肝炎やがんの治療の話で、「インターフェロン」という薬の名前を聞いたことがある方は多いと思います。難しそうな医学用語に見えますが、実はこれ、interfere(妨げる・干渉する)からできた名前です。
1957年、ウイルスの増殖を邪魔するタンパク質が見つかりました。名づけた研究者たちは、その働きをそのまま名前にしました。interfere に -on を付けて、interferon。つまり 「ウイルスを邪魔するもの」。それがインターフェロンです。
名前の由来がわかると、薬の働きまで一緒に覚えられます。そしてこの interfere、分解すると意味の中心がはっきり見えてきます。
interfere を分解してイメージで覚える
interfere をパーツで見ると、こうなります。
inter(間に)+ fere(ferire=打つ・たたく)
inter は「インターネット」「インターハイ」「インターチェンジ」でおなじみの「間に」。問題は後半の fere です。これはラテン語 ferire「打つ・たたく」。
もとの古フランス語 enterferer は、「互いに打ち合う」という物騒な意味でした。二人の間に割って入って、ぶつかる・・・そのイメージが、「邪魔する」「口を出す」へと変わっていきます。
「間に(inter)割って入って、打つ(fere)」=邪魔する
この一枚の絵があれば、interfere の意味は忘れません。ちなみに名詞形の interference は、スポーツの「インターフェア(守備妨害)」、無線やテレビの「混信」、物理の「波の干渉」と、幅広く使われています。全部「割って入って邪魔する」で説明がつきます。
interfere の基本の意味と使い方
interfere は「邪魔する」「妨げる」「干渉する・口を出す」を表す自動詞です。自動詞なので、単独では使えず、必ず前置詞とセットになります。
- Loud music interferes with my work.(大きな音楽が仕事の邪魔になる)
- Please don’t interfere in our family matters.(私たちの家庭の問題に口を出さないでください)
- Nothing will interfere with our plan.(何も私たちの計画を妨げないだろう)
共通しているのは、「本来そこにいないはずのものが、割って入ってくる」 という感覚です。だから interfere には、少し迷惑そうな、歓迎していないニュアンスが付きまといます。
interfere with と interfere in の使い分け
ここは TOEIC でも英検でも狙われるポイントなので、整理しておきます。
| 形 | つなぐ相手 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| interfere with | 物事・行為・能力 | 〜の妨げになる、支障をきたす | interfere with sleep / traffic / concentration |
| interfere in | 領域・人の問題 | 〜に口を出す、首を突っ込む | interfere in politics / in her private life |
ざっくり言うと、with は「じゃまをする」、in は「口を出す」。迷ったら「物事を妨げるなら with、人の領分に踏み込むなら in」と覚えておけば、まず外しません。
なお、似た語の intervene(介入する)は中立〜肯定的にも使えますが、interfere はほぼ否定的です。「ありがたい介入」なら intervene、「余計なお世話」なら interfere です。
ferire(打つ)でつながる単語ネットワーク
interfere の意味の中心 ferire(打つ)は、forare(穴をあける)と同じ親戚筋です。もとをたどると「穴」を表す印欧祖語にいきつきます。
「打つ」と「穴をあける」が同じ家族なのは、日本語の「打ちつける」「突き通す」を思えば自然ですね。
| 単語 | 意味 | 語源イメージ |
|---|---|---|
| interfere | 妨げる、干渉する | inter(間に)+ferire(打つ) |
| interference | 妨害、干渉、混信 | interfere の名詞形 |
| interferon | インターフェロン | interfere+-on=ウイルスを邪魔するもの |
| perforate | 穴をあける | per(突き抜けて)+forare(穴をあける) |
| perforation | ミシン目、穿孔 | 切手やノートの切り取り線がこれ |
| foramen | (解剖)孔、穴 | forare と同じ「穴」 |
| Foraminifera | 有孔虫 | 殻に穴が開いた微生物。沖縄の「星の砂」の正体 |
| bore | 穴をあける、くり抜く | 古英語 borian。同じ「穴」の家系 |
切手のミシン目(perforation)と、インターフェロンと、星の砂が同じ家族・・・なかなかの広がりです。
※ 「退屈させる」の bore は1768年ごろに現れた別の語で、この一族とは関係ありません。混ぜないでください。
似ているけど別語源|fer(運ぶ)の一族
ここが interfere 最大の落とし穴です。transfer・refer・infer などの fer を見慣れていると、interfere もその仲間だと思ってしまいます。でも違います。
| 単語 | 意味 | 語源 |
|---|---|---|
| transfer | 移す、転送する | trans(越えて)+ferre(運ぶ) |
| refer | 言及する、参照する | re(戻して)+ferre(運ぶ) |
| infer | 推測する、推論する | in(中へ)+ferre(運ぶ) |
| prefer | 好む | prae(前に)+ferre(運ぶ) |
| confer | 授与する、協議する | con(共に)+ferre(運ぶ) |
| offer | 申し出る | ob(〜へ)+ferre(運ぶ) |
| suffer | 苦しむ、耐える | sub(下で)+ferre(運ぶ)=下で背負う |
| fertile | 肥沃な、多産の | ferre(実をつける・産む) |
こちらは ラテン語 ferre「運ぶ・担う」。つまり、
- interfere の fere = ferire(打つ)
- transfer などの fer = ferre(運ぶ)
綴りはそっくりでも、まったく別の家系です。見分け方は簡単で、interfere / interference / interferon の3語だけが「打つ」側、残りの fer は「運ぶ」側と覚えてしまえば実用上は困りません。
派生語|interfere まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| interfere | 動詞 | 妨げる、干渉する、口を出す | /ˌɪntərˈfɪr/ インターフィア |
| interference | 名詞 | 妨害、干渉、混信 | /ˌɪntərˈfɪrəns/ インターフィアレンス |
| interfering | 形容詞 | おせっかいな、差し出がましい | /ˌɪntərˈfɪrɪŋ/ インターフィアリング |
| interferon | 名詞 | インターフェロン | /ˌɪntərˈfɪrɑːn/ インターフィラン |
発音で一つ注意を。日本語の「インターフェロン」はドイツ語読みに近い形で定着していて、英語では「インターフィラン」に近い音になります。医療英語を扱う方は、ここだけ切り替えが要ります。
TOEIC・英検での出題傾向
TOEIC では interfere with が圧倒的に多く登場します。工事の騒音が業務の妨げになる、天候が配送に支障をきたす、といった文脈です。Part 5 の語彙問題で、prevent・disturb・interrupt との選び分けを問われることもあります。
英検では準1級あたりの語彙として見かけます。interference(干渉・妨害)も合わせて押さえておくと安心です。
interfere in は、国際ニュースの定番表現(他国の内政に干渉する)でもあるので、長文読解で出会う可能性が高い形です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Try not to interfere when someone is learning.
- Don’t let one bad day interfere with your plans.
- Loud noise can interfere with your concentration.
- Her parents never interfere in her choices.
- Nothing should interfere with your rest today.
- Interferon interferes with viruses inside our cells.
- The storm did not interfere with the festival.
- You can say no when someone interferes too much.
- Small worries often interfere with big decisions.
- Let nothing interfere with the person you want to become.
語源メモ|「打ち合う」から「邪魔する」へ
interfere が英語に現れるのは15世紀半ば、当時は enterferen という綴りでした。最初の意味は「混ぜ合わせる、間に入れる」。出どころは古フランス語 enterferer「打撃を交わす、互いに打ち合う」で、entre(間に)+ ferir(打つ)という構成です。
この ferir は、ラテン語 ferire「打つ、たたく」。ferire は同じくラテン語の forare「穴をあける、貫く」と近い関係にあり、さらにさかのぼると印欧祖語の「穴」を表す語根に行き着きます。「打つ」と「穴」が一つにつながるのは、英語の punch が「殴る」と「穴をあける」の両方を持つのと同じ感覚です。パンチで穴をあける、あのパンチです。
「不当に口を出す、干渉する」という比喩的な意味が定着したのは1630年代。名詞 interference は1783年に「おせっかい」の意味で作られ、1802年にイギリスの科学者トマス・ヤングが**光の波の「干渉」**という物理学用語として使い始めました。電話・ラジオの「混信」が1887年、アメリカンフットボールの「インターフェア」が1894年、チェスでの用法が1913年。一つの語が、医学・物理・スポーツ・通信へと散らばっていった様子がよく見えます。
そして1957年、ウイルスの増殖を妨げるタンパク質が発見され、interfere に素粒子などに使う接尾辞 -on を付けて interferon と命名されました。「邪魔するもの」が、そのまま薬の名前になったわけです。
最後に、本文でも触れた注意点をもう一度。transfer・refer・infer・prefer・confer・offer・suffer の fer は、ラテン語 ferre「運ぶ」であって、interfere の ferire「打つ」とは別語源です。 綴りが似ているだけに、ここを混同した解説は少なくありません。覚えるときは「interfere だけは打つ側」と線を引いておいてください。
まとめ
interfere は、inter(間に)+ ferire(打つ)で「間に割って入って打つ」・・・そこから「妨げる・干渉する・口を出す」。
- inter・・・間に。インターネット、インターチェンジでおなじみ
- ferire(打つ)・・・forare(穴をあける)と同族。perforate/perforation/foramen/bore へ
- interferon・・・interfere + -on。ウイルスを邪魔するものだから、この名前
- 使い分け・・・物事を妨げるなら with、人の領分に踏み込むなら in
- 落とし穴・・・transfer などの fer(運ぶ・ferre)とは別語源
誰かの、何かの「間に割って入る」。それが interfere の意味の中心です。

関連記事(内部リンク)
- infer の語源(推測する)※ interfere とは別語源の fer(運ぶ)側
【語源で覚える】infer|「推測する」は頭の中に”運び込む”こと - transfer の語源(移す・転送する)→ (近日中に公開)
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翻訳練習の解答
- 誰かが学んでいるときは、口を出さないようにしよう。
- 一日うまくいかなかったくらいで、予定を崩さなくていい。
- 大きな音は、集中の妨げになることがある。
- 彼女の両親は、彼女の選択に口を出さない。
- 今日は、休むことを何にも邪魔させないで。
- インターフェロンは、細胞の中でウイルスの働きを妨げる。
- 嵐は、お祭りの妨げにはならなかった。
- 誰かが踏み込みすぎてきたら、断っていい。
- 小さな心配事が、大きな決断の邪魔をすることはよくある。
- なりたい自分になることを、何にも邪魔させないで。
集録語彙リスト
この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。
NAWL(New Academic Word List)集録語
この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project
TSL(TOEIC Service List)集録語
この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project
BSL(Business Service List)集録語
この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project

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