面白いのは、これが偶然のそら似ではないこと。satisfactory の fact と、factory の fact と、ファクト(事実)の fact は、全部ひとつの同じ語源からきています。「作る・する」という意味です。

「満足のいく」という日本語訳だけ覚えていると、この単語はただの長い綴りです。でも「十分に(satis)作られている(fact)」と見えた瞬間、意味も綴りも、同時に腰が据わります。

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satisfactory を分解してイメージで覚える|中の “fact” は、あの fact

パーツで見るとこうなります。

satis(十分に)+ fact(作る・する)+ ory(〜の性質の)

satis は「十分な」。fact は「作る・する」。合わせて「十分に作られている」「やるべきことが十分になされている」。それが「満足のいく」です。

ここで入り口として使えるのが、ファクトとファクトリーです。

  • fact(事実)・・・「なされたこと」。実際に起きてしまったこと
  • factory(工場)・・・「作る場所」
  • satisfactory・・・「十分に作られている」→ 満足のいく

3つとも真ん中は同じ「作る」。工場と事実と満足が、一本の線でつながります。

覚え方の手がかりとしては、こう置いてみてください。「十分に作ってある=文句なし」。注文どおりのものが、ちゃんと仕上がって出てきた。だから満足。そういう絵です。

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satisfactory の基本の意味と使い方

satisfactory は「満足のいく」「十分な」「申し分ない」を表す形容詞です。

  • a satisfactory explanation(納得のいく説明)
  • satisfactory results(満足のいく結果)
  • in satisfactory condition(良好な状態で)
  • satisfactory to both sides(双方にとって満足のいく)

使うときに1つだけ覚えておきたいことがあります。satisfactory は「基準を満たしている」という意味合いが強く、ほめ言葉としては意外と控えめです。

学校の成績表や業務評価で satisfactory が付いたら、それは「優」ではなく「可」に近い。「問題なし、合格ライン」という温度感です。語源に戻れば納得できます。「十分に作られている」であって、「期待を超えている」ではないからです。

心から「よかった」と伝えたいときは、great・excellent・outstanding のほうが届きます。

使い分け|satisfactory・satisfying・satisfied

同じ satisfy の家族ですが、役割が違います。ここは TOEIC でも狙われるところです。

語意味の中心例
satisfactory基準を満たしている(客観)The results were satisfactory.(結果は十分だった)
satisfying心を満たしてくれる(感情)a satisfying meal(満ち足りる食事)
satisfied人が満足している(状態)I’m satisfied with it.(それに満足しています)

ざっくり言えば、satisfactory は「合格」、satisfying は「じんわり嬉しい」、satisfied は「私は満足」。並べて一度言ってみると、混ざらなくなります。

fact(作る・する)でつながる単語ネットワーク

真ん中の fact(ラテン語 facere=作る・する)は、英語でもっとも子だくさんな語根の一つです。知っている単語がずらりと並びます。

単語意味イメージ
fact事実なされたこと
factory工場作る場所
factor要因、要素結果を作り出すもの
manufacture製造するmanu(手)+fact=手で作る
effect効果、結果ef(外へ)+fect=外に作り出されたもの
perfect完璧なper(すっかり)+fect=すっかり作り終えた
defect欠陥de(離れて)+fect=作りが足りない
infect感染させるin(中に)+fect=中に入れて作用させる
difficult難しいdif(〜でない)+fic=簡単にはできない
benefit利益、恩恵bene(良く)+fit=良くしてくれるもの
profit利益pro(前へ)+fit=前に進んで生まれるもの
faculty能力、学部できる力

perfect が「すっかり作り終えた」だと腑に落ちると、satisfactory との距離感も見えてきます。perfect は作り切った状態、satisfactory は十分に作ってある状態。満点と合格点の差が、語源にそのまま出ています。

fact・fect・fic・fit が見えたら、たぶん「作る・する」の話。 こう構えておくと、初見の単語でも半分は意味が読めます。

satis(十分)でつながる単語ネットワーク

もう一方の satis(十分な)をたどると、意外な顔ぶれが出てきます。

単語意味語源
satisfy満足させるsatis〈十分〉+facere〈する〉
satisfaction満足satisfy の名詞形
satiate満腹にさせる、飽きさせるsatis と同じ根
satiety満腹、飽き満ち足りた状態
saturate飽和させる、染み込ませるsatur〈満ちた〉=これ以上入らない
insatiable飽くことを知らないin(〜でない)+satiable
asset資産ad〈〜まで〉+satis〈十分〉=十分にあるもの
sad悲しい古英語 sæd〈満腹の・飽きた〉

最後の2つが、この単語の裏の主役です。

asset(資産) は、俗ラテン語の ad satis「十分なところまで」から来ています。もともとは法律用語で「借金や遺贈を払うのに十分な財産」という意味でした。十分にある、だから資産。satisfactory と同じ satis です。 etymonline

そして sad(悲しい)。古英語 sæd は「満腹の、満ち足りた、(もう)うんざりした」という意味で、satis と同じPIE語根 *sa-「満足させる」にさかのぼります。満ち足りる、の先にある「もう十分だ・・・」という気だるさ。そこから「悲しい」へ傾いていきました。 etymonline

満足と悲しみが、同じ根っこから枝分かれしている。人の気持ちの不思議が、そのまま単語に化石化しているようで、ちょっと見事です。

※ sad はラテン語経由ではなく、ゲルマン語を通って英語に入りました。satisfactory の直接の親戚ではなく、はるか上流で合流する遠い親戚にあたります。

派生語|satisfactory まわり

単語品詞意味発音
satisfactory形容詞満足のいく、十分なサティスファクトリー /ˌsætɪsˈfæktəri/
unsatisfactory形容詞不十分な、不満足なアンサティスファクトリー /ˌʌnsætɪsˈfæktəri/
satisfactorily副詞満足のいくようにサティスファクトリリー /ˌsætɪsˈfæktərəli/
satisfy動詞満足させる、満たすサティスファイ /ˈsætɪsfaɪ/
satisfaction名詞満足サティスファクション /ˌsætɪsˈfækʃən/
satisfied形容詞満足したサティスファイド /ˈsætɪsfaɪd/
satisfying形容詞満足を与えるサティスファイイング /ˈsætɪsfaɪɪŋ/
dissatisfaction名詞不満ディスサティスファクション /ˌdɪssætɪsˈfækʃən/

fact/factoryの形がそのまま残る単語一覧

satisfactoryで見つけた「factory」はひとつの入口に過ぎません。実はfactの綴りをそのまま残した単語が、身近な語からビジネス語まで点在しています。読者が一目で「あ、ここにもfactがいる」と気づけるものだけに絞りました。

単語品詞意味語源メモ
factory名詞工場facere+-ory(場所)=「作る場所」(satisfactoryの発見語)
factor名詞要因、仲介者facere「作る・行う」の行為者名詞
factorial名詞階乗factor+-ial
satisfaction名詞満足satis(十分)+facere=「十分に満たす」
manufacture動詞/名詞製造するmanu(手で)+facere=「手で作る」
artifact名詞人工物arte(技術で)+factum
benefactor名詞恩人bene(良く)+facere=「良いことをする人」
malefactor名詞悪事を働く者male(悪く)+facere

TOEIC・英検での出題傾向

TOEIC では、ビジネス文書の定型表現として安定して出ます。satisfactory results、a satisfactory solution、satisfactory performance、satisfactory completion of the contract(契約の滞りない履行)あたりは、Part 7 の通知文・報告書で見かける形です。

品詞問題でも狙われます。satisfy(動詞)/satisfaction(名詞)/satisfactory(形容詞)/satisfactorily(副詞)の4点セットは、空所の前後を見て選ばせる典型パターンです。満足の家族だけで一問作れてしまうので、形を揃えて覚えておくと得をします。

英検では2級〜準1級あたりの長文でよく登場します。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Your explanation was clear and satisfactory.
  2. The test results were satisfactory, and the whole team felt relieved.
  3. We reached a satisfactory agreement with the client.
  4. A satisfactory answer does not have to be a perfect one.
  5. She found a satisfactory solution in a single afternoon.
  6. If today’s work is satisfactory, you have done enough.
  7. The hotel was simple, but the service was satisfactory.
  8. His condition is satisfactory, and he is getting better every day.
  9. Keep going until the result feels satisfactory to you.
  10. Steady progress is often more satisfactory than a rushed success.

語源メモ|satisfacere と factorium

satisfactory は、中世ラテン語 satisfactorius から来ています。これはラテン語 satisfactus(satisfacere の過去分詞)に由来し、satisfacere は「完全に果たす、従う、償う」、文字通りには「十分にする」という意味でした。 etymonline

satisfacere を分けると、satis「十分な」+ facere「作る、する、行う」です。 etymonline

英語に入ったのは15世紀半ば。当初は「罪を償うことができる、贖罪の」という宗教的な意味でした。「要求を満たす、十分な」の意味は1630年代から、「満足を与える」は1660年代からです。もともとは「罪を十分に埋め合わせる」話だったわけです。 etymonline

一方の factory は、1550年代に「大農場の管理事務所」の意味で入り、フランス語 factorie を経て後期ラテン語 factorium(代理人の事務所、油搾り場)に由来します。factorium は factor「行う人、作り手」から、factor は facere の過去分詞幹から作られました。「商品を作る建物」という今の意味は1610年代からです。 etymonline

-ory の部分について、一つだけ正確に。 factory の -ory はラテン語 -orium(〜する場所)、satisfactory の -ory は -orius(〜する性質の)で、形は似ていますが役割が違います。同じ「fact(作る)」を共有していることは確かですが、「factory という単語がそのまま入っている」わけではなく、「fact という同じ部品を使い、たまたま後ろの形も揃った」が正確なところです。見た目のインパクトはそのまま、説明だけ一段深く持っておくと安心です。

なお fact(事実)は、ラテン語 factum「出来事、行為、なしとげたこと」から。factus(facere の過去分詞)の中性形を名詞として使ったもので、語源的には「なされたこと」です。事実とは「すでに作られてしまったもの」・・・そう思うと、ファクトという言葉の重さが少し変わって見えます。 etymonline

まとめ

satisfactory は、satis(十分に)+ fact(作る)+ ory で「十分に作られている」=満足のいく、申し分ない。

  • fact(facere)・・・作る・する。fact/factory/effect/perfect/manufacture の一族へ
  • satis・・・十分な。satisfy/saturate/asset、そして遠縁の sad へ
  • 使うときの注意・・・satisfactory は「合格ライン」。最大級のほめ言葉ではない

工場(factory)も、事実(fact)も、満足(satisfactory)も、真ん中は「作る」。十分に作ってあれば、人は満足する。シンプルな話です。

satisfactory の語源ワードマップ。中心は satisfactory(=十分に作られている、満足のいく)で、
satis(十分に)+fact(作る・する)+ory に分解。fact(作る)系(fact / factory / factor /
manufacture / effect / perfect / defect / benefit)、satis(十分)系(satisfy / satisfaction /
saturate / satiate / asset / sad)、覚え方のヒント(後半に factory が見える/satisfactory は
合格ラインを表す語)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:satis(十分に)+ fact(作る)+ ory =「十分に作られている」
  • 覚え方のヒント:後半に factory(工場)が見える。fact は本当に同じ語源
  • fact(作る)一族:fact/factory/factor/manufacture/effect/perfect/defect/benefit
  • satis(十分)一族:satisfy/satisfaction/saturate/satiate/asset/sad

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集録語彙リスト

この単語は TSL(TOEIC) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。ビジネスでもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。

TSL(TOEIC Service List)集録語

この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)集録語

この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project