覚えやすさ×忘れにくさ×難易度
覚えられないのはあなたの勉強不足とは限らない!
単語覚えられないですよねえ。なんでなんでしょうね。ここではその理由をいくつか解説してみようと思います。
イッセーさん。英語の勉強してるんですけど、単語が全然覚えられないんですよお。
よく聞く話ですね。
なんで覚えられないんでしょう。やっぱ、頭悪いからかなあ・・・
そんな風に考えないで下さいよ~。
単語、覚えられない理由ってあるんですか?
あるんです。しかも・・・
本人の努力不足とかとは
全然違う理由が
そうなんですね。ぜひその理由教えて下さい!
わっかりました。
さっそく始めましょう。
単語の定着率とは:覚えやすさ×忘れにくさ×難易度
定着率
単語がどの程度頭に残るのかを「定着率」と言います。定着率は次のように考えることができると思います。
定着率=覚えやすさ×忘れにくさ×難易度
この式からわかるのは、「覚えやすく、忘れにくく、難しくない」単語ほど頭に残るということになります。「そんなの当たり前じゃん」と言わず、この後の説明をよく読んで下さい。
単語を覚えるのが苦手、というのは、必ずしもあなたの英語力が低いからじゃないということがわかります。
覚えやすさ 覚えやすい英単語と覚えにくい英単語
10年ほど前、中学高校で出てくる基本的な単語のテストを大学生240人にしたことがあります。4択で日本語の意味を答える形式でした。
boy, red life, star, colorなどの単語は正解率が100%でした。これに対し
metal (40%) initial (25%)
cap (79.6%) check (77.8%)
chair (75%)
という結果も見られます。
initialは日本語の「イニシャル」
metalは「メタル」
chairもcheckも日本語になっていますね。
それでも単語だけ見て意味を当てるというテストで、正答率が100%にはならなかったのです。checkとchairはおそらく、ch-の発音がすぐ出てこなかったために正解しなかったのかもしれません。これは後でchefという単語の話をしますので覚えておいて下さい。
いずれにしても、ごく基本的な単語でも、全員が100%正解するわけではないのです。このように、「覚えにくい」単語があるのです。
覚えにくさは、その人の持つ知識の量や質(何に興味があるか)で変わります。なので、単語が覚えにくいのは、あなたの英語力とは別のところにあると言っても差し支えありません。
忘れにくさ 忘れにくい英単語と忘れやすい英単語
これは、単語によって、また人によって違います。忘れにくい単語というのは、普段身の回りにあって、日本語でも使っている言葉です。ソーダなど日本語になっていて、ソーダが好きであれば、sodaは忘れにくい単語となります。
ディズニーランドには、スプラッシュマウンテンというアトラクションがあります。、スプラッシュ(splash)は「水がはねる」、マウンテン(mountain)は「山」というのは、ディズニーランドファンであれば、忘れにくいですよね。
では「忘れにくさ」の反対の「忘れやすい」単語とはどのようなものでしょうか。
おおざっぱに言うと次のような内容が、忘れやすさと関係しています。
- 読む英文の問題(今使っている教科書やテキストに何回その単語が出てくるか)
- 日本語にして意味がどの程度わかるか
忘れやすい英単語1 読む英文の問題使っている教科書やテキストに何回その単語が出てくるか
忘れやすさの原因1つ目は、読む英文(教科書やテキスト)と深い関係があります。
以前中学校の英語教科書3年分の単語を分析したことがあります。friendlyという単語は、3年間で3回しか出て来ませんでした。何度も同じ単語が出てくれば自然と意味が分かるようになるわけですが、3年間で3回しか出てこない単語は、自然に覚えるというのは無理です。
もしfriendlyという単語を覚えさせたければ、friendlyが何度も出てくる英文を読ませるのが効果的です。しかし・・・教科書にはあんまり出てこない。
friendlyは副詞と言って動詞を説明する言葉ですが、日本の英語教科書には当時、副詞が圧倒的に少なかったのを記憶しています。
教科書やテキストに、何度も出てこない単語は忘れやすいのです。しかも・・・何度も出てこない単語覚えても、意味なくね? という気持ちになりますよね。けれどfriendlyという単語は日常的によく使う単語ですから、覚えておく方がよいのです。
忘れやすい英単語2 日本語にして意味がどの程度わかるか
訳しても日本語の意味が分からなければ、単語覚えられません。最近よく使うsustainability(サステナビリティ:持続可能性)。この意味、日本語で説明できなければ、susutainability = サステナビリティ とお経のように唱えるだけで、意味がわかったとは言えません。
このように日本語として知識のない単語は忘れやすいものなのです。日本語のテストより英語のテストの点数が高い人は少ないです。まず日本語をきちんと読み、日本語の単語力を増やすことが必要です。
難易度 難しい英単語
これは単語そのものの難しさの問題です。難易度と言います。単語の難易度には、次のようなものがあると思います。
- 単語が長い
- 単語のつづりを細かく分けることができない
- 意味の推測がつづりから推測できない
- 発音がよくわからない
例1 airy
わかりやすい例をご紹介しましょう。
airyという単語知ってますか? これ実に簡単で、air+yと分割すれば意味の予想がつきます。air=空気 -y(形容詞)なので、「空気のような」→「ふわふわした」となります。
例2 participation
participationはどうでしょう。
participation = part + ici + pa + tion
part:一部、部分
→ その一部になる → 参加
ちな-tionは名詞であることを意味するパーツです。
airy と participationの説明からわかること
単語は長いほど覚えにくいですね。長くても、つづりをこまかく分けることができれば、その中のパーツを見て意味が理解できることがあります。パーツの中には、すでに知っている単語があれば、意味を推測することもできます。
単語のパーツについては別に詳しく解説をする予定です。
あとは発音のしやすさです。英語は、つづり字通りに発音しないことが割と多いので、ぱっと見て正しい発音が出てこないと、意味も定着しにくくなります。その例としてchefがあります。これは実は日本語になっている単語で「シェフ」。なあんだ、ということなのですが、「チェフ」と読んでしまうと、もう意味がわかりません。
先ほどchair, checkが基本的な単語なのに、全員が正解できない例をご紹介しましたが、このこととも関係があると思います。
そうだったんですね。
覚えられない理由はわかりました。
では、どうしたら簡単に英単語覚えることが
できるんですか?
このブログでは
音読と英単語の勉強の2つにしぼって
勉強法をご紹介しています。
順次更新しますので
興味あるところから読んでみて下さい。
はい! わかりました。
発展知識
- chefはもともとフランス語で、フランス語ではch-を「シュ」と発音するのです。イギリスが一時期フランスに占領されていた時、多くのフランス語が英語に入って来ました。これも英語のつづりと発音をわかりにくくする原因の1つです。
- chefのように最初のつづりが知っている発音と全然違います。こうした単語は、日本語では知っていても、なっかなか意味にたどり着きませんこれを、The position of irregularity effect(不規則なつづりの場所による効果)と呼びます。