「レジャー施設」「レジャー産業」。すっかり日本語になっている、あの leisure です。意味は余暇、遊び、くつろぎ。たぶん多くの人が「もう知っている単語」の棚に入れていると思います。
ところがこの語、元をたどると「遊び」とも「休み」とも違うところに行き着きます。意味の中心にあるのは、許されている。
ピンと来ないかもしれませんが、すぐそばに証拠があります。license(ライセンス)。許可証のことですね。leisure と license は、見た目こそ似ていませんが、同じラテン語から枝分かれした兄弟です。
leisure を分解してイメージで覚える|中心は「許されている」
leisure のもとになっているのは、ラテン語の licēre(許されている・合法である) です。
licēre(許されている)→ 古フランス語 leisir(〜してよい、という自由)→ leisure
古フランス語の leisir は、もともと動詞の「許されている」でした。それが名詞として使われるようになり、「許されている状態」=「自分の好きに使ってよい時間」へ。そこからさらに「ひまな時間」「余暇」へと落ち着いていきます。
だから leisure の中心にあるのは、ゴロゴロすることでも遊ぶことでもありません。「今、この時間は自分に許されている」という感覚です。
ここを押さえると、at your leisure(ご都合のよいときに、急がずに)という言い方がすっと入ってきます。急がなくていい。なぜなら、その時間はあなたに許されているから。
leisure の基本の意味と使い方
leisure は「余暇」「自由時間」を表す名詞です。数えられない名詞として使うのが基本で、形容詞的に名詞の前に置く形もよく見かけます。
- leisure time(余暇の時間)
- leisure activities(余暇の活動)
- a leisure facility/a leisure centre(レジャー施設)
- at your leisure(ご都合のよいときに、急がずに)
- a life of leisure(あくせくしない暮らし)
発音には地域差があります。アメリカ英語は /ˈliːʒər/(リージャー寄り)、イギリス英語は /ˈleʒə/(レジャー寄り)。日本語のカタカナ「レジャー」は、イギリス寄りの音に近い形です。
使い分け|leisure・free time・recreation・hobby
どれも「ひまな時間・楽しみ」に関わる語ですが、視点が違います。
| 語 | 視点 | 感じ |
|---|---|---|
| leisure | 時間そのもの | ややあらたまった語。「自由に使える時間」という枠 |
| free time | 時間そのもの | いちばん日常的な言い方 |
| recreation | 活動の中身 | 心身を回復させる活動。施設名にもよく付く |
| hobby | 継続している趣味 | 続けて打ち込んでいる対象 |
| pastime | ひまつぶしの楽しみ | 気軽な娯楽寄り |
会話で「週末ひま?」と聞きたいときは free time、公的な文章や案内文では leisure、と覚えておくと外しません。
“lic(許される)” でつながる単語ネットワーク
licēre を知っておくと、見た目のまったく違う単語が一本の線でつながります。
| 単語 | 意味 | 語源 |
|---|---|---|
| license / licence | 許可証、免許 | licentia〈許可・自由〉 |
| licensed | 認可を受けた | license の過去分詞 |
| licensee | 免許を受けた人 | license+-ee |
| licit | 合法の、許された | licitus〈許された〉 |
| illicit | 違法の、許されない | in〈否定〉+licitus |
| licentious | 放縦な、ふしだらな | licentia の「行き過ぎた自由」の側面から |
| leisurely | ゆったりとした | leisure+-ly |
| viz.(videlicet) | すなわち | videre licet〈見ることが許される〉 |
| scilicet | すなわち | scire licet〈知ることが許される〉 |
おもしろいのは、同じ「許されている」から leisure(許された時間) と illicit(許されないこと) という、正反対の語が出ている点です。許可という一点を軸に、こちら側と向こう側に分かれたわけですね。
もうひとつ、論文や契約書で見かける viz. の正体も licēre です。videlicet は videre(見る)+licet(許される)で、直訳すると「見ることが許される」。「つまり、こう見てよい」という念押しの言い方でした。videre のほうは evident(エビデンス)の記事で扱った vid 系なので、ここで2つの家系が交わります。
そっくりだけど別語源の語
字面が似ていて混同しやすい語を整理しておきます。
| 語 | 本当の語源 | leisure との関係 |
|---|---|---|
| lease(賃貸借) | ラテン語 laxare〈緩める〉 | 無関係 |
| lyceum/フランス語 lycée | ギリシャ語 Lykeion〈アテネの学園〉 | 無関係 |
| like(好き、〜のような) | ゲルマン語系 | 無関係 |
leisure の綴りは少しやっかいですが、「licēre の lis- が leis- に化けた形」と押さえておくと迷いにくくなります(-u- が入ったのは16世紀以降です)。
派生語|leisure まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| leisure | 名詞 | 余暇、自由時間 | リージャー/レジャー /ˈliːʒər, ˈleʒə/ |
| leisure | 形容詞 | ひまな、仕事のない | ― |
| leisurely | 形容詞・副詞 | ゆったりした、のんびりと | リージャリー /ˈliːʒərli/ |
| leisured | 形容詞 | 余暇のある、有閑の | リージャード /ˈliːʒərd/ |
TOEIC・英検での出題傾向
TOEIC では、ホテル・観光・施設案内の文脈で leisure facility、leisure travel、leisure activities といった形で登場します。Part 7 の広告文やパンフレットは定番の出どころです。
ビジネスメールでは at your leisure(お手すきのときに)が丁寧な依頼表現として使われます。急かさないニュアンスなので、相手に負担をかけたくない場面で便利です。英検では準2級〜2級あたりで出会う語になります。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Reading is my favorite leisure activity.
- You have earned this leisure time.
- The town opened a new leisure centre last spring.
- Take your time and reply at your leisure.
- Leisure once meant “being allowed,” not “being lazy.”
- She spends her leisure hours painting with friends.
- A little leisure each day keeps your mind fresh.
- Many families enjoy leisure travel in the spring.
- Your leisure is not something you must earn twice.
- Give yourself leisure, and give yourself permission too.
語源メモ|licēre と、許可という一点
leisure は、古フランス語 leisir(loisir の異形。「〜する自由、許可、ひま」)が1300年ごろに英語へ入ったものです。この leisir はもともと動詞の不定詞で、意味は「許されている」。さかのぼるとラテン語 licēre(許されている・合法である)に行き着きます。
同じ licēre から、現在分詞 licens を経て licentia(許可・自由)が生まれ、これが古フランス語経由で license/licence になりました。過去分詞 licitus からは licit(合法の)と illicit(違法の)が出ています。
なお、licēre のさらに奥については慎重に扱う必要があります。etymonline は印欧祖語 *leik-「申し出る・取引する」を挙げていますが、ラテン語語源辞典(De Vaan)は、イタリック語派の外に確実な同族語が見つからないとして語源不詳としています。ここは「諸説ある」とだけ押さえておくのが安全です。
綴りについてひとつ。leisure に -u- が現れるのは16世紀以降で、それ以前は leisir、leiser などの形でした。license との綴りの隔たりは、ラテン語からフランス語を経るルートの違いによるものです。
まとめ
leisure の意味の中心は、ラテン語 licēre「許されている」。遊びでも怠けでもなく、「自分に許された時間」 がこの語の正体です。
- licēre(許されている)・・・license/licit/illicit/licentious と同じ一族
- leisure・・・許可が「時間」の側に落ち着いた形
- illicit・・・同じ許可が「否定」の側に振れた形
- at your leisure・・・急がなくていい、その時間は許されているから
ひと息つく時間に、理由はいりません。語源のほうが先に、そう言ってくれています。

- 語源・中心:licēre(許されている)→ leisir →leisure=「自分に許された時間」
- lic(許される)一族:license/licensed/licensee/licit/illicit/licentious
- 意外な親戚:viz.(videlicet=見ることが許される)/scilicet(知ることが許される)
- 別語源の紛らわしい語:lease/lyceum/like
関連記事(内部リンク)
- evident の語源(vid=見る)→ https://isseisuzuki.org/evident/
- license の語源と使い分け → (近日中に公開)
- 【ピラー】英単語の語源・パーツ分解 全リスト → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/
翻訳練習の解答
- 読書は、私のいちばん好きな余暇の過ごし方だ。
- この自由な時間は、あなたが手に入れたものだ。
- 町は去年の春、新しいレジャーセンターをオープンした。
- 急がなくていいので、都合のよいときに返事をください。
- leisure はかつて「怠けている」ではなく「許されている」を意味していた。
- 彼女は余暇の時間を、友人たちと絵を描いて過ごしている。
- 一日に少しの余暇があるだけで、頭は冴えたままでいられる。
- 春になると、多くの家族がレジャー旅行を楽しむ。
- あなたの自由な時間は、二度も勝ち取る必要のあるものではない。
- 自分に余暇を与えよう。そして、許可も一緒に。
集録語彙リスト
この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。
NAWL(New Academic Word List)集録語
この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project
TSL(TOEIC Service List)集録語
この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project
BSL(Business Service List)集録語
この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project


