PR

【語源で覚える】mind|「モニター」と同じ家から出ている

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

▶︎ 詳しいプロフィールはこちら

パソコンやテレビの画面を、日本語でもふつうに「モニター」と呼びますよね。英語で書くと monitor。監視カメラのモニター、血圧をモニターする・・・どれも「見張る」イメージで使われています。

ところが、この monitor のもとになったラテン語 monitor は、「見張る人」ではありません。「思い出させてくれる人、気づかせてくれる人」です。忘れそうなことを、そっと教えてくれる人・・・それが monitor の原点でした。

そして、その「思い出させる」という中身をいちばん短い形で持っている英単語が、mind です。monitor の mon と、mind の min。見た目はよく似ていませんが、たどっていくと同じ場所に行き着きます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

mind を分解してイメージで覚える

mind は、接頭辞と語根に切り分けられるタイプの単語ではありません。古英語 gemynd(記憶・思い出・心)が、そのまま今の形になった一語です。

だから mind は、語根の家族ごとつかまえるのがいちばん早い。意味の中心はこれです。

*mind = 印欧祖語 men-(考える・心に浮かべる)

覚え方のコツを一つ。mind を「心に置いてある状態」とイメージしてください。これだけで、ばらばらに見える表現が一本につながります。

  • keep in mind・・・心の中に置いておく
  • remind・・・re(もう一度)+ mind = もう一度、心に乗せてあげる
  • monitor・・・忘れそうなことを教えてくれる人、知らせてくれる装置

リマインドは「思い出させる」、モニターは「知らせてくれる」。日本語になったカタカナの時点で、実はもう親戚どうしなんです。

そして *men-(考える)は、英語に入るまでに三本の道を通ってきました。

  • ゲルマン語の道・・・mind/remind/mindful(英語の本家筋)
  • ラテン語の道・・・mens(心)系と monere(思い出させる)系
  • ギリシャ語の道・・・mania/mnemonic/amnesia

この三本を知っておくと、mind から一気に世界が広がります。

スポンサーリンク

mind の基本の意味と使い方

mind は名詞と動詞の両方で使われ、しかも日常での顔がかなり違います。

名詞の mind(心・頭・考え)

  • make up your mind(決心する)
  • change your mind(考えを変える)
  • keep it in mind(心に留めておく)
  • come to mind(ふと思い浮かぶ)
  • peace of mind(心の安らぎ)

動詞の mind(気にする・注意する・世話をする)

  • Do you mind if I sit here?(ここに座ってもいいですか)
  • Would you mind closing the window?(窓を閉めていただけますか)
  • Mind your step.(足元にご注意)
  • Could you mind the dog for an hour?(1時間、犬を見ていてもらえますか)

動詞の mind には「嫌だと思う」というニュアンスがあります。だから I don’t mind. は「気にしません=かまいませんよ」。ロンドンの地下鉄の Mind the gap(すき間にご注意)も、この「気をつける」の mind です。

使い分け|mind・remind・remember

この3語は日本語にするとどれも「思い出す」まわりに来るので、混ざりやすいところです。

単語誰の頭の中で起きるか例文
remember自分で思い出すI remember her name.(彼女の名前を覚えている)
remind人に思い出させるRemind me to call her.(彼女に電話するよう言ってね)
mind心に留める・気にするKeep her name in mind.(彼女の名前を覚えておいて)

remind は、ひとりでは完結しない動詞です。必ず「誰に」が要ります。

  • remind + 人 + of + 名詞 ・・・ You remind me of my sister.(妹を思い出させる)
  • remind + 人 + to do ・・・ Please remind me to send it.
  • remind + 人 + that ・・・ He reminded me that the office closes early.

ちなみに remember は、見た目が近いのに 語源はまったく別ルートです。こちらはラテン語 memor(覚えている)の家系で、memory や memorial の仲間。「思い出す」でひとくくりにせず、mind 側と memory 側の2系統があると整理しておくと、迷いません。

関連語ネットワーク|mind から広がる三本の道

ラテン語 monere(思い出させる・注意する)系

monitor の直系です。「忘れそうなことを知らせる」が共通の芯になっています。

単語意味イメージ
monitor監視する、モニター思い出させてくれる人・装置
monument記念碑、記念建造物文字どおり「思い出させるもの」
summon召喚する、呼び出すsub(そっと)+monere=注意を向けさせる
admonish戒める、忠告するad(〜に)+monere=思い出させて注意する
premonition予感、虫の知らせpre(前もって)+monere=先に知らせること
monster怪物monstrum=前触れ・凶兆を知らせるもの
demonstrate実証する、デモをするde(しっかり)+monstrare=はっきり示す
muster召集する、奮い起こすmonstrare(示す)から。点呼して並べる

monster が入っているのが意外ですが、ローマでは異形の生きものは「神からの前触れ」と受け取られていました。monstrum はもともと「凶兆・前触れ」。知らせるもの、だったんです。

ラテン語 mens(心)系

単語意味イメージ
mental心の、精神のmens(心)+-al
mention言及するmentio=心に浮かんだことを口に出す
commentコメント、論評com+meminisse(思い出す)=心で練り上げたもの
dementia認知症de(離れて)+mens=心から離れた状態
reminisce昔を懐かしむre+minisci(思い出す)
memento記念品、形見ラテン語の命令形「思い出せ」
mentor助言者、メンター「考えさせる人」とされる(諸説あり)

ギリシャ語・サンスクリット側

単語意味イメージ
mania熱狂、〜狂心が燃え上がった状態
mnemonic記憶術のmneme(記憶)から
amnesia記憶喪失a(〜でない)+mnesi(覚えている)
amnesty恩赦、大赦「なかったことにする=忘れる」
automatic自動のauto(自分)+matos(考える・動く)
mantraマントラ、真言サンスクリット man-(考える)から

automatic が仲間なのは、ちょっと面白いところです。auto(自分)+ matos(考えている)・・・自動ドアも自動運転も、語源の上では「自分で考えて動くもの」。amnesty(恩赦)が「忘れること」なのも、言われてみれば筋が通っています。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
mind名詞・動詞心、頭/気にする、注意するマインド /maɪnd/
remind動詞思い出させるリマインド /rɪˈmaɪnd/
reminder名詞思い出させるもの、通知リマインダー /rɪˈmaɪndər/
mindful形容詞気を配っている、意識しているマインドフル /ˈmaɪndfəl/
mindfulness名詞マインドフルネス、気づき/ˈmaɪndfəlnəs/
mindless形容詞何も考えていない、単調な/ˈmaɪndləs/
mindset名詞考え方、心構えマインドセット /ˈmaɪndset/
open-minded形容詞心が開かれた、柔軟な/ˌoʊpənˈmaɪndɪd/
absent-minded形容詞うわの空の/ˌæbsəntˈmaɪndɪd/
mastermind名詞・動詞首謀者/立案する/ˈmæstərmaɪnd/

remind も NGSL(基礎語彙)に、reminder は TSL(TOEIC)とBSL(ビジネス)に収録されています。mind を入り口にすると、この3語がまとめて片づきます。

TOEIC・英検での傾向

mind は、TOEICでは文法問題の常連です。押さえるポイントは2つ。

1つめ。mind のあとは動名詞(-ing)で、to不定詞は取れません。

  • Would you mind sending me the file?(◯)
  • Would you mind to send me the file?(×)

Part 5 で選択肢に to send と sending が並んでいたら、mind を見た瞬間に -ing です。

2つめ。Do you mind ~? への答え方。

mind は「嫌だと思う」なので、OKの返事は No 側になります。

  • A: Do you mind if I open the window?
  • B: No, not at all.(どうぞ、かまいませんよ)

Part 2 でここを逆に取ると落とします。実際の会話では Go ahead. や Of course not. と返すことも多く、音声問題ではこちらのほうがよく出ます。

そのほか、Please keep in mind that ~(〜にご留意ください)、We have someone in mind.(候補者に心当たりがあります)といった形が、メールや会議のPart 6・7で頻出します。英検では準2級〜2級で、Would you mind ~? の形が会話問題に顔を出します。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Keep this in mind: you have come a long way.
  2. Would you mind helping me for a few minutes?
  3. She changed her mind and decided to start again.
  4. I don’t mind waiting a little longer.
  5. Your mind needs rest as much as your body does.
  6. A kind word can stay in your mind for years.
  7. He has a quiet mind and a warm heart.
  8. Make up your mind when you are ready, not when others are.
  9. Nothing came to mind at first, but the answer arrived later.
  10. Peace of mind is built one small habit at a time.

語源メモ

mind は、古英語の gemynd(記憶、思い出、心、意図)から来ています。さらにさかのぼるとゲルマン祖語 *ga-mundiz、そして印欧祖語の語根 *men-(1)「考える」。

注目したいのは、mind のいちばん古い意味が「記憶」だったことです。今の英語では「記憶」の意味はほとんど消えていますが、化石のように残っている表現があります。

  • bear in mind(14世紀後半)
  • call to mind(15世紀初め)
  • time out of mind(記憶にないほど昔から/14世紀半ば)

「知性・思考」の意味は1300年ごろ、「意図・つもり」も同じころ。動詞の mind は14世紀半ばに「思い出す」として登場し、「気にする・嫌がる」は1600年ごろ、「世話をする」は1690年代と、意味が後から積み上がっていきました。

remind は、意外と新しい語です。 1640年代に「自分が思い出す」の意味で現れ(この用法は今は消えています)、1650年代になって「人に思い出させる」になりました。しかも re-(ラテン語)+ mind(ゲルマン語)という、出自の違う部品を組み合わせた混血語です。

monitor のほうは、ラテン語 monere(思い出させる、忠告する、警告する)から作られた「〜する人」の形。英語に入ったのは1540年代で、最初の意味は**「風紀を預かる上級生」**でした。その後の広がりがなかなか劇的です。

  • 1826年・・・オオトカゲの名前(ワニの接近を人に知らせると信じられていたため)
  • 1862年・・・南北戦争の装甲艦「モニター号」。設計者エリクソンが「南部の指導者を戒める(admonish)船」という意図で命名
  • 1931年・・・放送の品質をチェックする装置
  • そこから・・・カメラの映像を映す画面、つまり今の「モニター」

動詞の monitor(監視する)が生まれたのは1924年で、名詞よりずっと後です。「見張る」は、monitor にとってかなり新しい顔なんですね。

money について一つ注意を。英語の money は、ローマの女神ユノの添え名 Moneta に由来します。その神殿のそばで貨幣が鋳造されたからです。この Moneta を monere(忠告する)と結びつけ「警告する女神」と解する説は古くから伝わっていますが、etymonline は「意味としては筋が通るものの、語源としては難しい」と留保しています。面白い話ではあるので、言い切らずに「そういう説がある」と覚えておくのが安全です(ちなみに mint〈造幣局〉は money の双子の兄弟です)。

remember は別の家系です。ラテン語 memor(覚えている)から来ていて、memory・memorial・commemorate と同じグループ。mind 一族ではありません。

最後に一つだけ。*men- のような印欧祖語の語根は、現存する言語から再構された推定の形です。「たぶんここから枝分かれした」という見取り図であって、確定した一次資料があるわけではありません。そのうえで、mind と monitor と mental と mania が同じ場所に集まる・・・この眺めの良さが、語源で覚えることの一番のごほうびだと思います。

まとめ

mind は、印欧祖語 *men-(考える)から生まれた、「心に置いてある状態」を表す一語。

  • 語源・中心・・・*men-(考える・心に浮かべる)。古英語 gemynd の最初の意味は「記憶」
  • 覚え方のヒント・・・keep in mind=心に置く。remind=もう一度、心に乗せる
  • monere(思い出させる)一族・・・monitor/monument/summon/admonish/premonition/monster
  • mens(心)一族・・・mental/mention/comment/dementia/reminisce
  • ギリシャ語側・・・mania/mnemonic/amnesia/amnesty/automatic

モニターは、見張るためではなく、気づかせるために生まれた言葉でした。mind を入り口にすると、その「気づかせる」仲間が、一気に地図になって見えてきます。

mind の語源ワードマップ。中心は mind(=心に置いてある状態)で、印欧祖語 *men-(考える)にさかのぼり、古英語 gemynd の最初の意味は「記憶」。monere(思い出させる)一族(monitor / monument / summon / admonish / premonition / monster)、mens・ギリシャ語系(mental / mention / comment / dementia / mania / amnesia)、覚え方のヒント(keep in mind=心に置く、remind=re+mind、monitor=思い出させてくれる人)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:*men-(考える)=「心に置いてある状態」
  • 覚え方のヒント:keep in mind(心に置く)/remind(もう一度心に乗せる)
  • monere(思い出させる)一族:monitor/monument/summon/admonish/premonition/monster
  • mens(心)一族:mental/mention/comment/dementia/reminisce
  • ギリシャ語一族:mania/mnemonic/amnesia/amnesty/automatic

NGSL(New General Service List)収録語

この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。

出典:New General Service List Project

関連記事

【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶フックで芋づる式に覚える
英単語を最小限の労力でマスターする「語源+パーツ分解」の全リスト。学術的に正確な語源データと、タイパ(時短)を追求した記憶フックを完全分離して掲載。芋づる式に派生語を暗記し、実務やニュースで使える英語力を最速で身につけましょう。

翻訳練習の解答

  1. これだけは覚えておいてください。あなたは、ずいぶん遠くまで歩いてきました。
  2. 少しのあいだ、手伝っていただけますか。
  3. 彼女は考えを変えて、もう一度やり直すことにした。
  4. もう少し待つくらい、私は気になりません。
  5. あなたの心にも、体と同じだけ休みが必要です。
  6. やさしい一言は、何年も心に残ることがある。
  7. 彼は静かな心と、温かい気持ちを持っている。
  8. 決めるのは、あなたの準備ができたとき。まわりの都合に合わせなくていい。
  9. 最初は何も浮かばなかったけれど、答えはあとからやってきた。
  10. 心の安らぎは、小さな習慣を一つずつ積み上げて作られる。