PR

【語源で覚える】differentiate|indifference が「無関心」になる理由

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

▶︎ 詳しいプロフィールはこちら

中学で最初のほうに習う different(違う)。この一語、実はかなり働き者で、ビジネス英語にも学術英語にも顔を出す単語の群れを、ひとりで抱えています。

たとえば indifference。different に in(否定)が付いた形なので、素直に読めば「違わないこと」になりそうです。ところが辞書を引くと「無関心」。違いの話をしていたはずなのに、気持ちの話に着地します。

この「ん?」が、今回の入り口です。ここをほどくと、differentiate・differentiation・differential という、見るからに長くて手強い3語まで、同じ一本の線でつながります。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

differentiate を分解してイメージで覚える

まずは意味の中心から。もとになっているのはラテン語 differre です。

dis(離れて)+ ferre(運ぶ)= 別々の方向へ運ぶ

ferreはフェリーで日本語になっていますね。

同じ場所にあった2つを、左と右へ別々に運んでいく。離れていくほど、両者の隔たりがはっきりしてくる・・・これが「違い」のイメージです。英語の differ(違う)も、difference(違い)も、この一枚の絵から出ています。

そして differentiate は、その「違い」を意味する名詞 differentia から作られた動詞です。

differentia(違い)+ -ate(〜にする)= 違いをつける → 区別する

自分の手で、2つを別々の場所へ運び分ける。だから「区別する」であり、ビジネスで言う「差別化する」でもあります。

スポンサーリンク

differentiate の基本の意味と使い方

differentiate は「区別する」「差別化する」を表す動詞です。A と B を見比べて、どこが違うのかをはっきりさせる・・・という場面で使います。

  • differentiate A from B(A と B を区別する)
  • differentiate between the two(その2つを見分ける)
  • differentiate our product(自社製品を差別化する)

もう一つ、自動詞としての使い方も覚えておくと便利です。「はっきりした別のものになっていく」という意味で、生物の分野では細胞が役割を持った細胞に変わっていくことを指します。

  • Stem cells differentiate into many types of cells.(幹細胞はさまざまな細胞へ分化する)

使い分け|differentiate と distinguish

どちらも「区別する」と訳されますが、重心が少し違います。

単語重心使われる場面
differentiate違いを「作る・際立たせる」差別化、分化、分析的に違いを示す
distinguish違いを「見分ける・気づく」見分ける力、識別、聞き分ける

distinguish は「見分けられる」という知覚寄り、differentiate は「違いをつける」という操作寄り・・・そう整理しておくと、英作文で迷いにくくなります。

もっとも、「2つを見分ける」の意味では両者が重なる場面も多く、differentiate between A and B と distinguish between A and B はほぼ同じように使えます。

indifference|「違い」の否定が「無関心」になるまで

さて、冒頭の謎に戻ります。

in(否定)+ difference(違い)= 違いがない

もともと indifferent は「どちらにも偏らない」「公平な」という意味でした。AとBのあいだに差をつけない人、つまり中立の人のことです。14世紀の英語では、これはむしろ褒め言葉に近いものでした。

ところが、「どちらでもいい」という態度は、角度を変えると「どちらでもかまわない=どうでもいい」に見えます。ここから15世紀はじめには「無関心な」という意味が生まれ、やがてそちらが主役になりました。

違いをつけない → どちらでもいい → 関心がない

公平さと無関心は、実は同じ一本の線の上にある・・・そう考えると、indifference という単語の重さが少し変わって見えてきます。誰かに対して「違いをつけない」ことは、公平であることにも、関心を向けないことにもなりうる。この単語は、その両方の顔を今も持ったままです。

differential の3つの顔

differential は、分野によって見える顔が変わる単語です。もとは同じ「差に関する」という一つの意味なので、まとめて押さえると楽になります。

分野意味つながり
一般・ビジネス格差、差額wage differential(賃金格差)
数学微分のdifferential calculus(微分法)
機械・車デファレンシャルギア(デフ)左右の車輪に回転差をつける装置

車の「デフ」は、カーブで内側と外側の車輪に回転の差をつけるための装置です。差をつける部品だから differential・・・名前そのままなんですね。

関連語ネットワーク|differentia(違い)の直系

まずは「違い」から直接枝分かれした一族です。ここは意味がつながっているので、まとめて覚えられます。

単語意味成り立ち
differ違う、意見が異なるdis〈離れて〉+ferre〈運ぶ〉
difference違い、差differentia〈違い〉
different違う、異なるdifferens〈離れて運ばれていく〉
differentiate区別する、差別化するdifferentia+-ate
differentiation区別、差別化、微分、分化differentiate+-ion
differential格差、微分の、デフdifferentia+-al
indifferent無関心な、公平なin〈否定〉+different
indifference無関心、公平さin〈否定〉+difference

関連語ネットワーク|ferre(運ぶ)の一族

もう一段さかのぼると、ferre(運ぶ) という大きな家族が見えてきます。「どこへ運ぶか」を決めているのが、頭に付いた接頭辞です。

単語意味運ぶ方向
transfer移す、転勤trans〈越えて〉運ぶ
refer参照する、言及するre〈戻って〉運ぶ
infer推測するin〈中へ〉運ぶ
preferより好むpre〈前へ〉運ぶ
offer差し出すob〈向かって〉運ぶ
confer授与する、協議するcon〈一緒に〉運ぶ
suffer苦しむ、こうむるsub〈下から〉運ぶ=背負う
fertile肥沃な実りを運んでくる
circumference円周circum〈まわりを〉運ぶ

ここで一つ、面白い事実を。differ と defer(延期する)は、もともと同じ語です。 ラテン語 differre が持っていた「別々に運ぶ」と「先へ運ぶ」という2つの意味が、1500年ごろの英語で綴りごと分かれました。アクセントの位置が違ったことが分岐の理由だと言われています。違うことと、先送りすること。言われてみれば、どちらも「いまここから離す」行為なんですね。

間違えやすい|diverse・diversity は別の家族

different と似た意味なので一緒くたにされがちですが、diverse/diversity/diversification は vers(回る・向きを変える)の一族で、differ とは別ルートです。

  • differ 系・・・dis(離れて)+ ferre(運ぶ)=別々に運ぶ
  • diverse 系・・・di(別々に)+ vers(回る)=いろんな方向を向く

頭の di- が共通しているので混ざりやすいのですが、後半が ferre か vertere かで家系が変わります。ここを分けておくと、語源の話をするときに足元がぐらつきません。

派生語|differentiate まわり

単語品詞意味発音
differentiate動詞区別する、差別化する、分化するディファレンシエイト /ˌdɪfəˈrenʃieɪt/
differentiation名詞区別、差別化、微分、分化ディファレンシエイション /ˌdɪfərenʃiˈeɪʃn/
differential名詞・形容詞格差、微分の、差のディファレンシャル /ˌdɪfəˈrenʃl/
indifference名詞無関心、公平さインディファレンス /ɪnˈdɪfrəns/
indifferent形容詞無関心な、公平なインディファレント /ɪnˈdɪfrənt/
differ動詞違う、意見が異なるディファー /ˈdɪfər/

TOEIC・英検での出題傾向

differentiate と differentiation は、TOEIC では主にマーケティング・商品企画の文脈で登場します。product differentiation(製品の差別化)、differentiate our service from competitors といった形です。品詞の識別問題(Part 5)で、differentiate / differentiation / differential を選ばせる形も定番です。

differential は wage differential(賃金格差)、pay differential のように、人事・給与の話題で見かけます。indifference はビジネス文書よりも、英検準1級以上の長文やエッセイで出会うことが多い語です。

いずれも日常会話でポンポン出る単語ではありませんが、読む側に回ったときの頻度は高めです。意味を正確に取れるようにしておくと得をします。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Small habits differentiate a good day from an ordinary one.
  2. You can differentiate yourself by doing simple things well.
  3. The two plans differ in price, but both are worth considering.
  4. What differentiates this team is how carefully they listen.
  5. Learning to differentiate similar sounds takes time, and that is fine.
  6. Product differentiation helps a small company find its place.
  7. The company explained the differential between the two pay grades.
  8. Cell differentiation turns one cell into many kinds of cells.
  9. Indifference is heavier than anger, so keep caring in your own way.
  10. Your quiet interest can turn someone’s indifference into hope.

語源メモ|differre と、分かれていった兄弟

differentiate の出発点は、ラテン語 differre(別々に運ぶ、違う)です。分けると dis-(離れて)+ ferre(運ぶ、運び去る)。ferre は印欧祖語の語根 *bher-(運ぶ)にさかのぼり、英語の bear(運ぶ・産む)や birth(誕生)とも遠い親戚にあたります。

この differre の現在分詞 differens から、ラテン語の名詞 differentia(違い、多様性)が生まれました。英語の difference は14世紀半ば、古フランス語 difference を経て入っています。

そこから先は、英語のなかで作られた形です。

  • differential・・・1640年代。中世ラテン語 differentialis から。数学の名詞用法は1704年、differential calculus は1702年
  • differentiate・・・1816年。中世ラテン語 differentiare から。もとは「微分係数を求める」という数学用語で、「違いを観察して区別する」という一般的な意味で使われ始めたのは1876年ごろ
  • differentiation・・・1831年に微積分の用語として、1855年に「区別すること」の意味で定着

数学の世界で先に使われ、あとから日常語へ下りてきた・・・という順番なのが面白いところです。

indifference は15世紀半ば、ラテン語 indifferentia(違いのないこと)から。もとの indifferent は「公平な、偏らない」で、「無関心な」の意味が記録されるのは15世紀はじめ。17世紀以降は、どちらかというと否定的な響きを帯びるようになりました。

そしてもう一つ。defer(延期する)は differ と語源的に同一の語です。ラテン語 differre が持っていた複数の意味が、1500年ごろを境に、綴りと発音ごと二手に分かれました。

まとめ

differentiate は、dis(離れて)+ ferre(運ぶ)=「別々に運ぶ」が意味の中心。そこから「違いをつける=区別する・差別化する」になりました。

  • dis + ferre・・・別々に運ぶ。これが「違い」のもとの絵
  • differentia(違い)の直系・・・differ/different/difference/differential/differentiate/differentiation
  • indifference・・・違いをつけない → どちらでもいい → 無関心
  • ferre(運ぶ)一族・・・transfer/refer/infer/prefer/offer/suffer
  • 注意・・・diverse/diversity は vers(回る)の別家族

違いをつけること、違いに気づくこと、そして違いを気にしないこと。この一族は、その全部を抱えています。

differentiate の語源ワードマップ。中心は differentiate(=dis〈離れて〉+ferre〈運ぶ〉で「別々に運ぶ」)。differentia(違い)直系の語群(differ/different/difference/differential/differentiation/indifferent/indifference)、ferre(運ぶ)一族(transfer/refer/infer/prefer/offer/suffer/fertile)、覚え方のヒント(indifferenceが無関心になる筋道、differとdeferが同語源)の4クラスターに整理した図。
  • 語源・中心:dis(離れて)+ ferre(運ぶ)=「別々に運ぶ」→ 違い
  • 覚え方のヒント:知っている different から入る。in+difference = 違いをつけない → 無関心
  • differentia(違い)直系:differ/different/difference/differential/differentiate/differentiation/indifference
  • ferre(運ぶ)一族:transfer/refer/infer/prefer/offer/suffer/fertile

関連記事(内部リンク)

【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶フックで芋づる式に覚える
英単語を最小限の労力でマスターする「語源+パーツ分解」の全リスト。学術的に正確な語源データと、タイパ(時短)を追求した記憶フックを完全分離して掲載。芋づる式に派生語を暗記し、実務やニュースで使える英語力を最速で身につけましょう。

翻訳練習の解答例

  1. 小さな習慣が、いい一日と普通の一日を分ける。
  2. 簡単なことをていねいにやるだけで、あなたは違いを出せる。
  3. その2つのプランは値段が違うけれど、どちらも検討する価値がある。
  4. このチームが他と違うのは、どれだけ丁寧に耳を傾けるかという点だ。
  5. 似た音を聞き分けられるようになるには時間がかかる。それでいい。
  6. 製品の差別化は、小さな会社が居場所を見つける助けになる。
  7. 会社は、2つの給与等級の差額について説明した。
  8. 細胞の分化は、1つの細胞をさまざまな種類の細胞へと変えていく。
  9. 無関心は、怒りよりも重い。だから、あなたなりのやり方で気にかけ続けよう。
  10. あなたの静かな関心が、誰かの無関心を希望に変えることがある。

集録語彙リスト

differential, differentiate, differentiation, indifferenceは TSL(TOEIC) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。ビジネスでもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。 

TSL(TOEIC Service List)集録語

この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)集録語

この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project