「レスポンスが早い」「即レスありがとう」・・・この言い方、もうすっかり日本語になっていますよね。スマホの反応がもたつけば「レスポンスが悪い」、サイトがスマホでもきれいに表示されれば「レスポンシブ」。
このレスポンスの中身をのぞくと、respond という動詞がいます。そして respond の後半、spond の正体が、ちょっと意外です。
意味は「誓う・約束する」。つまり respond は、もともと「軽く返事をする」ではなく、返ってきた言葉に、こちらも約束で応えるという、かなり重たい言葉でした。
そしてこの spond、実は sponsor(スポンサー)にも spouse(配偶者)にも入っています。広告のスポンサーと、結婚相手と、即レスの「レス」。この3つが同じ一語から出ている・・・そう聞くと、ちょっと覗いてみたくなりませんか。
respond を分解してイメージで覚える|spond は「誓う」
respond をパーツで見ると、こうなります。
re(返して・元へ)+ spond(spondere=誓う・約束する)
合わせて「誓いを返す」。相手が何か言ってきた。それに対して、こちらも言葉で引き受けて返す。これが respond の意味の中心です。
日本語の「返事」より、少し腰の据わったイメージを持つと、使い分けがぐっとラクになります。何か言われて口を動かすのが reply なら、受け止めて、引き受けて、こちらの態度を返すのが respond です。
このイメージを持っておくと、この先に出てくる responsible(責任がある)が、なぜ「答える」と「責任」の両方の顔を持つのかも、説明なしで腑に落ちます。答える義務がある・・・それが責任、というわけです。
respond の基本の意味と使い方
respond は「応答する・反応する」という意味の動詞です。ポイントは、後ろに to を取る自動詞だということ。respond something とは言いません。
- respond to an email(メールに返信する)
- respond to a question(質問に答える)
- respond quickly(すばやく対応する)
- respond well to treatment(治療によく反応する)
最後の例のように、人だけでなく体や機械にも使えます。「働きかけに対して、何かが返ってくる」という場面なら、だいたい respond の出番です。
名詞形は response。こちらも response to ~ の形でセットにして覚えておくと、書くときに迷いません。
respond・reply・answer・react の使い分け
近い4語ですが、重さと方向が違います。
| 単語 | 感触 | 使われる場面 |
|---|---|---|
| answer | 問いに「答えを出す」 | 質問・電話・ドアに答える |
| reply | 来たものに「返信する」 | メール・手紙・発言への返事 |
| respond | 受け止めて「応じる」 | 要請・状況・治療・市場への対応 |
| react | 反射的に「反応する」 | 感情的・瞬間的な反応 |
ビジネスで「ちゃんと対応する」と言いたいときは respond、メールの返信そのものは reply、と覚えておくと外しません。
respond と react の差も、知っておくと得です。react は押されたから動いた、という反射。respond は一拍おいて、引き受けたうえで返す。英語圏で「Don’t react, respond.」と言われるのは、この語源の差があるからです。
spond(誓う)でつながる単語ネットワーク
spond/spons が「誓う・約束する」だとわかると、見た目のバラバラな単語が一本の線でつながります。respond は、この一族の真ん中にいる語です。
| 単語 | 意味 | 語源のイメージ |
|---|---|---|
| response | 返答、反応 | 誓いを返したもの |
| responsible | 責任がある | 答える義務を負っている |
| responsibility | 責任 | 答える義務を負っている状態 |
| respondent | 回答者、(訴訟の)相手方 | 答えている人 |
| correspond | 一致する、文通する | 互いに答え合う |
| sponsor | 保証人、出資者 | 誓いを立てて引き受ける人 |
| spouse | 配偶者 | 誓いを交わした相手 |
| despond | 気落ちする | 誓いを手放す=希望を手放す |
| riposte | 返し技、鋭い切り返し | 返答=フェンシングの反撃 |
spouse が入っているのが意外だと思います。でも結婚式でいちばん大事なのは、誓いの言葉ですよね。誓いを交わした相手だから spouse・・・そう考えると、むしろ一直線です。
despond も面白い一語です。de(手放して)+ spond(誓う)で、「もう約束しない」。引き受ける気力がなくなった状態が、気落ち・落胆です。形容詞の despondent(意気消沈した)で見かけます。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| respond | 動詞 | 応答する、対応する | リスポンド /rɪˈspɑːnd/ |
| response | 名詞 | 返答、反応 | リスポンス /rɪˈspɑːns/ |
| responsive | 形容詞 | よく反応する、敏感な | リスポンシブ /rɪˈspɑːnsɪv/ |
| responsible | 形容詞 | 責任がある、信頼できる | リスポンシブル /rɪˈspɑːnsəbl/ |
| responsibility | 名詞 | 責任、職責 | リスポンシビリティ /rɪˌspɑːnsəˈbɪləti/ |
| irresponsible | 形容詞 | 無責任な | イリスポンシブル /ˌɪrɪˈspɑːnsəbl/ |
| respondent | 名詞 | 回答者、(訴訟の)相手方 | リスポンデント /rɪˈspɑːndənt/ |
| responder | 名詞 | 応答する人(first responder=救急・消防などの初動対応者) | リスポンダー /rɪˈspɑːndər/ |
※ respondent は TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)にも収録されている語です。アンケート調査の「回答者」として、ビジネス文書で頻繁に登場します。
TOEIC・英検での傾向
TOEIC では、この一族は出ないほうが珍しいくらいの常連です。
よく出るのは次の形です。
- respond to ~(〜に対応する)・・・to の有無を問う語法問題の定番
- in response to your inquiry(お問い合わせへの回答として)・・・メール文の決まり文句
- be responsible for ~(〜を担当している)・・・求人広告・職務説明の鉄板
- respondents(回答者)・・・アンケート結果を読むPart 7のグラフ問題
ひとつ実用的な区別を。be responsible for は「〜を担当している・〜の責任がある」、be responsible to は「〜(人)に対して報告義務がある」。求人票の “responsible to the sales manager” は「営業部長の下につく」という意味で、担当業務の話ではありません。ここを取り違えると、職務内容を読み違えます。
英検では準2級あたりから response が、2級〜準1級で responsibility・responsible が出てきます。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Please respond to this email by Friday.
- She responded with a warm smile.
- You don’t have to respond right away.
- The team responded quickly to the customer’s request.
- Your body responds to rest more honestly than you think.
- Thank you for your quick response.
- Most respondents said the training was helpful.
- He is responsible for the morning shift.
- A good leader responds instead of reacting.
- How you respond today quietly shapes tomorrow.
語源メモ|「誓う」は、もとは「お酒を注ぐ」こと
respond が英語に入ったのは1300年ごろ。アングロ・フランス語 respundre を経て、ラテン語 respondere(答える、お返しに約束する)から来ています。分ければ re-(返して)+ spondere(誓う)。今の respond という綴りと発音に落ち着いたのは1600年ごろです。
この spondere、さらにさかのぼると「くり返し献酒する」が原義だとされています。神様の前で酒を注ぎ、その場で言葉を交わす。それが「厳かに誓う」になりました。ギリシャ語の spendein(献酒する)、spondē(献酒)が同じ血筋です。誓いの言葉の背後に、酒を注ぐ儀式がある・・・そう知ると、spond の重さの出どころが見えてきます。
一族の年代を並べると、意味の育ち方がよくわかります。
- response(1300年ごろ)・・・最初は「答え・返事」。礼拝で会衆が唱える応唱の意味は1650年代、感情や行動の「反応」という使い方は1815年から。response time は1958年と、ぐっと新しい層です。
- respondent(1520年代)・・・訴訟や討論、調査で「答える側の人」。
- responsible(1640年代)・・・「答える義務がある」。「信頼できる」という意味が加わるのは1690年代です。
- responsibility(1787年)・・・一族の中ではいちばんの新顔。「責任」という抽象名詞は、意外にも18世紀末の言葉です。
法律の世界では、responsible と liable が区別されます。何か起きたときに答えなければならない立場が responsible、実際に起きてしまって負担を負うのが liable・・・という整理です(Century Dictionary)。
ついでに現代の一語を。responsive web design(画面サイズに応じて表示が変わるWebデザイン)は、2010年5月25日に Ethan Marcotte が「A List Apart」で提唱した言葉で、建築分野の responsive design から借りてきた命名です。画面に「応じる」デザイン・・・ここでも spond が働いています。
気をつけたい点を3つ。
ひとつめ。pond(池)や ponder(熟考する)は、綴りが似ているだけで respond とは無関係です。ponder はラテン語 pondus(重さ)から来ています。spontaneous(自発的な)も sponte 由来で、こちらも別系統です。
ふたつめ。日本語の「レス」は、「レスポンスの略ともいわれる」という扱いで、辞書では語源未詳とされています(デジタル大辞泉)。しかも英語圏では通じません。日本語の中だけで通用する略語だと覚えておくと安全です。
みっつめ。メールの件名につく「Re:」は response でも reply でもありません。メールの規格書(RFC 5322)が明記しているとおり、ラテン語の res(事・件)から来た「〜の件で」。respond とはまったく別の出自です。同じ返信の場面に並んでいるので、混同しやすいところです。
まとめ
respond は、re(返して)+ spond(誓う)で「誓いを返す」。軽い返事ではなく、受け止めて引き受けるのが、この語の芯にある感覚です。
- re・・・返して、元へ
- spond(spondere)・・・誓う、約束する。もとは「献酒する」
- だから responsible は「答える義務がある」=責任がある
- 同じ spond から sponsor(誓って引き受ける人)、spouse(誓いを交わした相手)、correspond(互いに答え合う)

- 語源・中心:re(返して)+ spond(誓う)=「誓いを返す」
- 覚え方のヒント:レスポンス・即レス・レスポンシブの「レス」
- respond から育った語:response/responsive/responsible/responsibility/respondent/irresponsible
- spond(誓う)一族:sponsor/spouse/correspond/despond/riposte
誰かの言葉に応じるというのは、本来、小さな約束を返すことでした。即レスが偉いのではなく、引き受けたことをちゃんと返す人が、responsible な人です。
NGSL(New General Service List)収録語
この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。
出典:New General Service List Project
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翻訳練習の解答
- このメールには金曜までに返信してください。
- 彼女は温かい笑顔で応じた。
- すぐに返事をしなくて大丈夫です。
- チームは顧客の要望にすばやく対応した。
- 体は、あなたが思う以上に正直に休息に応えてくれる。
- 早いお返事をありがとうございます。
- 回答者の大半が、その研修は役に立ったと答えた。
- 彼は朝のシフトを担当している。
- よいリーダーは、反射的に反応するのではなく、受け止めて応じる。
- 今日どう応じるかが、静かに明日をつくっていく。


