コートやジャケットで馴染みのある「リバーシブル」。 実はこの言葉、ビジネス英語やTOEICで難関とされる “adverse(不利な、逆境の)” と、根っこで繋がっていることをご存知でしょうか?
「裏返せる」という日常的なイメージから、一歩進んだ語彙力を手に入れるリスキリング術を解説します。
- リバーシブルの語源|「向きを変える」本質イメージ
- 「-vers / -vert」は回転のイメージ
- 【語源の繋がり】リバーシブルから adverse(逆境)へ|中共以上の単語へのつながり
- reversible を分解してイメージで覚える|VS との意外なつながり
- reversible の基本の意味と使い方
- 使い分け|reverse・reversible・irreversible・versus
- “vers(向きを変える)” でつながる単語ネットワーク
- 派生語 Word Family
- TOEIC・英検での傾向
- 英文で確認|翻訳練習10問
- 語源メモ|reverse から reversible へ、そして versus
- まとめ
- 関連記事
- 翻訳練習の解答
- 収録リスト
リバーシブルの語源|「向きを変える」本質イメージ
リバーシブル(reversible)は、以下のパーツから成り立っています。
- re-(後ろへ・再び)
- -vers(向きを変える・回る)
- -ible(〜できる)
つまり、「向きを後ろ(反対)に変えることができる」のが本質的な意味です。
「-vers / -vert」は回転のイメージ
この -vers という語根は、ラテン語の vertere(回る)に由来します。 「クルッと回って向きが変わる」イメージを持つと、他の難解な単語も一気に覚えやすくなります。
【語源の繋がり】リバーシブルから adverse(逆境)へ|中共以上の単語へのつながり
コートやジャケットでおなじみの「リバーシブル」。裏返しても着られる、あの便利な服ですね。
実はこの reversible、スポーツや対戦でよく見る「A VS B」の VS と、同じ部品でできています。服の裏表と対戦カード。まったく関係なさそうな二つが、真ん中の vers(向きを変える) でつながっているんです。
ここがわかると、reversible は「服の用語」から一歩進んで、「元に戻せる」「やり直せる」という、英語で本当によく使われる意味まで見えてきます。
※ 同じ vers の仲間には、別記事で紹介している adverse(不利な)や anniversary(記念日)もいます。この記事では「くるっと向きを変える」動きそのものと、VS とのつながりを中心にお話しします。
reversible を分解してイメージで覚える|VS との意外なつながり
reversible をパーツに分けると、こうなります。
re(後ろへ・元へ)+ vers(向きを変える)+ ible(〜できる)
「向きを後ろへ変えることができる」。つまり、裏返せる、元の向きに戻せる、という意味です。
では、VS はどうでしょう。VS は versus の略で、もとは「〜のほうへ向けられた」「〜に対して」という意味のラテン語です。
二つを並べると、動きの違いがよくわかります。
- reversible・・・くるっと後ろへ向きを変える(裏返す・元に戻す)
- versus(VS)・・・くるっと相手のほうへ向き直る(向かい合う・対戦する)
どちらも「向きを変える」vers の動き。リング上で二人の選手が向き合う場面を思い浮かべると、VS の中に vers がいるのが腑に落ちます。
reversible の基本の意味と使い方
reversible は「逆にできる」「元に戻せる」「裏返して使える」を表す形容詞です。
- a reversible jacket(リバーシブルのジャケット)
- a reversible decision(あとから取り消せる決定)
- The change is reversible.(その変化は元に戻せる)
日本語の「リバーシブル」は服のイメージがほとんどですが、英語ではむしろ「元に戻せる・やり直しがきく」の意味で広く使われます。医療の話で「回復できる症状」、化学で「逆向きにも進む反応(reversible reaction)」、ビジネスで「取り消せる判断」など、場面を選ばない便利な一語です。
使い分け|reverse・reversible・irreversible・versus
形の似た4語を、並べて整理しておきましょう。
| 単語 | 品詞 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|---|
| reverse | 動詞・名詞・形容詞 | 逆にする、逆、反対の | 向きを後ろへ変える動きそのもの |
| reversible | 形容詞 | 裏返せる、元に戻せる | 後ろへ向きを変えることが「できる」 |
| irreversible | 形容詞 | 元に戻せない、取り返しがつかない | ir(〜でない)+reversible |
| versus(vs.) | 前置詞 | 〜対〜、〜に対して | 相手のほうへ向き直る |
reversible と irreversible は、ちょうど表と裏の関係です。「その変化は戻せるのか、戻せないのか」を語るときに、セットでよく登場します。

“vers(向きを変える)” でつながる単語ネットワーク
vers/vert(回る・向きを変える)を知っておくと、別ジャンルに見える単語がまとめてつながります。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| versus | 〜対〜 | 相手のほうへ向き直る |
| reverse | 逆にする | re(後ろへ)+vers |
| revert | 元に戻る | re(後ろへ)+vert=元の向きに戻る |
| irreversible | 元に戻せない | 後ろへ向きを変えられない |
| adverse | 不利な、逆の | ad(〜へ)+vers=こちらへ向かってくる |
| adversary | 敵、対戦相手 | こちらへ向き合ってくる人 |
| convert | 変換する | con(すっかり)+vert=すっかり向きを変える |
| diverse | 多様な | di(別々に)+vers=いろんな方向を向く |
| universe | 宇宙 | uni(1つ)+vers=1つにまとまって回る |
| version | 版、バージョン | 向きを変えて作った別の形 |
| vice versa | 逆もまた同じ | 立場を入れ替えても同じ |
「vers/vert が入っていたら、たぶん”向きを変える”話」・・・そう見えるようになると、初めて見る単語でも意味の見当がつくようになります。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| reverse | 動詞・名詞・形容詞 | 逆にする、逆、反対の | リバース /rɪˈvɜːrs/ |
| reversible | 形容詞 | 裏返せる、元に戻せる | リバーシブル /rɪˈvɜːrsəbl/ |
| reversibility | 名詞 | 元に戻せること、可逆性 | リバーシビリティ /rɪˌvɜːrsəˈbɪləti/ |
| irreversible | 形容詞 | 元に戻せない | イリバーシブル /ˌɪrɪˈvɜːrsəbl/ |
| reversal | 名詞 | 逆転、取り消し | リバーサル /rɪˈvɜːrsl/ |
TOEIC・英検での傾向
正直に言うと、reversible そのものは TOEIC の頻出語ではありません。出てくるとすれば、商品説明の reversible jacket や reversible mat のような形です。
ただ、仲間の reverse は in reverse order(逆の順番で)や reverse a decision(決定を覆す)の形でよく見かけます。また irreversible は、英検準1級以上の長文やエッセイで、irreversible damage(取り返しのつかない被害)のように環境・社会問題の文脈で登場します。reversible を入り口に、この二語までセットで押さえておくと安心です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- This jacket is reversible, so you can wear it two ways.
- Is this decision reversible?
- The rug is reversible, with a different color on each side.
- Good news: the damage is reversible.
- Most mistakes are reversible.
- You can start with a reversible choice.
- A reversible plan gives you room to try.
- She turned her reversible coat inside out and smiled.
- Don’t be afraid; most of your choices are reversible.
- Life is more reversible than you think.
語源メモ|reverse から reversible へ、そして versus
reversible は、1640年代に英語の中で reverse(逆にする)+ -ible(〜できる) として生まれた語です。服の「リバーシブル」という名詞の使い方は、ずっと後の19世紀になってから登場しました。
もとになった reverse は、古フランス語 reverser を経て、ラテン語 revertere(後ろへ向く・戻る) にさかのぼります。revertere は re(後ろへ)+ vertere(回る・向きを変える)。この vertere が、vers/vert の正体です。
一方の versus は、vertere の過去分詞で「〜に向けられた」「〜に対して」という意味。15世紀半ばに、英語では法律用語として入りました。今でも英米の裁判では、事件名を「原告 v. 被告」の形で書きます。スポーツの「VS」は、この法律用語が日常に広がったものです。
つまり reversible と versus は、どちらも同じ vertere から枝分かれした兄弟。服の裏表と対戦カードが、ラテン語の一語でつながっているわけです。
まとめ
reversible は、re(後ろへ)+ vers(向きを変える)+ ible(できる)で「裏返せる・元に戻せる」。
- reversible・・・くるっと後ろへ向きを変えられる。服だけでなく「やり直せる」の意味で広く使う
- versus(VS)・・・くるっと相手のほうへ向き直る。同じ vers の仲間
- irreversible・・・元に戻せない。reversible とセットで覚える
裏返せる服があるように、多くの選択も、あとから向きを変えられます。reversible は、そんなことを思い出させてくれる一語です。

関連記事
- 【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶術で芋づる式に覚える → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/
- anniversary の語源(記念日と vers の関係)→ https://isseisuzuki.org/%e3%82%a2%e3%83%8b%e3%83%90%e3%83%bc%e3%82%b5%e3%83%aa%e3%83%bc/
- anniversary と -vers でつながる adverse・diverse の記憶術 → https://isseisuzuki.org/etymology-anniversary-vers/
- adverse の語源(不利な・逆の)→
- 【語源で覚える】convert|con は complete の “完全”、vert は universe の “回る”
- 【語源で覚える】diverse|di(離れて)+ vers(回る)で「多様な」
- universe の語源(宇宙)→ (近日中に公開)
翻訳練習の解答
- このジャケットはリバーシブルだから、2通りの着方ができる。
- この決定は、あとから取り消せるの?
- そのラグはリバーシブルで、表と裏で色が違う。
- いい知らせだよ。その傷みは元に戻せる。
- たいていの失敗は、取り返しがつく。
- まずは、やり直しのきく選択から始めればいい。
- やり直しのきく計画なら、気軽に試してみられる。
- 彼女はリバーシブルのコートを裏返して、にっこり笑った。
- 怖がらなくていい。あなたの選択の多くは、やり直せるから。
- 人生は、あなたが思うよりずっとやり直しがきく。
収録リスト
BSL(Business Service List)収録語
この単語は Business Service List(BSL) に収録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project


