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洋楽(英語の歌)って英語の勉強の役に立つ?

 洋楽を英語の勉強に取り入れる方がいらっしゃいます。私自身、中学生の頃に人気のあったカーペンターズの歌で英語が好きになったという記憶があります。カーペンターズの曲のおかげで、現在の仕事に就けたというようなところがあります。

 最近は大学の授業でも「英語の勉強に洋楽聞いてます」という方がいらっしゃいますので、洋楽を使った勉強方法についても触れてみたいと思います。

洋楽は英語力の向上にとって・・・ビミョー

 洋楽が英語の勉強に役立つかどうかについては、かなりビミョーであると個人的に思っています。その理由は・・・

  • 歌詞の表現が必ずしも適切だとは限らない
     ラブソングが典型ですが、会話で歌詞の一部を使う場合、愛を伝える大げさな表現になったり、場違いな表現になってしまうことがあります。同様にスラング(方言のようなもの)も多いこともあります。日本人がTシャツを着ているのを目にしますが、私が見ても、恥ずかしくてとても着ることができないという表現の英語を目にすることがあります。それと同じように歌詞にも、使うのを避けたい表現が含まれている場合があります。
  • 曲のテンポが速い
     ゆっくりの曲でしたら、発音が聞き取りやすくてよいのですが、ノリのいい曲の場合、聞き取りが難しい場合が多いです。初めて聞く英語の歌の歌詞はわからないものです。私の経験上。歌詞カードを見ずに初めて聞く洋楽の歌詞が理解できるようになったのは、かなり英語の勉強年数が長くなってからでした。
  • 息抜きの域を出ない
     最近は中学校や高校の教科書に、洋楽が登場するようになりました。また、以前から、生徒に英語の勉強を好きになってもらいたいと、洋楽を取り入れる英語の先生がいらっしゃいました。私もその一人です。ただ、洋楽の歌詞を覚えるなどしても、生徒・学生の英語力が上がったという経験はほとんどありません

     洋楽で英語の勉強が好きになった、という方は少なくありません。が、洋楽で英語の勉強ができるようになった、という話はほとんど聞きません。「好きになる」ことと「できるようになる」ことは別なのです。

     ベストヒットUSAのパーソナリティー小林克也氏のように、何千曲と洋楽を聞いた方であれば英語力の向上につながるのでしょうけれど、私たちが日常的に聞く曲の数は限られています。

洋楽のメリット 発音能力が高まる

 洋楽のデメリットばかり書いてしまいましたが、冒頭に述べたように、私が英語を仕事にするきっかけになったのは、確かに洋楽でした。漠然と「英語の力が伸びるから」と勉強するのでは効果がわかりにくいのは確かです。

 ともあれ私は洋楽のおかげで現在の職業に就けたわけですから、洋楽のメリットについても語らないといけませんね。その上で、「洋楽は、こんなふうに取り組むとこういう英語の力が伸びるんだ」な考え方で勉強の仕方について提案をしてみようと思います。

 私の場合、中学校1年生の冬から洋楽を聞き始め、中学2年生の頃には、何曲か歌えるようになっていました。歌詞は、当時わからなかったので見なかったのですけれど。

 ある時英語の授業で「教科書のここを読んで下さい」と英語の先生に言われ、洋楽で聞いた発音の通りに読んだところ、「発音が大変良い!」褒められたことがありました。

 実は英語の勉強が好きになったのは、これが大きなきっかけでした。

 洋楽は英語の歌詞をメロディーやリズムに乗せるため、ある程度の速度を超えると、単語同士がくっついて、音変化というのを起こします。Get out of here!が「ゲット アウト オヴ ヒア」ではなく「ゲラウラヒア」となるようにです。

 それ以降、洋楽で聞いたフレーズが教科書等に出てきた時には、洋楽で聞こえたように音読する習慣が付きました。

 よい発音で読むと、いじめに合うようなこともあるかもしれません。事実、私が教えた海外からの帰国生は、絶対人前でネイティブのような発音で教科書を読みませんでしたから。あ、私もいじめられました(笑)。英語の発音以外の理由もあったようですが( ;∀;)

 そういう恐れのある場合、英語の先生が親しみやすい先生なら、相談してもよいかもしれません。教科書や洋楽の歌詞を持っていき、音読して聞いてもらうことも可能でしょう。成果が出ているかどうかアドバイスしてくれるかもしれません。

洋楽の取り組み方 3つの方法

 私は、中学2年生で洋楽を歌い始めたと申しました。この時、実は私、歌詞を見ていませんでした。と言うか、歌詞を見てもわからない単語ばかりで調べる気力がなかったのです。しかも、発音記号などわかりませんでした。今のように電子辞書やネットで発音が聞けるような時代ではありませんでしたし。

 それでは、どんな風にして、洋楽を歌えるようになったのでしょうか。それは、何百回も聞いて音だけ覚える、という勉強法でした。友だちが少なく、よくいじめられていたので、洋楽を聞く時間が長かったのだと思います。

 当時を振り返り、また学問的な立場から、英語力に結びつく洋楽の聞き方には次の3つがあるのではないかと思っています。

 1と2は、速音読にある程度取り組んでいる方向けの方法。3は速音読の経験があまりない方向けです。自分はこの曲が好きで好きで仕方ないんだ! という場合は、どの方法でも歌えるようになるでしょうから、特に気にしなくても構いません。

  1. 歌詞を見ず、ひたすら何百回も聞く
     好きな歌であればこれは可能かと思います。歌えそうな部分があれば、そこだけ声に出して歌い、歌える範囲をどんどん広げます。その際必ず和訳は見て下さい。どのような内容なのかを知っていて聞くのと、知らないで聞くのでは、英語力の定着度に違いがでます。発音能力だけ高めたいのであれば、和訳は見なくても構いません。ただ、歌の内容を知っていて聞くのであれば、聴いているうちにわかってくる単語が増えて来ます。

     うーーーーーーーん。これって結局、シャドーイングじゃん。

     英文を見ずに音声を聞いて、聞こえた語句を声に出す練習法をシャドーイングと言います。歌詞を見ずひたすら何百回も聞く、というのはシャドーイングと同じ取り組み方であると言えます。

     同時にこれは、赤ちゃんが言葉を身に付けるのと同じ流れです。赤ちゃんは、大人が話している音を理解し、その音がどのような意味を持つのか分析しながら言葉を身に付けます。そのためか、私がこの方法で覚えた洋楽は、今でも歌詞を見ないで全部歌えます。
  2. 歌詞を見ながらそのまま歌ってみる
     カタカナをふらないバージョンです。うーーーーーん。これってオーバーラッピングじゃん。曲に合わせて歌詞を見ながら歌ってみる。まさにオーバーラッピングです。必ず和訳は読んで下さい。
  3. 歌詞をコピーしてカタカナで読み方を書いて歌う
     カタカナをふるのはよくやる手です。その際、聞こえたそのままをカタカナで書いて下さい。そして、単語が2つくっついて発音が聞こえる場合は、2つの単語の上に聞こえた通りにカタカナをふります。3つの単語がくっつく場合もありますから、同じようにカタカナをふります。

     洋楽を歌う時に限っては、カタカナを見ながら歌っても構いません。そして、自分に試練を課して下さい。カラオケでその歌を歌うのです。最近のカラオケは、カタカナの字幕も出るものがあります。できれば、字幕にカタカナがないバージョンがよいです。

     和訳は必ず読んで下さい。

     この方法は難易度が低く挑戦しやすいです。半面、1の「歌詞を見ず、ひたすら何百回も聞く」と比べると、忘れやすいというデメリットがあります。

    関連リンク:英単語にカタカナをふるのはダメ?(リンク先は記事の最後にあります)

曲のテンポ

 「洋楽の取組方 3つの方法」をご紹介しました。どの方法を選ぶにしても、洋楽のテンポは自分の発音能力に合わせて選曲をするのが望ましいと思います。

 洋楽を聞き始めで、速音読にあまり取り組んでいない方の場合は、できるだけゆっくりのバラード系の音楽がよいでしょう。オーバーラッピング、シャドーイングの訓練をある程度している人であれば、速いテンポにもついていけるかもしれません。ラップなども歌っていて楽しいと思います。

 好き嫌いもありますし、とにかく自分はこの曲が好きなんだ! ということであれば、抵抗感も少ないでしょうから、曲のテンポを気にしなくても歌えるようになるでしょうから。もしうまく歌えなくて困ったら、ここでご紹介した3つの方法のどれかを試してみて下さい。

単語力が高まる歌の選択を!

 発音中心に歌詞を覚えれば、当然のことながら、単語力が付きます。より高度な単語力が身に付く洋楽の曲がたくさんありますので、別の記事で紹介をしたいと思います。

関連リンク:エンタメで覚える(準備中)

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