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【語源で覚える】contractor|中にトラクターが隠れている「契約を結ぶ人」

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「ゼネコン」という言葉、ニュースでよく耳にしますよね。じつはこれ、英語の general contractor(元請け業者)を縮めた日本語です。もう一つ、最近増えている「業務委託」で働く人のことは、英語で independent contractor と言います。

工事現場でも、パソコン一台の仕事でも、契約を結んで仕事を請け負う人は contractor です。

そしてこの単語、じっと見ると中に見覚えのある語がいます。

contractor

そう、tractor(トラクター) です。偶然の一致ではなく、トラクターと contractor は同じ作りの言葉です。ここを入り口にすると、contractor はぐっと覚えやすくなります。

※ この記事は、姉妹編の distract(気を散らす)と同じ tract(引く)の仲間です。distract は「引き離す」話でしたが、こちらは「一緒に引き寄せる」話です。

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contractor を分解してイメージで覚える|中に tractor がいる

contractor をパーツで見ると、こうなります。

con(一緒に)+ tract(引く)+ or(〜する人・もの)

まず後ろ半分の tractor。トラクターは、重い農機具を「引く」機械ですよね。tract(引く)に or(〜するもの)が付いて、「引くもの」です。

contractor は、そこに con(一緒に) が付いた形です。

「一緒に引く人」・・・ただ、ここでいう「引く」は荷物ではありません。お互いの条件を引き寄せ合って、一つの約束にまとめること。それが contract(契約)です。

発注する側と請け負う側が、それぞれの希望を引き寄せて、「この金額で、この仕事を」と結ぶ。その約束を引き受ける人が、contractor です。

トラクターが畑を引っ張るように、contractor は仕事を引き受けて最後まで引っ張っていく。そう重ねてみると、意味がすっと入ってきます。

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contractor の基本の意味と使い方

contractor は「請負業者」「契約者」を表す名詞です。特に、工事やリフォーム、サービスを請け負う業者を指すことがよくあります。

  • hire a contractor(業者に頼む)
  • general contractor(元請け業者・ゼネコン)
  • independent contractor(業務委託で働く個人・フリーランス)
  • subcontractor(下請け業者)

日本語の「業者さん」に近い感覚で使える一方、「契約を結んで請け負っている人」という立場がはっきりしているのがポイントです。社員(employee)とは違い、contractor は契約の範囲で仕事を引き受ける人を指します。

contract は「契約」も「縮む」も同じ根っこ

contractor のもとになった contract には、もう一つ意味があります。「縮む・収縮する」です。

  • sign a contract(契約を結ぶ)
  • Muscles contract.(筋肉が収縮する)

まったく別の意味に見えますが、どちらも「一緒に引き寄せる」から来ています。条件を引き寄せてまとめれば「契約」、物を内側へ引き寄せれば「縮む」。根っこは一つです。

ちなみに contractor にも、医学では「収縮させる筋肉」という意味がありますが、ふだん目にするのはほぼ「請負業者・契約者」の意味です。

“-or(〜する人・もの)” でつながる単語ネットワーク

contractor の語尾 -or は、「〜する人・〜するもの」を表します。tractor と同じ語尾です。ここを押さえると、身近なカタカナ語が一気に仲間になります。

単語意味イメージ
tractorトラクターtract(引く)+ or=引くもの
actor俳優act(演じる)+ or=演じる人
director監督、取締役direct(指示する)+ or=指示する人
visitor訪問者visit(訪れる)+ or=訪れる人
inventor発明者invent(発明する)+ or=発明する人
elevatorエレベーターelevate(持ち上げる)+ or=持ち上げるもの

「語尾が -or なら、たぶん”〜する人・もの”」・・・そう見えてくると、contractor も「contract(契約)する人」とすぐに読めるようになります。

“contract(一緒に引き寄せる)” でつながる単語ネットワーク

contract そのものからも、ビジネスでよく使う語が広がります。

単語意味イメージ
contract契約、収縮するcon(一緒に)+ tract(引く)
contractual契約上のcontract+ -ual(〜に関する)
contraction収縮、短縮形引き寄せて縮めたもの
subcontract下請けに出すsub(下に)+ contract
subcontractor下請け業者下で契約を引き受ける人

なお、tract(引く)の仲間 attract・extract・retract・abstract などは、distract の記事でまとめて紹介しています。

派生語|contractor まわり

単語品詞意味発音
contractor名詞請負業者、契約者コントラクター /ˈkɑːntræktər/
contract名詞契約、契約書コントラクト /ˈkɑːntrækt/
contract動詞契約する、縮むコントラクト /kənˈtrækt/
contractual形容詞契約上のコントラクチュアル /kənˈtræktʃuəl/
subcontractor名詞下請け業者サブコントラクター /ˌsʌbˈkɑːntræktər/
contraction名詞収縮、短縮形コントラクション /kənˈtrækʃən/

※ contract は名詞だと前、動詞だと後ろにアクセントが来ます。

TOEIC・英検での出題傾向

contractor は、TOEIC やビジネス英語の頻出語リストにも入っている実用語です。TOEIC では、オフィスの改装工事のお知らせ、業者選びのメール、見積もりのやりとりといった場面で、hire a contractor や the contractor will… の形でよく登場します。

英検での出題レベルについては、確かなデータが手元にないため断定は控えます。ただ、働き方の多様化で independent contractor(業務委託)という表現はニュースでも増えているので、TOEIC 以外でも押さえておいて損のない一語です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. We hired a contractor to fix our roof.
  2. The contractor finished the work ahead of schedule.
  3. She works as an independent contractor.
  4. The general contractor hired several subcontractors.
  5. Please check the contractor’s license before you sign.
  6. A good contractor listens carefully before making a plan.
  7. The contractor and the owner agreed on the price.
  8. You can work as a contractor and still build a steady career.
  9. Every contractor started with one small job.
  10. Be the contractor who keeps every promise you make to yourself.

語源メモ|ラテン語 contrahere から

contractor は、後期ラテン語の contractor(契約を結ぶ人)に由来し、1540年代には英語で使われていました。もとの動詞は contrahere。分けると con(一緒に) と trahere(引く) です。

contrahere は、もともと「いくつかの物を一か所に引き寄せる」「縮める」という意味でした。そこから比喩的に「取り引きをまとめる・合意する」という意味が生まれます。英語の contract が「契約」と「収縮」の両方を持っているのは、この二つの流れをそのまま受け継いでいるからです。

contractor の意味も時代とともに絞られてきました。最初は広く「契約を結ぶ人」でしたが、17世紀後半には「収縮させる筋肉」の意味も生まれ、18世紀に入ると「決まった価格で仕事・サービス・品物を請け負う人」という、今いちばんよく使う意味が定着します。

tractor(トラクター)も同じ trahere から来ていて、「引くもの」という意味です。冒頭の「中に tractor がいる」は、見た目が似ているだけのこじつけではなく、本当に同じ材料でできた言葉です。

まとめ

contractor は、con(一緒に)+ tract(引く)+ or(人)で「条件を引き寄せ合って約束を結び、仕事を引き受ける人」=請負業者・契約者。

  • 中に tractor・・・tract(引く)+ or(もの)。トラクターと同じ作り
  • con(一緒に)・・・引き寄せてまとめる。contract(契約)、contraction(収縮)へ
  • -or(〜する人・もの)・・・actor/director/visitor/inventor/elevator の仲間

ゼネコンも、業務委託も、根っこは同じ contractor。約束を引き受けて、最後まで引っ張っていく人です。

contractor の語源ワードマップ。中心は contractor(=引き寄せ合って約束を結ぶ人)で、con(一緒に)+tract(引く)+or(人)に分解。覚え方のヒント(中に tractor がいる/ゼネコン=general contractor/業務委託=independent contractor)、-or(〜する人・もの)系(tractor / actor / director / visitor / inventor / elevator)、contract系(contract / contractual / contraction / subcontract / subcontractor)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:con(一緒に)+ tract(引く)+ or(人)=「引き寄せ合って約束を結ぶ人」
  • 覚え方のヒント:中に tractor(トラクター)/ゼネコン=general contractor
  • -or(〜する人・もの)一族:tractor/actor/director/visitor/inventor/elevator
  • contract 一族:contract/contractual/contraction/subcontract/subcontractor

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翻訳練習の解答

  1. 屋根の修理を業者に頼んだ。
  2. その業者は、予定より早く工事を終えた。
  3. 彼女は業務委託で働いている。
  4. 元請け業者は、何社かの下請けを使った。
  5. 契約する前に、業者の許可証を確認してください。
  6. いい業者は、計画を立てる前にじっくり話を聞いてくれる。
  7. 業者と施主は、価格で折り合った。
  8. 業務委託で働きながらでも、安定したキャリアは築いていける。
  9. どの業者も、最初は小さな仕事一つから始めた。
  10. 自分と交わした約束を、一つ残らず守る人でいよう。

集録語彙リスト

この単語は NAWL(学術) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。学術英語でもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。 

TSL(TOEIC Service List)集録語

この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)集録語

この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project