動画編集アプリを開くと、たいてい「エフェクト」というボタンがあります。SNSの加工フィルターも、ゲームの演出も、エフェクト。日本語の中では、ほぼ「見た目や音の演出」という意味で固定されていますよね。
ところがこの effect、英語での中心の意味は「効果」「結果」です。演出どころか、むしろ理科や統計、契約書で出てくる、かなり実務寄りの単語。
そして面白いのは順番です。effect という語の中で、「演出・エフェクト」は実はいちばん新しくできた意味。14世紀から使われてきたこの語に、その意味がくっついたのは19世紀末のことでした。
どうしてそうなるのか。分解すると一瞬でわかります。
- effect を分解してイメージで覚える|ef(外へ)+fect(作る)
- effect の基本の意味と使い方
- effect と affect の使い分け|語源で一発整理
- effect・effective・effectiveness|形が伸びても中身は同じ
- efficient・efficacy|綴りが化けても、同じ efficere
- -fect・-fic・-fy でつながる単語ネットワーク
- 派生語|effect まわり
- TOEIC・英検での出題傾向
- 英文で確認|翻訳練習10問
- 語源メモ|effectus と、意味が増えていった順番
- まとめ
- 関連記事(内部リンク)
- 翻訳練習の解答
- effectiveness 集録語彙リスト
effect を分解してイメージで覚える|ef(外へ)+fect(作る)
effect のパーツはこうです。
ef(ex=外へ)+ fect(facere=作る・する)
つまり「外に作り出されたもの」。
何かをすると、その結果が外に出てくる。薬を飲めば体に変化が出る。ルールを決めれば現場が変わる。その「外に出てきたぶん」が effect です。だから「効果」であり「結果」。
ef- は、もとは ex-(外へ)です。後ろに f が来たので発音しやすいように ef- になりました。export(外へ運ぶ)、exit(外へ出る)の ex と同じものだと思ってください。
この「外に出てきたもの」という中心をつかむと、英語の effect がカバーする範囲が一本につながります。
- 薬の effect ・・・飲んだ結果、体に外に出てきたもの=効果
- cause and effect ・・・原因から外に出てきたもの=結果
- take effect ・・・外に出て働きはじめる=発効する
- sound effect ・・・作り出して外に聞こえさせるもの=音響効果
いちばん最後、「エフェクト」もちゃんと同じ線の上にいます。ただ、順番としては末っ子です。
effect の基本の意味と使い方
effect は「効果」「結果」「影響」を表す名詞です。動詞で「もたらす・成し遂げる」の意味もありますが、使用頻度は名詞が圧倒的に高めです。
- have an effect on 〜(〜に効果・影響がある)
- side effect(副作用)
- take effect / come into effect(効力を持つ、発効する)
- in effect(事実上、実質的には)
- special effects / sound effects(特殊効果・音響効果)
もう一つ、知っておくと得なのが複数形の effects。これ、「所持品・身の回り品」という意味になります。空港や保険の書類で見る personal effects がそれです。
- Please collect your personal effects.(お手回り品をお受け取りください。)
「結果」が、どうして「持ち物」になるのか。1704年、フランス語 effets の用法をまねて入った意味で、もともとは「行動の結果として手に入れたもの」というニュアンスでした。働いた結果、外に出てきた財産・・・そう考えると、ちゃんと ef(外へ)+fect(作る)の線上です。 etymonline
effect と affect の使い分け|語源で一発整理
英語学習でいちばん混乱するのが、この2語です。でも語源を見ると、迷いどころが消えます。
| 単語 | 分解 | イメージ | 品詞の主戦場 |
|---|---|---|---|
| effect | ex(外へ)+fect(作る) | 外に出てきた結果 | 名詞「効果・結果」 |
| affect | ad(〜へ)+fect(作る) | 相手に向かって働きかける | 動詞「影響を与える」 |
affect はラテン語 afficere「〜に対して何かをする」から。ad「〜へ」+ facereです。向かっていくのが affect、出てくるのが effect。方向が逆なんですね。 etymonline
- The weather affects my mood.(天気は気分に影響する=天気が気分に向かって働きかける)
- The weather has an effect on my mood.(天気は気分に影響がある=その結果が出ている)
ad(〜へ)と ex(外へ)。この2つの前置詞の向きを思い出せば、テストでも迷いません。
effect・effective・effectiveness|形が伸びても中身は同じ
effect に -ive が付くと effective(効果的な)、さらに -ness が付くと effectiveness(有効性・効果の高さ)になります。
- effect(名詞)・・・効果そのもの
- effective(形容詞)・・・効果を出せる
- effectiveness(名詞)・・・どれくらい効果を出せるか
effective は14世紀後半、古フランス語 effectif を経てラテン語 effectivus から。effectiveness はそこに -ness が付いて1600年ごろにできました。 etymonline
ビジネスの現場で「エフェクティブ」と言うときの感覚と、ほぼそのまま重なります。長く見えますが、中身は effect のまま・・・そう思えば、綴りの長さに身構えなくて済みます。
ちなみに effectively には「効果的に」のほかに「事実上・実質的には」という使い方もあります。in effect と同じ流れです。
efficient・efficacy|綴りが化けても、同じ efficere
ここが effect の広がりで、いちばん「へぇ」となるところです。
efficient(効率的な)は、ラテン語 efficiens(efficere の現在分詞)から。efficacy(有効性)は、efficere の語幹から出た efficax を経たラテン語 efficacia から。 etymonlineetymonline
つまり effect・efficient・efficacy は、全部おなじ efficere から出た兄弟です。
| 単語 | 意味 | もとの形 |
|---|---|---|
| effect | 効果、結果 | effectus(efficere の過去分詞) |
| effective | 効果的な | effectivus |
| efficient | 効率的な | efficiens(現在分詞) |
| efficiency | 効率 | efficientia |
| efficacy | 有効性 | efficacia |
ラテン語では、語の中に入ると a が i に変わる癖があります(facere → -ficere)。だから ef-fect と ef-fici-ent で見た目が違う。でも「ef(外へ)+作る」という骨格は、1ミリも変わっていません。
発音も押さえておきましょう。efficacy は エフィカシー /ˈefɪkəsi/、最初にアクセントが来ます。effect(イフェクト)につられて「エフィカシー」の真ん中を強く読んでしまう人が多いので、ここだけ注意です。
心理学で「自己効力感」を self-efficacy と言います。「自分は結果を出せる」という感覚のこと。これも ef(外へ)+fect の一族です。
-fect・-fic・-fy でつながる単語ネットワーク
facere(作る・する)は、英語の中でとてつもなく大きな一族を作っています。effect はその一員です。
-fect で終わる仲間
| 単語 | 意味 | 分解 |
|---|---|---|
| perfect | 完全な | per(すっかり)+fect=すっかり作り終えた |
| defect | 欠陥 | de(離れて)+fect=作りから外れた |
| infect | 感染させる | in(中へ)+fect=中に作り込む |
| affect | 影響を与える | ad(〜へ)=向かって働きかける |
| prefect | 長官、監督生 | pre(前に)+fect=前に立てられた人 |
-fic・-fy の仲間(facere が中に入った形)
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| sufficient | 十分な | 下から作って足りている |
| deficient | 不足した | 作りが足りない |
| proficient | 熟達した | 前へ作り進んだ |
| magnificent | 壮大な | 大きく作られた |
| simplify | 単純化する | 単純に作り変える |
| qualify | 資格を与える | 質を作る |
| identify | 特定する | 同一だと作り出す |
「-fect・-fic・-fy が見えたら、たぶん”作る”の話」・・・この感覚ができると、初見の単語でも半分は読めます。fact(事実=作られたもの)、factory(工場)、fashion も、たどれば同じ facere です。
派生語|effect まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| effect | 名詞・動詞 | 効果、結果/もたらす | イフェクト /ɪˈfekt/ |
| effects | 名詞(複数) | 所持品、特殊効果 | イフェクツ /ɪˈfekts/ |
| effective | 形容詞 | 効果的な、有効な | イフェクティブ /ɪˈfektɪv/ |
| effectively | 副詞 | 効果的に/事実上 | イフェクティブリ /ɪˈfektɪvli/ |
| effectiveness | 名詞 | 有効性、効果の高さ | イフェクティブネス /ɪˈfektɪvnəs/ |
| ineffective | 形容詞 | 効果のない | イニフェクティブ /ˌɪnɪˈfektɪv/ |
| effectual | 形容詞 | 効き目のある | イフェクチュアル /ɪˈfektʃuəl/ |
| efficient | 形容詞 | 効率的な | イフィシェント /ɪˈfɪʃnt/ |
| efficiency | 名詞 | 効率 | イフィシェンシー /ɪˈfɪʃnsi/ |
| efficacy | 名詞 | 有効性 | エフィカシー /ˈefɪkəsi/ |
TOEIC・英検での出題傾向
effect まわりは、TOEICでは頻出中の頻出です。とくに出やすい形を挙げておきます。
- effective date(発効日)・・・契約・規約の文書で定番
- take effect / come into effect(発効する)・・・お知らせ文で頻出
- cost-effective(費用対効果の高い)・・・社内メール・提案書で頻出
- side effect(副作用)・・・製品説明で
- effectiveness(有効性)・・・調査報告・プレゼンの読解で
Part 5 では、effect(名詞)と affect(動詞)の品詞判別がそのまま問われることがあります。空所の前に a / an / the があれば effect、主語の直後なら affects・・・という形で見分けられます。
英検では effect・effective が準2級〜2級レベル、effectiveness・efficiency は2級〜準1級の語彙問題やライティングで役立つ一語です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Small daily habits have a real effect.
- Your kind words had a quiet effect on me.
- The new rule takes effect next Monday.
- This method is simple, but very effective.
- We measured the effectiveness of the program.
- You are more effective than you think.
- A short break is an effective way to reset.
- Effective communication starts with listening.
- The change had no effect at first, and then it did.
- Every effort you make has an effect somewhere.
語源メモ|effectus と、意味が増えていった順番
effect は14世紀半ば、「(行為の)実行・完了」の意味で英語に入りました。古フランス語 efet(現代仏語 effet)経由で、もとはラテン語 effectus「達成・遂行」。これは efficere「やり遂げる」の過去分詞幹で、ex「外へ」+ facere「作る・する」(印欧祖語の語根 *dhe-「置く」)に分かれます。 etymonline
意味が増えていった順番を並べると、この語の性格がよく見えます。
- 14世紀半ば ・・・ 実行、完了
- 14世紀後半 ・・・ 「意図した結果を生む力」、そして「何かから生じるもの=結果」。in effect(実は・実際には)もこの時期
- 15世紀初め ・・・ 意図した結果、目的
- 1704年 ・・・ 複数形 effects で「財産・所持品」 etymonline
- 1736年 ・・・ 「見る人に与える印象」。そして1881年ごろ、stage effect・sound effect のような「演出」の意味
カタカナの「エフェクト」が指しているのは、いちばん下の層です。約500年かけて「実行→結果→印象→演出」と伸びてきた枝の、いちばん先端だけが日本語に入ってきた・・・そう考えると、英語の effect が「効果・結果」中心なのも納得できます。
なお、affect との混同は英語ネイティブにもよくある話で、辞書にも「2つの動詞は互いに入り混じっていて完全には分けられない」という趣旨の注が載るほどです。それでも ad(〜へ)と ex(外へ)という方向の違いを押さえておけば、実用上は迷いません。
まとめ
effect は、ef(ex=外へ)+ fect(facere=作る) で「外に作り出されたもの」=効果・結果。
- ef(ex)・・・外へ。export/exit と同じ向き
- fect(facere)・・・作る・する。fact/factory/perfect/defect の一族
- affect との違い・・・ad(向かっていく)か ex(出てくる)か
- efficient・efficacy ・・・綴りが化けても、同じ efficere
動画の「エフェクト」は、この長い枝のいちばん先っぽ。でも根っこは「やったことが、外に形になって出てくる」というシンプルな一語です。
あなたが今日やった小さなことも、どこかで外に出てきます。それが effect です。

- 語源・中心:ef(ex=外へ)+ fect(facere=作る)=「外に作り出されたもの」
- 覚え方のヒント:エフェクト=外に出てきた結果。演出の意味はいちばん新しい
- effect 一族:effective/effectiveness/effectively/ineffective/effectual/efficient/efficiency/efficacy
- -fect・-fic 一族:perfect/defect/infect/affect/sufficient/proficient/magnificent
関連記事(内部リンク)
- defect の語源(欠陥・不良品)→ https://isseisuzuki.org/defect/
- factual の語源(事実に基づく)→ https://isseisuzuki.org/factual/
- satisfactory の語源(満足のいく・factory が見える)→ https://isseisuzuki.org/satisfactory/
- faction の語源(派閥・fashion との双子)→ https://isseisuzuki.org/faction/
- 【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶術で芋づる式に覚える
👇 → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/

翻訳練習の解答
- 毎日の小さな習慣には、ちゃんと効果がある。
- あなたのやさしい言葉は、静かに私に効いていた。
- 新しい規則は、来週の月曜から効力を持つ。
- この方法はシンプルだが、とてもよく効く。
- 私たちは、そのプログラムの有効性を測定した。
- あなたは、自分で思っているよりずっと力を出せている。
- 短い休憩は、頭を切り替える効果的な方法だ。
- 効果的なコミュニケーションは、聞くことから始まる。
- その変化は最初こそ何も起こさなかったが、やがて効いてきた。
- あなたの重ねた努力は、どこかで必ず形になる。
effectiveness 集録語彙リスト
派生語のeffectivenessは NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。
NAWL(New Academic Word List)集録語
この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project
TSL(TOEIC Service List)集録語
この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project
BSL(Business Service List)集録語
この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project

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