車やバイクの「ショックアブソーバー」。段差を越えたときのガツンという衝撃を、やわらげてくれる部品です。
このアブソーバーの元になっている動詞が absorb。学校では「吸収する」と習いましたよね。
おもしろいのはここからで、この一語を ab と sorb に分けてみると、「衝撃を吸収する」も「本に夢中になる」も、同じ一本の線でつながります。コストを吸収する、という少し硬いビジネス表現まで、まとめて腑に落ちる。
分けて見るだけなので、やってみましょう。
absorb を分解してイメージで覚える|真ん中の “sorb” が吸い込む
absorb をパーツで見ると、こうなります。
ab(離れて・外へ)+ sorb(吸い込む)
意味の中心は、真ん中の sorb。ラテン語 sorbere(吸い込む・飲み込む)で、ストローで吸い上げるような動きです。
そこに頭の ab(離れて)が付くので、「吸い込んで、もとの場所から持っていってしまう」。
ショックアブソーバーを思い浮かべると、そのままです。路面から来た衝撃を吸い込んで、乗っている人のところまで届かないように、よそへ逃がしてしまう。吸い込む(sorb)+ 持ち去る(ab)。この装置ひとつで、absorb の意味が丸ごと説明できます。
タオルが水を吸う、スポンジが汁を吸う、壁が音を吸う・・・すべて同じ動きです。表面にあったものが、吸い込まれて消える。
absorb の基本の意味と使い方
absorb は「吸収する」を表す動詞です。吸い込む対象は、液体にかぎりません。
- This towel absorbs water quickly.(このタオルは水をよく吸う)
- The wall absorbs sound.(その壁は音を吸収する)
- The company absorbed the extra cost.(その会社は追加のコストを吸収した)
3つ目のような使い方は、ビジネス文書でよく出ます。値上がり分を、客に回さず自社で飲み込む・・・これも立派な「吸収」です。
そして、人にも使えます。
- You absorb new words faster than you think.(あなたは思っているより早く、新しい単語を吸収している)
be absorbed in という形になると、「〜に夢中になる、没頭する」。
- He was absorbed in the book.(彼はその本に夢中だった)
これ、受け身なのがポイントです。自分が吸い込むのではなく、自分のほうが吸い込まれている。夢中になっているときの感覚として、かなり正確な言い方だと思いませんか。
使い分け|absorb・soak up・take in
「吸い込む」を表す語はいくつかありますが、手ざわりが違います。
| 語 | 手ざわり | 使う場面 |
|---|---|---|
| absorb | 硬め・守備範囲が広い | 液体・音・衝撃・コスト・知識、どれにも使える |
| soak up | 口語的・たっぷり | 水をぐんぐん吸う、雰囲気や日差しを浴びる |
| take in | やわらかい・広い | 情報を取り込む、理解する、受け入れる |
文章で書くなら absorb、友だちとの会話なら soak up。「話が頭に入ってこない」という場面では take in が自然です(I couldn’t take it all in.)。
“sorb(吸い込む)” でつながる単語ネットワーク
sorb の一族は、英語ではそれほど数が多くありません。ほとんどが absorb のまわりに集まっています。逆に言えば、sorb という綴りを見たら、まず「吸い込む」を疑ってよいということです。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| absorbent | 吸収性の | ab(離れて)+sorb=よく吸い込む性質の |
| absorption | 吸収、没頭 | absorb の名詞形 |
| absorber | 吸収するもの、緩衝装置 | 吸い込んでくれる側 |
| adsorb | 吸着する | ad(〜へ)+sorb=表面にくっつけて取り込む |
| resorb | 再吸収する | re(再び)+sorb=もう一度吸い込む |
adsorb は化学や工学で使う語で、absorb(中まで吸い込む)との対比で生まれました。吸収は中へ、吸着は表面に。この一文字違いは、理系の英文を読むときに効いてきます。
ab(離れて)でつながる単語ネットワーク
もう一方の ab(離れて・外へ)をたどると、ぐっと守備範囲が広がります。こちらは日常語の宝庫です。
| 単語 | 意味 | 語源 |
|---|---|---|
| absent | 不在の | ab〈離れて〉+esse〈いる〉=そこにいない |
| abstract | 抽象的な | abs〈離れて〉+tract〈引く〉=引き抜いて取り出す |
| abduct | 連れ去る | ab〈離れて〉+duct〈導く〉 |
| abnormal | 異常な | ab〈離れて〉+normal〈基準〉=基準から外れた |
| abstain | 控える、棄権する | abs〈離れて〉+tain〈保つ〉=手を出さずにおく |
| abrupt | 突然の | ab〈離れて〉+rupt〈破れる〉=ぷつりと切れた |
| absolute | 絶対の | ab〈離れて〉+solute〈解き放つ〉=何からも切り離された |
「頭に ab が見えたら、たぶん”離れていく”話」。この当たりがつくようになると、初見の単語でも方向が読めます。
absorb は、この ab(離れて) と sorb(吸い込む) が合わさった場所に立っている一語です。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| absorb | 動詞 | 吸収する、夢中にさせる | アブゾーブ /əbˈzɔːrb/ |
| absorption | 名詞 | 吸収、没頭 | アブソープション /əbˈsɔːrpʃən/ |
| absorbent | 形容詞 | 吸収性の | アブゾーベント |
| absorbed | 形容詞 | 夢中の、没頭した | アブゾーブド |
| absorbing | 形容詞 | 夢中にさせる、引き込まれる | アブゾービング |
| absorber | 名詞 | 吸収するもの、緩衝装置 | アブゾーバー |
ひとつ、音の注意を。動詞の absorb は濁って「アブゾーブ」と読まれるのが一般的ですが、名詞の absorption は濁らず「アブソープション」です。綴りも b が p に変わります。TOEICのリスニングで聞き分けに迷うところなので、音で一度そろえておくと安心です。
TOEIC・英検での出題傾向
TOEICでは「コストを吸収する」と、品詞問題。
Part 5・6では、absorb → absorption → absorbent の品詞の入れ替えが定番です。
The company decided to ____ the additional shipping costs.
空所の前が to、後ろが目的語なので、動詞 absorb が入ります。absorption(名詞)を選ばないように。
Part 7では、値上げの告知メールや製造業の文書で absorb the cost / absorb the impact という形で登場します。「自社でかぶる」という意味だと分かれば、読みが速くなります。
英検では2級〜準1級あたり。 長文で absorb(吸収する)そのものより、be absorbed in(夢中になる)の形で問われることが多い印象です。「吸収」から連想しにくい意味なので、ここだけは別で覚えておくと取りこぼしません。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Plants absorb water through their roots.
- This towel absorbs water very quickly.
- You absorb more than you realize.
- These tires absorb the shock of a rough road.
- She was absorbed in her book all afternoon.
- Taking notes helps you absorb what you hear.
- The company absorbed the extra cost.
- Give yourself time to absorb the good news.
- A quiet walk helps you absorb the day.
- What you absorb slowly stays with you.
語源メモ|ラテン語 absorbere から
absorb は、ラテン語 absorbere(飲み込む・吸い尽くす)に由来します。分けると ab-(離れて・〜から)と、動詞 sorbere(吸い込む・すする)。
このsorbere が意味の中心で、ストローで吸い上げるような動きを表しました。そこに「離れて」の ab- が付くので、「吸い込んで、その場から消してしまう」という方向が出ます。英語には15世紀ごろ、フランス語 absorber を経て入りました。
「夢中になる」の意味が出てくるのは、ずっとあとです。人の注意が、何かにすっかり吸い取られてしまう・・・この比喩から、be absorbed in(〜に没頭する)という言い方が定着しました。液体を吸う話と、心を奪われる話が、同じ一語の中に同居しているわけです。
ちなみに adsorb(吸着する)は、19世紀末に科学の用語として absorb をまねて作られた、かなり新しい語です。中まで吸い込むのが absorb、表面にくっつけるのが adsorb。ad-(〜へ)と ab-(離れて)の違いが、そのまま意味の違いになっています。
まとめ
absorb は、ab(離れて)+ sorb(吸い込む)で「吸い込んで、外へ持っていく」=吸収する。
- sorb(sorbere)・・・吸い込む。absorbent/absorption/adsorb/resorb の一族へ
- ab-・・・離れて・外へ。absent/abstract/abnormal/abstain/abrupt の一族へ
- be absorbed in・・・自分のほうが吸い込まれる=夢中になる
ショックアブソーバーが衝撃を吸ってくれるように、人も、受け取ったものを少しずつ吸い込んでいきます。

- 語源・中心:ab(離れて)+ sorb(吸い込む)=「吸い込んで外へ持っていく」
- 覚え方のヒント:ショックアブソーバー=衝撃を吸い込んで逃がす装置
- sorb(吸い込む)一族:absorbent/absorption/absorber/adsorb/resorb
- ab(離れて)一族:absent/abstract/abduct/abnormal/abstain/abrupt/absolute
NAWL・TSL・BSL すべてに収録された語
この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。
出典:New General Service List Project
関連記事
翻訳練習の解答
- 植物は、根から水を吸い上げる。
- このタオルは、水をとてもよく吸う。
- あなたは、自分で思っている以上に吸収している。
- このタイヤは、荒れた路面の衝撃を吸収してくれる。
- 彼女は午後じゅう、本に夢中だった。
- メモを取ると、聞いた話が頭に入りやすくなる。
- その会社は、追加の費用を自社でかぶった。
- うれしい知らせは、受け止める時間をとっていい。
- 静かな散歩をすると、一日が自分の中に落ちていく。
- ゆっくり吸収したものは、ちゃんと残る。


