英単語を覚えるのに最も効果的な方法は何か。それは音読筆写です。声を出して発音しながら単語を書く。実に単純な作業ですが、脳科学の世界では、これが最も効果的であると言われます。
ここ数年、学生と英語を勉強していて、驚いたことが1つあります。それは、大学に入るまで、音読筆写を1度もしたことがない学生が圧倒的に多いということです。こうした学生は、極度に英語が苦手です。
私は今でこそ英語を教えていますが、中学1年生の1学期と2学期は、英語の成績が5段階で「2」でした。英語の勉強の仕方もわからないまま年末を迎えました。そして、冬休みに入った頃、無性に英単語を書きたくなったのです。
12月末から1月末まで、ひたすら英単語の音読をしながら書き写していたら、3学期の期末テストで95点取れたのです。
その後英単語を書き写すだけではなく、英文を書き写したり、そうして教科書を覚えているうちに英語の成績は5段階で「5」になりました。
音読筆写が英語の勉強に効果的な理由
音読筆写がなぜ効果的なのか。それにははっきりした理由があるのです。
- 書くことで、音読の速度がゆっくりになる
- アルファベットを1つずつ書き写す段階から、2つ以上のアルファベットを書き写すようになることで、単語を分割する習慣が付く
- 分割する習慣が付くことで、つづりと発音の関係に気づく
- 徐々に単語を移すのが速くなり、そのうち発音を聞くだけでつづりが書けるようになる
- 速く書き写すようになると、発音する回数と書く回数が増え、単語の発音、つづり、意味が定着しやすくなる。
音読筆写の実例と効果
具体的に考えてみましょう。speakという単語を書き写す場合、最初は
s→s
p→p
e→e
a→a
k→k
とアルファベットを1つずつ書き写すところから始まります。そのうち、
sp→sp
ea→ea
k→k
と書き写せるようになると、「そうか、eaは<イー>と伸ばす音なんだ」となります。英単語のつづりと発音には一定の規則があります。かたまりでアルファベットを書き写すことで、どのかたまりなら、どんな発音になるのかがだんだんわかって来るわけです。
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この習慣が付くと、発音記号を覚えるのも早くなります。辞書の発音記号を見て正しい発音に近づいていくようになります。
英語が苦手でどうしようもないという人は、単語帳を作る前に、英単語の音読筆写をしてみてください。これは英語以外の外国語でも同じことです。英語が嫌いであれば、別の言語を同じように勉強すると一か月程度でもかなりの効果が確認できます。
ただ、bとd、pとqの区別がしにくいという人がよくいます。そういう方は、何度も英単語の発音を繰り替えしながら覚え、できるようになったら音読筆写を始めるとよいでしょう。
関連リンク:英単語 つづりと音の関係(フォニックス)