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accessの語源は「ad(〜へ)+cedere(行く)」|アクセルとは別の家系・・・最初の意味は「熱の発作」だった

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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車を運転する人なら、毎日「アクセル」を踏んでいます。パソコンを開けば「アクセス権」が要ります。カタカナにすると、どちらも「アク」で始まる。字面もよく似ている。

アクセルを踏めば、目的地にアクセスできる

そんなイメージが描けます。

ところがこの2つ、語源の家系図では赤の他人です。

似ているのには理由があります。ただしその理由は「同じ語根から出ている」ではなく、まったく別のところにあります。そこを押さえると、ac- で始まる英単語がまとめて読めるようになります。

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アクセスとアクセルが「ac-」で揃っている理由

まず結論から並べます。

・access = ad(〜へ)+ cedere(行く・進む)→ ラテン語 accedere「近づく」
・accelerate = ad(〜へ)+ celer(速い)→ ラテン語 accelerare「速める」

共通しているのは ad- の部分だけです。ad- はラテン語で「〜へ」という方向を表す接頭辞で、英語の to にあたります。

この ad- には、うしろの音に合わせて自分の形を変えるクセがあります。k の音の前では、たいてい ac- に変わる。cedere の c も、celer の c も、ラテン語では k の音でした。だから ad+cedere は ac-cedere に、ad+celer は ac-celer- になった。

つまり、アクセスとアクセルが似ているのは、語根が同じだからではなく、同じ変身ルールを通ったからです。顔が似ている他人、というところでしょうか。

このルールが分かると、ac- で始まる語が一気に読めます。

・accept = ad + capere(取る)→ 自分のほうへ取る
・accuse = ad + causa(訴訟の原因)→ 原因を人に向ける
・accord = ad + cor(心)→ 心を寄せ合う
・accumulate = ad + cumulus(積み重なり)→ 積み上げていく
・acquire = ad + quaerere(求める)→ 求めて手に入れる

ac- を見たら、まず ad-(〜へ)を疑う。これだけで初見の単語の半分は見当がつきます。

ただし例外もあります。acoustic(音響の)、acrobat(曲芸師)、academy(学園)、acid(酸)などの ac- は ad- とは無関係で、ギリシャ語やラテン語の別の語から来ています。「ac- = ad- とは限らない」ことは頭の隅に置いておいてください。

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access の語源・・・「〜へ行く」が「近づく」になる

access の中身に入ります。

cedere は「行く・進む・譲る」を意味するラテン語の動詞です。これに ad(〜へ)が付いて accedere「近づく、立ち入る」。その過去分詞が accessus「近づいたこと、接近、入口」で、これが古フランス語を経て英語の access になりました。

「アクセスする」という日本語は、もとの「近づく」とほとんどズレていません。ウェブサイトにアクセスする=そのページに近づく。アクセス権がある=近づくことを許されている。駅へのアクセスがいい=近づきやすい。

ここは素直に覚えて大丈夫な単語です。問題は、英語の access が最初に持っていた意味のほうです。

英語に入った最初の意味は「熱の発作」だった

14世紀初め、access が英語に現れたときの意味は「熱の発作」でした。

インターネットどころか、入口ですらありません。病気が人に「近づいてくる」、発作が襲ってくる、というイメージです。古フランス語の acces が「襲撃、発病」を意味していて、英語はその意味ごと受け取りました。Merriam-Webster も、access の初出を14世紀とし、その時の意味として発作の側を挙げています。中英語には「恋わずらい」の意味まで記録されています。

「入口」という意味が出てくるのは1600年ごろで、こちらは古フランス語経由ではなく、ラテン語から直接入り直したものです。「人やものに近づける立場・権限」の意味は14世紀終わりごろ。私たちが毎日使っているほうの access は、実は後から来た意味なのです。

おもしろいのは、発作の意味が完全には消えていないことです。現代の辞書にも an access of illness(発病)、an access of rage(怒りの激発)という用法が残っています。日常会話で使うことはまずありませんが、古い小説を読んでいて access が出てきたら、ネットの話ではないかもしれない、と疑えるだけで読み方が変わります。

accede ・・・「近づく」が「同意する」「即位する」になる兄弟語

access と同じ accedere から、もう一本の枝が伸びています。accede です。

access が古フランス語をくぐって入った名詞なのに対し、accede は15世紀初めにラテン語から直接入った動詞でした。意味は「ある状態・地位・役職に到達する」。

ここから2つの使い方が育ちます。

・accede to a request = 要求に応じる、同意する
相手の言い分の「そば」まで自分が歩み寄る、というイメージです。
・accede to the throne = 王位に就く
その地位まで「到達する」。即位です。

名詞形の accession も同じ流れで、1580年代には「加わるもの、加入」、1640年代には王位継承の意味が記録されています。EUへの accession(加盟)、王の accession(即位)は、どちらも「近づいて、そこに入る」という一本の線でつながっています。

英検やTOEICで accede を見かけたら「アクセスの兄弟、歩み寄る」と置き換えると、意味が転がり出しやすくなります。

500年以上、access はずっと名詞だった

もうひとつ、学習者の盲点になりやすい事実があります。

access が動詞として使われ出したのは、20世紀の半ばです。Merriam-Webster は1953年、Etymonline は1962年を挙げていて、辞書によって少し揺れますが、どちらにせよコンピュータ用語としての登場です。14世紀から数えて600年近く、access はひたすら名詞でした。

だから access は、動詞と名詞で使い方のクセが違います。

・動詞:access the database(他動詞。to は付けない)
・名詞:have access to the database(to とセット)

この to の有無は試験で狙われます。have access the file は誤りです。名詞のときだけ to が要る、と分けて覚えてください。

発音のアクセントは前(ÁC-cess)。よく似た excess は、ac- ではなく ex-(外へ)+ cedere で「行き過ぎる」。「近づく」のか「行き過ぎる」のかで正反対です。この対比は excessive の記事で詳しく扱っています。

accessible と accessory・・・同じ家の中の二人

access の家族で、リストにも載る重要語を2つ見ておきます。

accessible は1400年ごろに登場し、「近づける、到達できる」という意味でした。1640年代に「行きやすい」、そして1961年に「(芸術や文章が)理解しやすい」という意味が加わります。

日本語の「アクセシビリティ」はこの延長線上にあって、建物のバリアフリーも、ウェブの読みやすさも、文章のわかりやすさも、全部「近づける」の一語で説明がつきます。an accessible explanation は「近づける説明」、つまり噛み砕かれた説明です。

accessory は少し込み入っています。15世紀初めの登場時点で、すでに2つの顔を持っていました。ひとつは「主たるものに付随するもの」、もうひとつは法律用語で「犯罪の実行犯ではないが、助言や隠匿で手を貸した者」、いわゆる従犯です。

どちらも accedere の「近づく」から説明できます。本体ではないが、本体のそばに寄り添っているもの。それが装飾品なら小物、犯罪ならば共犯者になる、というわけです。1540年代には絵画で構図を整える添え物を指すようになり、服飾小物の意味が記録されるのは1896年。accessorize(小物で飾る)に至っては1939年で、意外に新しい言葉です。

an accessory to murder(殺人の従犯)という表現を見てぎょっとした経験のある人は、この一本の線を思い出してください。

アクセル側の家系・・・celer(速い)と、もう一人のアクセル

比較のために、別れたほうの枝も見ておきます。

accelerate は1520年代、ラテン語 accelerare から。中身は ad(〜へ)+ celer(速い)です。celer の仲間には celerity(迅速さ)、音楽の accelerando(だんだん速く)があります。

accelerator は1610年代に「急がせるもの」として登場し、自動車のペダルを指すようになるのは1900年。粒子加速器の意味は1931年です。ペダルのほうが加速器より30年早い、というのは覚えておくと少し楽しい順番です。

なお、日本語の「アクセル」は accelerator を縮めた言い方で、英語で accel とは言いません。英語では accelerator、アメリカ英語なら gas pedal が普通です。

ついでにもう一人の「アクセル」にも触れておきます。フィギュアスケートのアクセルジャンプです。こちらは速さとも接近とも無関係で、1882年のウィーンで初めてこの跳び方を見せたノルウェーの選手、アクセル・パウルゼンの名前がそのまま技名になったものです。同じカタカナで3つの別物、というのは日本語側の事情ですが、英語に戻せばきれいに分かれます。

cedere 一族・・・「行く・譲る」でつながる単語たち

cedere は英語の語彙にかなり深く食い込んでいます。access を入口にして、まとめて見ておきましょう。

・necessary = ne(〜でない)+ cedere = 「退くことができない」→ 必要な
・excessive = ex(外へ)+ cedere = 行き過ぎた
・process = pro(前へ)+ cedere = 前へ進んでいくこと
・procedure = 同じく pro + cedere = 手順
・abscess = abs(離れて)+ cedere = 離れていったもの → 膿瘍
・recede = re(後ろへ)+ cedere = 後退する
・concede = con(すっかり)+ cedere = 譲る、認める
・precede = pre(前に)+ cedere = 先行する
・succeed = sub(下から)+ cedere = 後を継ぐ、成功する

necessary が「必要な」になる理屈は、ちょっと感動的です。そこから退くことができない、逃げ場がない。だから必要なのです。

英文翻訳練習

access とその家族を使った10文です。声に出して読んでから訳してみてください。答え合わせは記事の最後にあります。

  1. You need a password to access the company network from home.
  2. The library gives students free access to hundreds of academic journals.
  3. Only three people in this office have access to the safe.
  4. If you move to that town, you will lose easy access to the station.
  5. The new building was designed to be accessible to wheelchair users.
  6. Her explanation made a difficult topic accessible to beginners.
  7. He was charged as an accessory to the crime.
  8. She bought a bag and matching accessories for the ceremony.
  9. The government finally acceded to the union’s demands.
  10. You can access your test results online after Friday.

まとめ

access の中身は ad(〜へ)+ cedere(行く)。「近づくこと」です。日本語の「アクセス」とほとんどズレていない、素直な単語でした。

ただし3つ、覚えて帰ってほしいことがあります。

ひとつ目。アクセルの ac- は ad- であって、cedere ではありません。ac- で始まる語を見たら ad-(〜へ)を疑う。ただしギリシャ語由来の ac- もあるので、決めつけない。

ふたつ目。access が英語に入ったときの意味は「熱の発作」でした。「近づいてくるもの」という一語から、入口も、権限も、発作も、全部出ている。

みっつ目。access が動詞になったのは1950〜60年代です。名詞のときは have access to、動詞のときは to を付けない。

accessの語源ワードマップ。中心はaccess(ad「〜へ」+cedere「行く・進む」=近づくこと)。そこから4つのグループが放射状に広がる。accessの家族はaccede、accession、accessible、accessibility、accessory、accessorize。cedere一族はnecessary、excessive、process、procedure、abscess、recede、concede、precede、succeed。ac-がad-の変身形である例としてaccept、accuse、accord、accumulate、acquire。右下には点線で区切られた別語源のグループとしてaccelerate、accelerator、celerity、accelerando、Axelを配置し、accessとは家系が異なることを示している。

・語源・中心:access = ad(〜へ)+ cedere(行く・進む)
・access の家族:accede/accession/accessible/accessibility/accessory/accessorize
・cedere 一族:necessary/excessive/process/procedure/abscess/recede/concede/precede/succeed
・ac- は ad- の変身形:accept/accuse/accord/accumulate/acquire
・似ているが別語源:accelerate/accelerator(celer=速い)/Axel(人名由来)

access が収録されている語彙リスト

access は NGSL(New General Service List)に収録されています。

NGSL は Browne, Culligan & Phillips が2013年に公開した一般英語の高頻度語リストで、現行版は2,809語。ケンブリッジ英語コーパスから選ばれたこの約2,800語だけで、一般的な英文のおよそ92%をカバーするとされています。access はその中で802位(頻度60.77)。つまり、避けて通れない基礎語ということです。

なお、派生語の accessible は TSL(TOEIC Service List)と BSL(Business Service List)に、accessory は TSL に収録されています。仕事の英語でも試験の英語でも顔を出す一族だと考えてください。

関連記事

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・excessive の語源|アクセスと行き過ぎ、ac- と ex- の分かれ道 https://isseisuzuki.org/excessive/
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翻訳練習の解答例

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