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【語源で覚える】identification|ID と UFO に隠れていた「同じ」

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「ID(アイディー)」は、もう日本語ですよね。IDカード、ID番号、社員ID。

ではこの ID、何の略かご存じでしょうか。答えは identification。長くて覚えにくそうな単語ですが、正体はあの ID です。そして identification の意味の中心にあるのは、ちょっと意外な一語・・・「同じ」なんです。

身分証明書は、目の前にいるあなたと、記録に残っている人物が「同じ」だと示すためのもの。そう言われると、急に腑に落ちませんか。

もうひとつ、日本語になっている例を。UFO。Unidentified Flying Object の頭文字です。真ん中の I は、identified。つまり UFO とは「まだ”同じ”だと確認できていない飛行物体」。宇宙人の乗り物という意味は、実はどこにも入っていません。

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identification を分解してイメージで覚える

パーツで見ると、こうなります。

ident(同じ)+ fic(作る・する)+ ation(〜すること)

直訳すると「同じだと示すこと」。身元を確認するのも、原因を特定するのも、「これとこれは同じだ」と結びつける作業です。

真ん中の fic は factory(工場)や fact(事実)と同じ「作る・する」のグループ。ここは手がかりとしては置いておいて、この記事の中心は前半の ident です。

ident は、ラテン語 idem(同じ)から来ています。そして idem をさらに割ると、id(それ)+ -dem。「それ、まさにそれ」というニュアンスが固まって、「同じ」になりました。

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ident=「同じ」を一発で確定させる単語

語源の話が本当かどうか、一語で確かめられます。

identical(まったく同じ、同一の)

そして identical twins ・・・一卵性双生児。遺伝的に「同じ」双子です。ここで ident が「同じ」だと、頭の中で確定します。

逆向きの語も見ておきましょう。

unidentified(未確認の)= un(〜でない)+ identified(同じだと確認された)

UFO の I が、ここでつながります。

基本の意味と使い方

identification は名詞で、大きく3つの顔を持っています。

① 身元確認・身分証明(書)

  • Please bring photo identification.(写真付きの身分証をお持ちください)
  • an identification card(身分証明書)

② 特定・識別

  • the identification of the cause(原因の特定)
  • early identification of a problem(問題の早期発見)

③ 同一視・感情移入

  • identification with the main character(主人公への感情移入)

③ は心理学で使われる意味で、「あの人と自分を重ねる」こと。語源の「同じ」が、いちばん素直に残っている使い方かもしれません。

使い分け|identity・identify・identification・ID

同じ家族なので、形と役割だけ整理しておくと迷いません。

語形品詞意味使う場面
identity名詞同一性、身元、アイデンティティidentity theft(なりすまし)
identify動詞特定する、同一視するidentify the cause
identification名詞特定すること、身分証明(書)show identification
ID略語身分証(明書)a photo ID

話し言葉では ID、書類や案内文では identification。TOEIC の案内文で長い方が出てくるのは、このためです。

id(それ)でつながる単語ネットワーク

ident の元をたどると id(それ) にたどり着きます。この一字から、思いがけない方向へ枝が伸びています。

単語意味つながり
identicalまったく同じidem〈同じ〉+-ical
identity同一性、身元idem〈同じ〉+-ity
identify特定する、同一視するidentity から作られた動詞
identifiable識別できるidentify+-able
unidentified未確認のun〈否定〉+identified
misidentify誤認するmis〈誤って〉+identify
item項目、品物id〈それ〉+-tem=「同様に」
itemize項目別に書き出すitem+-ize
i.e.すなわちラテン語 id est〈それは〜である〉の略
id(心理学の)エスラテン語 id〈それ〉そのもの

中級者向け|item が親戚だと気づけますか

いちばん意外なのが、item です。中学で習う「項目」「品物」、ゲームの「アイテム」。あれが identification の親戚だと言われても、ピンと来ないはずです。

item はもともと名詞ではなく、ラテン語の副詞で「同様に、さらに」という意味でした。

昔の請求書や目録では、品物を一つ書き、次の行でまた「item(同様に、次も)」、その次も「item」・・・と繰り返していました。やがてその書き出しの語そのものが「一行ぶんの品物」を指すようになり、16世紀後半に「品物・項目」という名詞が生まれます。

つまり id(それ) という同じ出発点から、

  • idem =「同じ」→ identity・identical・identification
  • item =「同様に」→ 項目・品物

の二方向に分かれた、ということ。兄弟というよりいとこの関係です。

ついでに i.e.(すなわち)も同じ一族。ラテン語 id est(それは〜である)の略で、頭の i はやはり id です。

心理学の id(エス)も、同じ id

フロイトの用語「エス(id)」も、ラテン語の id そのものです。もとのドイツ語は das Es(それ)。1924年の英訳でラテン語の id が当てられ、そのまま専門用語として定着しました。

自分の中にある、名前のつけられない「それ」。ラテン語の素朴な代名詞が、心の深いところを指す語になったわけです。

派生語|identification まわり

単語品詞意味発音
identification名詞特定、身元確認、身分証明書アイデンティフィケイション /aɪˌdentɪfɪˈkeɪʃn/
identify動詞特定する、同一視するアイデンティファイ /aɪˈdentɪfaɪ/
identity名詞同一性、身元アイデンティティ /aɪˈdentəti/
identical形容詞まったく同じアイデンティカル /aɪˈdentɪkl/
identifiable形容詞識別できる/aɪˈdentɪfaɪəbl/
unidentified形容詞未確認の/ˌʌnaɪˈdentɪfaɪd/

TOEIC・英検での傾向

identification は TOEIC の頻出語です。受付・入館・空港・会議の案内といった場面で、Please present identification at the front desk. an identification badge のような形で出ます。会話では ID、掲示や案内文では identification と使い分けられるので、両方セットで覚えておくと安心です。

動詞の identify も identify the cause(原因を特定する)という形でよく出ます。英検では2級〜準1級レベル。難しそうな見た目のわりに、意味は素直な単語です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Please bring photo identification.
  2. The guard asked for identification at the gate.
  3. Your identification card is ready at the front desk.
  4. Identification means showing that two things are the same.
  5. Correct identification of the problem is half the answer.
  6. The museum offers free entry with student identification.
  7. You don’t need identification to be yourself.
  8. Early identification of your strengths will help you grow.
  9. Her identification of the bird was quick and sure.
  10. Identification with a kind person can change you.

語源メモ|id から idem、そして identification へ

さかのぼると、こうなります。

id(それ)→ idem(同じ)→ identitas(同一性)→ identity → identify → identification

  • idem は、id「それ」+指示を表す接尾辞 -dem。
  • 中世ラテン語の identitas(同一性)がフランス語 identité を経て、1600年ごろ英語の identity になりました。
  • 動詞の identify は1640年代。ただし最初の意味は「同じものとみなす」。「身元を確認する」の意味が記録されるのは1769年になってからです。
  • identification も1640年代。「特定する行為」の意味が1859年、そして「身元を示す書類・物」という意味はなんと1947年から。identification tag / card の省略です。
  • ID という短縮形が記録に現れるのは1955年。意外と新しい言葉なんです。

UFO は1953年、アメリカ空軍が採用した呼び名。それまでの「空飛ぶ円盤(flying saucer)」では形がさまざまな目撃例に当てはめにくいという理由で、より中立的な unidentified flying object に置き換えられました。頭字語として作ったのは、プロジェクト・ブルーブックを率いたエドワード・J・ルペルト大尉とされています。

item については、辞書も「おそらく」と断りを付けています。ラテン語の ita(このように)/id(それ)に副詞語尾 -tem が付いた形と見られ、idem と並べて比較するよう注記されています。idem の直系ではなく、同じ id から分かれた親戚、という理解が正確です。

なお後半の -fication は、ラテン語 facere(作る・する)のグループ。fact・factory・effect・satisfy などと共通する部品です。こちらの一族については、別記事でまとめています。

まとめ

identification は、ident(同じ)+ fic(作る)+ ation で「同じだと示すこと」。

  • ID・・・identification の略。「あなたと記録の人物が同じ」と示すもの
  • UFO・・・Unidentified。「まだ同じだと確認できていない」
  • identical twins・・・ident=「同じ」を確定させる一語
  • item・・・同じ id から分かれた、いちばん意外な親戚

身分証明も、原因の特定も、誰かに自分を重ねることも、やっていることは全部「これとこれは同じだ」と結ぶこと。そう考えると、長い綴りが少しだけ身近になります。

identification の語源ワードマップ。中心は identification(=同じだと示すこと)で、ident(idem=同じ)+fic(作る)+ation に分解。ident(同じ)一族(identical/identity/identify/identifiable/unidentified/misidentify)、id(それ)から分かれた親戚(item/itemize/i.e./id〈エス〉)、覚え方のヒント(ID=identificationの略、UFOのI=identified)の4クラスターに整理した図。
  • 語源・中心:ident(idem=同じ)+ fic(作る)+ ation =「同じだと示すこと」
  • 覚え方のヒント:ID は identification の略/UFO の I は identified
  • ident(同じ)一族:identical/identity/identify/identifiable/unidentified/misidentify
  • id(それ)から分かれた親戚:item/itemize/i.e.(id est)/id(エス)

関連記事(内部リンク)

翻訳練習の解答

  1. 写真付きの身分証明書をお持ちください。
  2. 門のところで、警備員が身分証の提示を求めた。
  3. あなたの身分証明書は、受付でお受け取りいただけます。
  4. 身元確認とは、2つのものが同じだと示すことだ。
  5. 問題を正しく特定できれば、答えは半分出ている。
  6. その美術館は、学生証があれば入場無料だ。
  7. 自分らしくいるのに、証明書はいらない。
  8. 自分の強みに早く気づけたら、それだけ伸びていける。
  9. 彼女はその鳥を、すばやく確実に見分けた。
  10. やさしい人に自分を重ねることで、人は変われる。

集録語彙リスト

この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。

NAWL(New Academic Word List)集録語

この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project

TSL(TOEIC Service List)集録語

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出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)集録語

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出典:New General Service List Project