「メンタル(mental)」という言葉、今ではすっかり日本語として定着していますよね。心や精神のこと。実はこの mental が、意外な単語の真ん中に隠れています。dementia(認知症)です。
dementia をじっと見ると、真ん中に ment。そう、mental と同じ「心」です。ここに気づくと、認知症という一見とっつきにくい単語が、ぐっと身近になります。
そしてこの ment(心・思う)は、mind・mention・comment・・・たくさんの単語に共通する意味の中心。dementia を入り口にすると、そこから芋づる式に世界が広がっていきます。
dementia を分解してイメージで覚える|真ん中の “ment” が「心」
dementia をパーツで見ると、こうなります。
de(離れる)+ ment(心)+ -ia(状態を表す語尾)
真ん中の ment は、mental(精神の)と同じ「心」。そして頭の de は「離れる・下へ」を表します(depart=出発、decline=衰える、のあの de です)。
つなげると、「心(ment)から、離れる(de)状態」。それが dementia=認知症です。心そのものが消えるわけではなく、本来の働きから少しずつ離れていく・・・語源をたどると、そんな輪郭が見えてきます。
覚え方はシンプルです。「mental の”心”が、de(離れて)いく」。この一枚の絵で、綴りも意味も一緒に入ってきます。
dementia の基本の意味と使い方
dementia は「認知症」を表す名詞です。記憶力や判断力といった心の働きが、少しずつ低下していく状態を指します。
- have dementia(認知症を患っている)
- someone with dementia(認知症のある人)
- senile dementia(老年認知症)
数えられない名詞なので、原則 a dementia とは言いません。「the disease called dementia(認知症という病気)」のように使います。医療や介護の場面で登場する、知っておくと役立つ一語です。
“ment(心・思う)” でつながる単語ネットワーク
dementia の意味の中心 ment(心・思う/ラテン語 mens・mentis)を知っておくと、まったく別ジャンルに見える単語が一気につながります。この記事ならではの広がりです。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| mental | 精神の、心の | ment(心)+al=心に関する |
| mind | 心、思考 | 同じ語根から生まれた、英語ネイティブの兄弟語 |
| mention | 言及する | 心に浮かんだことを口にする |
| comment | コメント、論評 | com(一緒に)+ment=心を働かせて言う |
| mentor | 助言者、師 | 相手のことを思い、導く人 |
| monument | 記念碑 | 心に思い出させる(記憶させる)もの |
「ment/men が入っていたら、たぶん”心・思う”の話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。dementia は、この ment 一族への入り口でもあるんです。
“de(離れる・下へ)” でつながる単語ネットワーク
一方で、頭の de(離れる・下へ)をたどると、方向のイメージでまとまる一群が見えてきます。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| depart | 出発する | de(離れて)+part=その場を離れる |
| decline | 断る、衰える | de(下へ)+cline=下に傾く |
| decrease | 減る | de(下へ)+crease=数が下がる |
| detach | 引き離す | de(離す)+tach=くっついたものを離す |
| descend | 下りる | de(下へ)+scend=降りていく |
| delete | 削除する | de+lete=消し去る |
dementia は、この「ment(心)」と「de(離れる)」という2つの家族が交わる場所に立っている単語・・・そう捉えると、一語から二方向に世界が広がります。
派生語|dementia まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| dementia | 名詞 | 認知症 | ディメンシャ /dɪˈmenʃə/ |
| demented | 形容詞 | 認知症を患った、正気を失った | ディメンティッド /dɪˈmentɪd/ |
(※ 巷で見かける Demential・Pre-dementia・Post-dementia などは、標準的な辞書に載る単語ではないため外しています。実在が確かなのは上の2語です。)
TOEIC・英検での出題傾向
dementia は、TOEIC の頻出語ではありません。医療・介護や健康をテーマにした長文やニュース記事で見かける程度です。英検でも準1級以上の長文で出会うことがある、ややレベルの高い語です。
ただ、真ん中の ment(心)を押さえておけば、mental・mention・comment など出題頻度の高い語まで一気につながります。dementia そのものより、この ment 一族を手に入れることに価値があります。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Dementia affects memory, but kindness still reaches the heart.
- The word “dementia” comes from a root that means “mind.”
- You can support a person with dementia just by being patient.
- Doctors learn more about dementia every year.
- Dementia is a condition, not the person’s fault.
- Many families walk through dementia together.
- When you understand dementia, you can care with more warmth.
- Even with dementia, small moments of joy remain.
- Research on dementia gives us real hope for the future.
- A person with dementia is still a person, first and always.
語源メモ|de と mens が出会う言葉
dementia は、ラテン語 dementia(狂気・正気を失った状態)に由来します。分けると、de(離れる・〜から)と mens/mentis(心・精神)。
もとをたどれば demens(正気でない)= de mente(心から離れて)という句からできた言葉で、1806年ごろに英語の医学用語として定着しました。
真ん中の ment は、mental・mention・comment・monument など、たくさんの単語に共通する「心・思う」の意味の中心です(さらにさかのぼると、英語の mind もこの語根の兄弟にあたります)。dementia を入り口に、この一族へ広げていけます。
なお、頭の de は「否定」というより「離れる・下へ」のイメージ。depart(離れて行く)や decline(下へ傾く)と同じ de です。「心から離れる」と捉えると、意味がまっすぐ入ってきます。
※ mental・comment などが同じ ment 一族なのは確かですが、memory・remember はよく似ていても別語源(*(s)mer-=覚えている)とされています。ここだけ混ぜないよう整理しておくと、鋭い人に聞かれても迷いません。
まとめ
dementia は、de(離れる)+ ment(心)+ -ia で「心から離れた状態」=認知症。
- ment(mens)・・・心・思う。mental/mind/mention/comment/monument などの一族へ
- de・・・離れる・下へ。depart/decline/decrease/detach などの一族へ
- dementia は、その2つが交わる入り口
真ん中の ment に気づけば、認知症という言葉も、そこから広がる何十もの単語も、一本の糸でつながります。

- 語源・中心:de(離れる)+ ment(心)+ -ia =「心から離れた状態」
- 覚え方のヒント:ment → mental の「心」/de → 離れる
- ment(心)一族:mental/mind/mention/comment/mentor/monument
- de(離れる)一族:depart/decline/decrease/detach/descend/delete
関連記事(内部リンク)
- comment の語源(ment でつながる語)→ (近日中に公開)
- mental の語源(ment 一族の中心)→ (近日中に公開)
- 英単語の語源・パーツ分解 全リスト
翻訳練習の解答
- 認知症は記憶に影響する。それでも、やさしさは心に届く。
- 「dementia」という言葉は、「心」を意味する語根から来ている。
- そばで根気よく寄り添うだけでも、認知症のある人の支えになる。
- 医師たちは毎年、認知症について理解を深めている。
- 認知症は一つの状態であって、その人のせいではない。
- 多くの家族が、認知症とともに歩んでいく。
- 認知症を理解すると、もっと温かく寄り添えるようになる。
- 認知症があっても、小さな喜びの瞬間は残る。
- 認知症の研究は、未来への確かな希望をくれる。
- 認知症があっても、その人はやはり一人の人間だ。ずっと変わらず。

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