『介護スナック ベルサイユ』は、とても私の心に刺さるドラマです。
昨年父が介護施設に入り、3か月ほどで他界しました。残された私の母親は92歳になります。
皆さんのご家庭はどうですか? 時間というのは私たちを待ってくれず「高齢者」と呼ばれるようになるまでは、あっと言う間なのかもしれません。
調べたところ、「ベルサイユ」のような、介護スナック。実際にあるようなんです。そこでちょっとだけ調べてみました。
この記事を読むとわかること
- 『介護スナックベルサイユ』に登場する小日向柊は実在する人物なのか?
- 介護スナックというコンセプトは現実に存在するのか?
- 実際の介護現場や高齢者向けスナックの取り組みとは?
『介護スナックベルサイユ』とは?設定と小日向柊の役割

2025年3月に放送されたドラマ『介護スナックベルサイユ』は、高齢者と若者が交わる不思議なスナックを舞台に、人生の終盤に寄り添う“もうひとつの家族”のような場所を描いています。
物語の主人公である小日向柊(こひなた・しゅう)は、過去に詐欺グループに属していたという暗い背景を持つ女性。高齢者に対して苦手意識を持ちながらも、ひょんなことから介護スナック「ベルサイユ」で働くことになります。
ドラマでは、彼女がこの場所を通じて人とのつながりを取り戻し、自らの傷と向き合いながら成長していく姿が感動的に描かれています。
小日向柊は実在する?キャラクターのモデルを調査
「小日向柊って実在するの?」という疑問を抱いた視聴者も多いはず。しかし、脚本家・清水有生氏によれば、小日向柊というキャラクターは実在の人物ではなく、複数の取材をもとに生まれた“創作キャラクター”です。
清水氏は、実在する介護スナックや高齢者の交流施設を多数取材し、そこで出会ったリアルな人々やエピソードを元にストーリーを構築したと語っています。
つまり、小日向柊は「誰か一人のモデルがいる」のではなく、「介護の現場で生きる多くの人たちの想い」が集約された象徴的な存在なのです。

介護スナックベルサイユは実在する?現実にある“介護×スナック”の取り組み
ドラマの中で描かれた「介護スナックベルサイユ」はファンタジックな設定も含まれていますが、実際に現実の世界でも介護とスナック文化を融合させたような取り組みは存在しています。
たとえば、高齢者向けの“昼スナック”や“カラオケデイサービス”などがその一例。
東京都や大阪では、介護資格を持つスタッフが常駐しながら、高齢者が安心して通えるスナック風の施設が運営されています。
認知症予防やリハビリの一環として、カラオケやお酒を楽しむことができる場として注目を集めています。
また、「認知症カフェ」や「通いの場」なども、スナック的な雰囲気を取り入れた工夫をしていることが多く、利用者同士の交流を促進する大切な場所となっています。
① 昼スナック「より道サロン」(東京都墨田区)
- 高齢者向けのサロン形式で、昼間だけ営業するスナック風の場。
- 地域包括支援センターやボランティアと連携して運営。
- カラオケ、懐かしい昭和歌謡、軽食などを楽しみながら、スタッフが見守る安心空間。
- 高齢者同士の“仲間づくり”や“生きがい支援”の一環として位置づけられている。
決してひとりにはしない。 笑顔で迎えて笑顔で帰す「歌声喫茶」でいきいきと
② 「つどい処 絆」(大阪府堺市)
- 高齢者や認知症の人とその家族が集う場所。夜間営業も一部対応。
- 店内はスナック風の内装で、カウンターで会話したり、歌ったりできる空間を提供。
- 介護職員や地域住民の協力を得ながら、孤立を防ぐ場として好評。
③ 「カラオケ介護デイ」(全国展開あり)
- 高齢者向けデイサービスにカラオケスナック風の要素を取り入れたスタイル。
- 内装がバーやスナック風で、マイクや照明も本格的。
- 認知症予防、口腔体操、呼吸筋のトレーニングとしてカラオケを導入。
実在の介護スナックの事例:人とのつながりを生む場所

東京都足立区には、高齢者向けに設計された実在の“介護スナック風施設”が存在しており、要介護認定を受けた高齢者でも通えるよう配慮された作りになっています。
店内にはバリアフリー対応の椅子や手すりが設置され、昼間は介護士が常駐。カラオケタイムや、昭和歌謡を一緒に楽しむプログラムなども提供されており、まさにドラマ『介護スナックベルサイユ』の世界を彷彿とさせる雰囲気です。
これらの取り組みは、高齢者にとって「ただの福祉サービス」ではなく、「心の拠り所」となるような新しい地域コミュニティの形を生み出しています。
“記憶に寄り添う”介護スナックというアイデアの深さ
その人の歴史を知ってあげるっていうことは、その人を認めてあげることだから
「ベルサイユ」のママが第1話の冒頭で言う一言です。すごく深いと思います。
ドラマ『介護スナックベルサイユ』では、特製ワインを飲んだ客が若き日の幻想世界へと導かれるという印象的な演出があります。
この設定は、現実の介護スナックにはないファンタジー要素ですが、「記憶の中で再び会いたい人に会う」という願いは、介護現場に携わる多くの人々が日々目の当たりにしている“リアルな希望”でもあります。
このように、介護スナックベルサイユのコンセプトには、現実の介護の課題と、癒しの理想が絶妙に織り交ぜられており、小日向柊の成長物語とともに、視聴者に大きな感動を与えています。
フィクションが照らす、あたたかい介護の形
小日向柊は実在しませんが、彼女に重なるような人生を歩んできた人は、現実にきっとどこかにいます。
そして、介護スナックベルサイユという舞台もまた、完全な空想ではなく、実在の介護スナック的取り組みにインスパイアされたものでした。
このドラマが多くの人の心に響いたのは、介護という現実に“優しさ”と“希望”の灯をともしてくれたからにほかなりません。