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【語源で覚える】specification|「スペック」の spec は、もともと「見る」

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「この端末、スペック高いね」。パソコンでもスマホでも車でも、ふだん何気なく使っている言葉です。

この「スペック」、英語の specification を縮めた言い方で、意味は「仕様」「仕様書」。ここまではご存じの方も多いはずです。

ただ、この単語をもう一段ほどいていくと、ちょっと意外な場所に出ます。spec の正体は 「見る」。スパイの spy も、疑う suspect も、尊敬する respect も、カレーのスパイス spice まで、全部ここから枝分かれした親戚です。

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specification を分解してイメージで覚える|spec は「見る」

パーツで見ると、こうなります。

speci(species=見た目・種類)+ fic(facere=作る)+ ation(こと)

直訳すると「種類をはっきりさせること」。製品でいえば、ほかの製品と何がどう違うのかを、ひとつずつ書き分けた文書・・・つまり仕様書です。

ここで手がかりになるのが、真ん中の speci。元はラテン語の species(見た目・姿・種類)で、さらにさかのぼると動詞 specere「見る」 に行き着きます。

なぜ「見る」が「種類」になるのか。古い用例の説明がうまくて、「たくさんある中で、視線が向けられるもの」という言い方をします。見分けがつくから、種類になる。生物の「種(species)」が同じ語なのも、見た目で分けてきたからです。

つまり specification の意味の中心は、「よく見て、ほかと見分けがつくように書き出したもの」。「スペックを見る」という日本語の言い回しが、たまたま語源とぴったり重なっている、おもしろい一語です。

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specification の基本の意味と使い方

specification は「仕様」「仕様書」「明細」を表す名詞です。実務では複数形の specifications がよく使われます。

  • technical specifications(技術仕様)
  • meet the specifications(仕様を満たす)
  • as specified in the contract(契約書に明記されているとおり)
  • design specifications(設計仕様書)

動詞は specify(きちんと明記する)、形容詞は specific(特定の・明確な)。「ぼんやりしたものを、見分けがつく形にする」という方向はどれも同じです。

Could you be more specific?(もう少し具体的に言ってもらえますか)は会話でも頻出で、これも「はっきり見える形にして」というお願いです。

「スペック」という略語は、3回生まれ直している

ちょっとした豆知識を一つ。英語の spec という略語、実は歴史上3回、別々の単語の略として登場しています。

時期何の略だったか意味
1794年ごろspeculation投機
1926年ごろspectacle見世物(サーカスの業界用語)
1956年ごろspecification仕様・規格(製造・建設の現場で)

今わたしたちが使っている「スペック」の意味になったのは、1950年代。意外と新しい言葉です。そして3つとも、もとをたどれば同じ「見る」の一族・・・というのが、この語のおもしろいところです。

spec(見る)でつながる単語ネットワーク

specere(見る)を押さえると、別ジャンルに見える単語が一気に地続きになります。

単語意味イメージ
inspect検査するin(中を)+spect=中をのぞき込む
suspect疑うsub(下から)+spect=下からこっそり見る
respect尊敬するre(振り返って)+spect=もう一度よく見る
expect期待するex(外を)+spect=外を見て待つ
prospect見込み、展望pro(前を)+spect=前方を見る
aspect側面、様子ad(〜へ)+spect=向けられた見え方
perspective視点、遠近法per(通して)+spect=突き抜けて見る
conspicuous目立つcon(すっかり)+spic=まるごと見えてしまう
spectacle光景、見世物見るためのもの
spectrumスペクトル、範囲見えてくる像
specimen標本、見本見るために取り分けたもの
speculate推測する、投機するじっと見て先を読む
despise見下すde(下へ)+spise=上から見下ろす

「spect/spic が入っていたら、たぶん”見る”の話」。そう見えるようになると、初見の単語でも意味の当たりがつきます。

ラテン語の外へ|spy・scope・spice も同じ一族

さらに広げると、ラテン語以外のルートからも同じ根が入ってきています。

単語意味由来
spy / espionageスパイ、諜報ゲルマン語経由(古高ドイツ語 spehon=見張る)
scope範囲、視野ギリシャ語 skopos(見張る人・的)
telescope / microscope望遠鏡・顕微鏡tele(遠く)/micro(小さく)+scope(見る)
horoscope星占いhora(時)+scope=生まれた時刻の星を見る
skeptic懐疑的な人ギリシャ語 skeptesthai(よく見る・吟味する)
bishop司教ギリシャ語 episkopos(epi=上から+skopos=見守る人)
spice香辛料ラテン語 species(種類→特別な交易品)の双子

spice(スパイス)が species の双子というのは、言われないと気づきません。ラテン語の species は後に「品物・商品」の意味を持ち、その中でもとびきり貴重だった香辛料を指すようになって、古フランス語 espice 経由で英語に入りました。学問の言葉として直接借りた species と、台所に降りてきた spice。出発点は同じ一語です。

bishop(司教)も同じで、ギリシャ語で「上から見守る人」。見る→監督する→教会の役職、という道筋です。

species から枝分かれした special 一族

speci の部分は、special(特別な) とも親戚です。こちらは「種類」の意味を引き継いだグループ。

単語品詞意味成り立ち
species名詞種、種類ラテン語 species
special形容詞特別なラテン語 specialis=特定の種類に属する
especially副詞特にe+special+ly
specialist名詞専門家special+ist
specialize動詞特化するspecial+ize
specialty / speciality名詞専門、名物special+ty
specific形容詞特定の、明確なspecies+ficus(作る)
specify動詞明記する同上の動詞形
specious形容詞もっともらしい(実は違う)見た目だけは立派

最後の specious が効いています。「見た目はいい」が、裏返って「中身が伴わない」に転んだ語。speci が「見た目」の意味だと知っていれば、この皮肉はすぐ飲み込めます。

派生語|specification まわり

単語品詞意味発音
specification名詞仕様、仕様書、明細スペシフィケーション /ˌspesɪfɪˈkeɪʃn/
specifications名詞(複)仕様一式―
spec名詞(略)スペック、仕様スペック /spek/
specify動詞明記する、指定するスペシファイ /ˈspesɪfaɪ/
specific形容詞特定の、具体的なスペシフィック /spəˈsɪfɪk/
specifically副詞具体的には、とりわけ/spəˈsɪfɪkli/
unspecified形容詞特定されていない/ʌnˈspesɪfaɪd/

TOEIC・英検での出題傾向

specification は、TOEIC では Part 7 の製品案内・見積書・契約書で定番です。technical specifications、meet the specifications、according to the specifications といった形で出ます。Part 5 では specify / specific / specifically の品詞を問う形も見かけます。

英検では準1級あたりの語彙ですが、specific・especially は3級〜準2級から当たり前に出てくるので、同じ一族だと分かっていると丸暗記が減ります。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Please check the specification before you order.
  2. The specification explains how the machine works.
  3. Your idea becomes real when you write a clear specification.
  4. She read the specification twice and found the answer.
  5. A good specification saves everyone time.
  6. The team updated the specification last week.
  7. If the specification is clear, your work goes faster.
  8. He wrote the specification in simple words, so everyone understood it.
  9. This product meets every specification on the list.
  10. Write your own specification for the life you want.

語源メモ|specere から specification まで

specification は、中世ラテン語 specificatio から来ています。もとは後期ラテン語の動詞 specificare(特にはっきり言う)で、その元が specificus(ある種類をなす)。specificus は species(見た目・種類)+ -ficus(facere=作る)の組み合わせです。

英語に入った1610年代の意味は「あるものに特定の性質を与えること」。今の「技術的な仕様・明細」の意味になったのは1833年ごろで、もともとは特許法の用語でした。出願者が装置の構造と使い方を書いた説明書・・・それが specification です。「仕様書」という日本語がぴったり重なります。

さらに奥、species の元をたどると動詞 specere(見る)、そして印欧祖語の *spek-(観察する)。この語根はラテン語(spect/spic)、ギリシャ語(skop-、音が入れ替わった形)、ゲルマン語(spy)の3ルートで英語に入り込んでいて、派生の数はシリーズでも屈指です。

なお、後半の -fication(facere=作る)は modification や identification と共通のパーツです。この記事では speci 側に寄せているので、facere 側の広がりはそちらの記事をどうぞ。

まとめ

specification は、speci(species=見た目・種類)+ fic(作る)+ ation で「見分けがつくように書き出したもの」=仕様・仕様書。

  • speci(specere=見る)・・・意味の中心。inspect/suspect/respect/expect/perspective へ
  • ラテン語の外へ・・・spy/scope/telescope/skeptic/bishop/spice も同じ *spek- 一族
  • species(種類)側・・・special/especially/specialist/specific/specious へ
  • カタカナの「スペック」が仕様の意味になったのは1956年ごろ。意外と新しい

スペックを見る、という日本語の言い回しは、語源的にも正しかったわけです。

specification の語源ワードマップ。中心は specification(=見分けがつくように書き出したもの、仕様・仕様書)で、speci(species=見た目・種類)+fic(facere=作る)+ation に分解。語源・中心(specere=見る/印欧祖語 *spek-)、spect・spic系(inspect / suspect / respect / expect / perspective / conspicuous)、species系(special / especially / specialist / specific / specious / spice)、覚え方のヒント(scope / telescope / skeptic / bishop / spy)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:speci(species=見た目・種類/specere=見る)+fic(作る)+ation =「見分けて書き出したもの」
  • spect・spic 系:inspect/suspect/respect/expect/prospect/perspective/conspicuous
  • ギリシャ語・ゲルマン語系:scope/telescope/skeptic/bishop/spy/espionage
  • species(種類)系:special/especially/specialist/specific/specify/specious/spice

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翻訳練習の解答

  1. 注文する前に、仕様を確認してください。
  2. その仕様書には、機械の動く仕組みが書いてある。
  3. あなたのアイデアは、はっきりした仕様書に書き出したとき、はじめて形になる。
  4. 彼女は仕様書を二度読んで、答えを見つけた。
  5. よくできた仕様書は、みんなの時間を節約してくれる。
  6. チームは先週、仕様書を更新した。
  7. 仕様がはっきりしていれば、あなたの仕事は早く進む。
  8. 彼は仕様書をやさしい言葉で書いたので、全員が理解できた。
  9. この製品は、リストにあるすべての仕様を満たしている。
  10. あなたが望む人生の仕様書は、自分で書こう。

集録語彙リスト

この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。

NAWL(New Academic Word List)集録語

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TSL(TOEIC Service List)集録語

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