notoriety(ノトライエティ)。日本語で「悪名」「悪評」。
見たとたん、頭の not が目に飛び込んできませんか。「否定の not が入っているから悪い意味なんだろう」・・・そう直感した方は多いはずです。
じつはその直感、半分は当たっていて、半分はまったく逆です。
not という綴りは確かにあります。ただし、これは英語の「否定の not(〜ではない)」とは別物です。正体は、ラテン語 notus(知られている)。
あなたが毎日使っている note(ノート・書き留める) や、スマホの notification(通知) と、同じ仲間です。
もともとは「誰もが知っている・周知の」という中立の意味でした。それが17世紀以降、使われる中で「誰もが知るほどの(とんでもない)悪事」へと偏り、今の「悪名・悪評」になりました。
「否定だと思っていた not が、じつは”知る”という意味だった」・・・この小さなギャップが、notoriety をそのまま記憶に引っかける入り口になります。
notoriety を分解してイメージで覚える
notoriety をパーツで見ると、こうなります。
notor(notorius=よく知られた)+ -iety(〜であること)
中心にあるのは notus(知られている)。そこに -ious が付いて「よく知られた」という形容詞 notorious になり、さらに -iety で名詞化したのが notoriety です。
「よく知られた状態」→「なぜよく知られているのか」→「とんでもない悪事のせいで」・・・という意味のずれが、16〜17世紀の英語の使われ方の中で起きました。語源そのものは中立なのに、今の意味は強くネガティブ。そのギャップが面白いところです。
※ 正確には、頭の not は英語の否定(not=〜でない)とはまったく別ルートです。ラテン語 notus(知られた)から来ており、note・notice・notify・notification と同じ仲間です。「否定の not だから悪い意味」という覚え方は、結果として意味は合っていますが、語源としては偶然の一致です。混乱しそうなら「ノートと同じ not-」とだけ覚えておけば十分です。
notoriety の基本の意味と使い方
notoriety は「悪名」「悪評」を表す名詞です。良い意味の「名声」(fame, renown)とは明確に違い、悪いことで広く知られてしまった状態を指します。
- gain notoriety(悪名を得る)
- notoriety for 〜(〜で悪評が広まる)
- rise to notoriety(悪名高くなる)
形容詞は notorious(悪名高い)。「ノトーリアス・B.I.G.」という名前をご存じなら、それがそのまま例文です。アメリカの伝説的ラッパーが自分のステージネームに選んだ言葉で、notorious の意味を一発で印象づけてくれます。
なお、notoriety も notorious も、文脈によっては「悪くない有名さ」を指すこともあります(現代では少数派)。基本は「悪い意味での有名さ」と覚えておいて問題ありません。
“not-“(知る・知られた)でつながる単語ネットワーク
notoriety の中心にある not-(notus=知られた/noscere=知る) を押さえると、まったく別の顔をした単語が一本の線でつながります。
| 単語 | 意味 | not- からのイメージ |
|---|---|---|
| note | 覚え書き、注目する | 書き留めて「知らしめる」 |
| notice | 気づく、通知 | 見て「知るようになる」 |
| notify | 知らせる | 相手を「知った状態にする」 |
| notification | 通知(スマホの通知など) | 知らせるための仕組み・もの |
| notorious | 悪名高い | 誰もが「知っている」ほど広まった |
| notable | 注目に値する、著名な | 書き留めておく価値がある |
| notion | 概念、考え | 心の中で「知ったこと」 |
「not- が入っていたら、たぶん”知る・知られる”の話」・・・そう見えるようになると、notoriety が単体で終わらなくなります。スマホを見るたびに飛んでくる notification も、同じ仲間です。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音(目安) |
|---|---|---|---|
| notoriety | 名詞 | 悪名、悪評 | ノトライエティ /ˌnoʊtəˈraɪəti/ |
| notorious | 形容詞 | 悪名高い | ノトーリアス /noʊˈtɔːriəs/ |
| notoriously | 副詞 | 悪名高くも、周知のとおり | ノトーリアスリー |
TOEIC・英検での出題傾向
notoriety 自体は TOEIC での出現頻度は高くありませんが、形容詞 notorious は準2級〜2級レベルで英検に頻出です。「notorious for 〜(〜で悪名高い)」の形で長文中に出ることが多く、意味が取れると読解がスムーズになります。
notoriety という名詞形は、ニュース英語やビジネス文書で使われます。「gain notoriety(悪名を得る)」「achieve notoriety(悪評が広まる)」の形を押さえておくと実用的です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。解答は記事の最後にまとめてあります。
- He gained notoriety for his reckless decisions.
- Notoriety spreads faster than a good reputation.
- The politician’s notoriety cost him the election.
- She rose from notoriety to genuine respect.
- You deserve better than notoriety.
- Notoriety is not the same as success.
- He carried his notoriety quietly, and slowly changed.
- Some people mistake notoriety for fame.
- You can always choose a different path from notoriety.
- Notoriety fades, but what you build with integrity stays.
語源メモ|notus と noscere が生んだ言葉
notoriety の語源を正確にたどると、ラテン語 notus(知られた) にたどり着きます。これは動詞 noscere(知るようになる) の過去分詞です。さらにさかのぼると、印欧祖語 *gno-(知る) に行き着きます。
この *gno- は、英語の know(知る)・knowledge(知識)とも深くつながる古い語根です。*gno- の g が落ちて noscere になり、ラテン語経由で notus・nota(印・記号)・notorius(周知の)と広がりました。
英語に入ったのは16世紀。当時の notorious は「公に知られ、人々の口に上る」という中立的な意味でした。17世紀以降、悪い出来事・人物と一緒に使われることが増え、「悪いことで知れ渡った」という意味合いが定着しました。意味が変化したのは「英語に入った瞬間」ではなく、「使われ続ける中で少しずつ偏っていった」という流れです。
notoriety(名詞形)が登場したのは1590年代。フランス語 notoriété または中世ラテン語 notorietatem を経由して英語に入りました。
「否定の not ではなく、知るという not-」・・・語源まで追うと、悪名というネガティブな意味の裏には、ただ「知られた」という事実しかないとわかります。
まとめ
notoriety は、notor(notorius=よく知られた)+ -iety で「よく知られた状態」=悪名・悪評。
- not-(notus)・・・知られた、知る。note/notice/notify/notification などの仲間へ
- 否定の not との違い・・・まったく別ルート。「ノートと同じ not-」が正確
- 意味の変化・・・もともとは中立の「周知」。17世紀以降に使われる中で「悪名」へ偏った
note(書き留める)と notoriety(悪名)が同じ根を持つ・・・その意外なつながりが、丸暗記なしで覚える入り口です。

- 語源・中心:notus(知られた)← noscere(知る)← *gno-(知る)
- 覚え方のヒント:not は否定ではない → note・notice・notification と同じ仲間
- not-(知る)一族:note/notice/notify/notification/notable/notion
- 悪名の仲間:notorious(形容詞)/notoriously(副詞)
関連記事(内部リンク)
- notoriousの意味をわかりやすく説明 一夜漬け英単語記憶術 語源
- notification の語源 → (近日中に公開)
- 【ピラー】英単語の語源・パーツ分解 全リスト 👇 → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/

翻訳練習の解答例
- 彼は無謀な判断で悪名を得た。
- 悪名は、良い評判よりも速く広まる。
- その政治家の悪名は、選挙での敗北につながった。
- 彼女は悪名から、本物の信頼へと立ち直った。
- 悪名なんかに甘んじる必要はない。
- 悪名は、成功とは違う。
- 彼は悪名を静かに受け止め、少しずつ変わっていった。
- 悪名を名声と取り違える人は少なくない。
- 悪名とは違う道を、あなたはいつでも選べる。
- 悪名はやがて消える。でも誠実に積み上げたものは残る。

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