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不登校の放置とその末路?見守ること、気持ちに寄り添うことを大切に

 不登校のお子さんをお持ちの親の立場は、本当につらいものですね。心配、不安、葛藤、イライラ。子どもが一番つらいことはわかっていても、親のつらさも言葉にあらわせないくらいだと思います。

 「どうしてよいかわからず放置してしまう」「とにかく見守ろう」ということもありましょう。その結果がどうなるのか・・・と将来のことを考えると余計不安がつのります。

 この記事では、不登校の息子を育てた経験から、親にできることは何かを考えてみたいと思います。

不登校の子の生活の変化 昼夜逆転 寝てばかり

 学校に行かなくなると、昼夜逆転したり、寝てばかりという話はよく聞きます。うちの息子はどちらかというと寝てばかりという感じでした。休日は私がいるので起きますが、私が仕事の日は昼まで寝ていることが多かったです。

不登校の放置とその末路|見守るより気持ちに寄り添うことを大切にの画像

昼夜逆転になる理由

 学校に行かなくなったばかりの頃、息子は夜布団に入るとよく言っていました。「朝がこなければいいのに」と。

 学校に行かなくなっても、「行かなくちゃ」という気持ちを、子どもは強く持っているようです。でも、朝になると気持ちの葛藤が始まります。「行かなくちゃ、でもやだ」「親に心配をかけて申し訳ない」。この葛藤は、親が思うより深刻なのだと思います。

 布団に入る時間になると、翌朝のことを考えて不安で眠れない。それが原因で、夜スマホやゲームに走るのだろうと考えています。そもそも朝起きた時点でひどい葛藤。学校に行かなければ家ですることもないというのが、不登校になってすぐの状態ですから。「朝が来なければいいのに」という気持ちはよくわかります。

 昼間もゲームをする場合もよくあるでしょう。学校に行かなければ何もすることがない。それも子どもにとっては大きなストレス。そういうストレスを忘れるためのゲームやYouTubeなのでしょう。夢中になっている間は、学校のことを忘れることができますから。大人がストレスでお酒やスイーツに走るのと同じなのかもしれません。

寝てばかりの理由

 不登校には必ず前兆があります。いじめに合っている場合は、物をよくなくすとか元気がなくなるとか。頭やお腹が痛いと言い出したり。うちの息子も学校から帰って来るとそういうことがよくありました。さすってあげるとすぐ治るのですが。ある時、キッズ携帯がボロボロになっていました。頭に来て地面に投げつけたようです。

 こういう時期を通じて、子どもは次第に「うつ状態」になっていくように思います。不登校になった時には、もう「うつ状態」になっているのでしょう。うつ状態の症状の1つに過眠があります。心が疲れ切っているので、身体を動かす気力もわかないということです。心がもう、クタクタなのです。

 児童生徒のうつ状態については、こんなデータもあります。

1. 国立成育医療研究センターの調査

 2021年12月に実施された「2021年度新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査」では、小学5~6年生の9%、中学生の13%に中等度以上の抑うつ症状が見られました。

 同時期に行われた「コロナ×こどもアンケート第7回調査」では、小学5~6年生の13%、中学生の22%に中等度以上の抑うつ症状が確認されました。

2. 国立精神・神経医療研究センターの報告

 同センターの報告によれば、児童・思春期の不登校児童・生徒における抑うつレベルは高いことが知られています。

3. 文部科学省の調査

 文部科学省の「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、令和4年度の小・中学校の不登校児童生徒数は約29万9千人で過去最多となっています。

 これらのデータは、児童生徒のうつ状態や不登校の増加傾向を示しており、早期の対応と支援が求められています。

 うつ状態というのは、本人には気づきにくいものだそうです。また、親には相談できない子どもが多く、気が付いた時にはかなり深刻な状態になっていることもあります。その1つが不登校であるとも考えられます。

 コロナ禍が去ったとは言っても、毎日行くのが楽しいと思える学校が多いとは言えず、子どもたちの心の中には、さまざまなストレスがたまっているように感じます。大人がストレスを抱える社会なのですから、子どもはそれ以上かもしれません。

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不登校になりやすい家庭

 不登校になりやすい家庭というのは、正直ないように感じます。親が子どもを虐待していることがない限り。今は大学生を教えていますが、中学校教師の時代から、親子関係がうまくいっている家庭でも、不登校になることはありました。大学生は6月と11月、急に大学に来なくなる学生が増えます。話を聞いてみると、家庭はしっかりしていて居心地は悪くない場合もあります。そういう意味では、不登校は誰にでも起こることなのです。

 ですから、「育て方が悪かった」思う必要は基本的にないと思います。父親が仕事ばかりで、子育ては母親任せ。そういうご家庭では、お母さんが八方ふさがりで心を病む寸前まで追い込まれていることもあるのではないでしょうか。

担任が何もしてくれない

 私が中学校教師をしていた頃は、学校に来れない子の家庭訪問を週に何度もしました。場合によっては、子どもと一緒に食事して行って下さいと頼まれ、担任している生徒と一緒にご飯を食べて話したこともありました。

 時代は変わり、うちの息子が学校に行かなくなってから、担任の先生が来ることは本当に数えるほどでした。私も息子に余計なプレッシャーをかけたくないと思い、学校に関する話はしませんでしたし、担任に相談することもしませんでした。

 学校に行かなくなってすぐ、息子は部活だけは行っていました。すごい精神力だと私も驚いたことを覚えています。ところが数週間経って、部活の顧問から「授業に出ないのに部活だけ来るのは困る」と言われたそうです。部活に行けていれば、いずれ教室に入ることがあるかもしれないのに・・・と私はがっかりしました。けれど、私は息子に、「もう(行かなくて)いいよ」と伝えました。この日から息子は完全に不登校になりました。もともと期待はしていませんでしたが、学校の先生に頼る気持ちも失せました。

 学校の先生は、生徒と向き合う時間がどんどん削られ、ブラックな職場だと言われるようになりました。教職を去る先生も増え、先生不足が社会問題になる時期です。不登校の子に寄り添う時間や気持ちの余裕もないのだろうと思います。

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子どもの気持ちを認め、心に寄り添うこと

 幸い私は中学校教師の経験がありましたから、不登校の子どもの気持ちや接し方について、ある程度の知恵がありました。それ以上に自分の子どもは可愛くて仕方なく、生徒に接する以上に息子の気持ちを認め、心に寄り添おうと努力しました。

 学校に行かなくなってすぐ「朝が来なければいいのに」という息子に、「お前は何も悪いことをしているわけじゃないんだから、学校に行かなくても全然かまわない」と私は言いました。息子は「なんで父ちゃんそんなにやさしいの?」と息子が言ったことを今でも覚えています。

 そして、中学校1年生の頃まで、夜は息子が眠るまで添い寝してあげていました。家庭は安心して過ごせる場所であることをわかったほしい気持ちからでした。また、引きこもりになった場合、立ち直るまでに引きこもっている期間の2倍かかるという知識もありましたから、とにかく引きこもりにさせないことだけを考えました。

 休日は必ず息子を連れて遊びに出ていましたし、そのせいか、家にいる息子には、どんどん笑顔が増えていきました。

 学校に行かなくても大切な家族。そんなふうに気持ちを認め、心に寄り添う努力をしました。

勉強だけは親には教えられない

 そういう努力はしていましたが、ある時大きな壁につきあたりました。勉強という壁です。

 親は不登校の子に、勉強を教えることは絶対にできません。私は教職にありながら、というか教職にあるせいで、自分の子どもがどれだけ勉強ができなくなっているのかを知った時、正直ショックでしたし、イライラもしました。特に自分が教えている英語という科目がこれほどできないのか・・・そこに気づいた時はかなり動揺したのを覚えています。

放置する、見守ると 心に寄り添うことの違い

 不登校は放っておけばいい、見守ることが大切だと言われます。私はちょっと違うと思っています。学校に行かなくなると、親子ともに、いろいろな不安がつのります。「このままじゃいけない」そう思う気持ちが強いのは、親よりも子どもの方なのだと思います。

 ですから、休日にいろいろなところに出かける。その時は学校に行っていた時の友だちとその家族を誘うというようにしていました。担任の先生は放置でも、友だちは息子にきちんと接してくれて一緒に遊んでくれるからです。同じように不登校のお子さんがいるご家庭では、親同士も励まし合えますので。

 子どもの心に寄り添うということは、「このままじゃいけない」という子どもの気持ちに、何かしらの経験や、人と出会う機会を増やしてあげることなのだと思います。子どもは自分の気持ちに応じて、選択をし、自分に合うことは捨て、自分に合うことを見つけていく。そこから社会との接点を見つけるようになると感じています。機会を与えて見守る。それなら見守ることにも意味があると考えます。

 ただし、勉強は親には教えられません(笑)。そこで私は家庭教師をお願いすることにしました。勉強に関してはこれは大正解でした。たまたま息子に合う家庭教師の先生で、そのおかげで息子は塾に行くようになり、第一志望の高校に入学しました。家庭教師の先生との相性は本当に大切だと思います。

 息子はその後国立大学を出て今は立派に社会人をしています。親を大きく乗り越えてしまって、少し寂しい気持ちもありますが、私は息子を誇りに思っています。息子もそうでしたが、中学校教師として多くの不登校のお子さんを見てきましたが、その後発揮するパワーは人並み以上であることが多かったです。

 不登校で悩む皆さんの気持ちは、自分が経験しているからこそよくわかります。もし子どもが望めば、いろいろな経験の機会を与えてあげることが、子どもの心に寄り添うことになるように思います。あくまで子どもが望めばです。

 家庭教師のことについては、別の記事で書きましたので、よろしければご一読下さい。学校に行かなくても大学進学はできる!ということも書いています。

 それから、英語は学校に行かなくても自宅で学べます。独学ができる子ほど、語学は伸びやすいです。不登校のお子さんの方が、英語の勉強ができるようになる可能性が高いです。英語教員としての長い経験をまとめていますので、「英語が勉強したいな」とお子さんがおっしゃるようでしたら紹介してあげて下さい。

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