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【語源で覚える】notoriety|「not」は否定じゃない?悪名の正体は「ノート」と同じだった

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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notoriety(ノトライエティ)。日本語で「悪名」「悪評」。

見たとたん、頭の not が目に飛び込んできませんか。「否定の not が入っているから悪い意味なんだろう」・・・そう直感した方は多いはずです。

じつはその直感、半分は当たっていて、半分はまったく逆です。

not という綴りは確かにあります。ただし、これは英語の「否定の not(〜ではない)」とは別物です。正体は、ラテン語 notus(知られている)。

あなたが毎日使っている note(ノート・書き留める) や、スマホの notification(通知) と、同じ仲間です。

もともとは「誰もが知っている・周知の」という中立の意味でした。それが17世紀以降、使われる中で「誰もが知るほどの(とんでもない)悪事」へと偏り、今の「悪名・悪評」になりました。

「否定だと思っていた not が、じつは”知る”という意味だった」・・・この小さなギャップが、notoriety をそのまま記憶に引っかける入り口になります。

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notoriety を分解してイメージで覚える

notoriety をパーツで見ると、こうなります。

notor(notorius=よく知られた)+ -iety(〜であること)

中心にあるのは notus(知られている)。そこに -ious が付いて「よく知られた」という形容詞 notorious になり、さらに -iety で名詞化したのが notoriety です。

「よく知られた状態」→「なぜよく知られているのか」→「とんでもない悪事のせいで」・・・という意味のずれが、16〜17世紀の英語の使われ方の中で起きました。語源そのものは中立なのに、今の意味は強くネガティブ。そのギャップが面白いところです。

※ 正確には、頭の not は英語の否定(not=〜でない)とはまったく別ルートです。ラテン語 notus(知られた)から来ており、note・notice・notify・notification と同じ仲間です。「否定の not だから悪い意味」という覚え方は、結果として意味は合っていますが、語源としては偶然の一致です。混乱しそうなら「ノートと同じ not-」とだけ覚えておけば十分です。

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notoriety の基本の意味と使い方

notoriety は「悪名」「悪評」を表す名詞です。良い意味の「名声」(fame, renown)とは明確に違い、悪いことで広く知られてしまった状態を指します。

  • gain notoriety(悪名を得る)
  • notoriety for 〜(〜で悪評が広まる)
  • rise to notoriety(悪名高くなる)

形容詞は notorious(悪名高い)。「ノトーリアス・B.I.G.」という名前をご存じなら、それがそのまま例文です。アメリカの伝説的ラッパーが自分のステージネームに選んだ言葉で、notorious の意味を一発で印象づけてくれます。

なお、notoriety も notorious も、文脈によっては「悪くない有名さ」を指すこともあります(現代では少数派)。基本は「悪い意味での有名さ」と覚えておいて問題ありません。

“not-“(知る・知られた)でつながる単語ネットワーク

notoriety の中心にある not-(notus=知られた/noscere=知る) を押さえると、まったく別の顔をした単語が一本の線でつながります。

単語意味not- からのイメージ
note覚え書き、注目する書き留めて「知らしめる」
notice気づく、通知見て「知るようになる」
notify知らせる相手を「知った状態にする」
notification通知(スマホの通知など)知らせるための仕組み・もの
notorious悪名高い誰もが「知っている」ほど広まった
notable注目に値する、著名な書き留めておく価値がある
notion概念、考え心の中で「知ったこと」

「not- が入っていたら、たぶん”知る・知られる”の話」・・・そう見えるようになると、notoriety が単体で終わらなくなります。スマホを見るたびに飛んでくる notification も、同じ仲間です。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音(目安)
notoriety名詞悪名、悪評ノトライエティ /ˌnoʊtəˈraɪəti/
notorious形容詞悪名高いノトーリアス /noʊˈtɔːriəs/
notoriously副詞悪名高くも、周知のとおりノトーリアスリー

TOEIC・英検での出題傾向

notoriety 自体は TOEIC での出現頻度は高くありませんが、形容詞 notorious は準2級〜2級レベルで英検に頻出です。「notorious for 〜(〜で悪名高い)」の形で長文中に出ることが多く、意味が取れると読解がスムーズになります。

notoriety という名詞形は、ニュース英語やビジネス文書で使われます。「gain notoriety(悪名を得る)」「achieve notoriety(悪評が広まる)」の形を押さえておくと実用的です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。解答は記事の最後にまとめてあります。

  1. He gained notoriety for his reckless decisions.
  2. Notoriety spreads faster than a good reputation.
  3. The politician’s notoriety cost him the election.
  4. She rose from notoriety to genuine respect.
  5. You deserve better than notoriety.
  6. Notoriety is not the same as success.
  7. He carried his notoriety quietly, and slowly changed.
  8. Some people mistake notoriety for fame.
  9. You can always choose a different path from notoriety.
  10. Notoriety fades, but what you build with integrity stays.

語源メモ|notus と noscere が生んだ言葉

notoriety の語源を正確にたどると、ラテン語 notus(知られた) にたどり着きます。これは動詞 noscere(知るようになる) の過去分詞です。さらにさかのぼると、印欧祖語 *gno-(知る) に行き着きます。

この *gno- は、英語の know(知る)・knowledge(知識)とも深くつながる古い語根です。*gno- の g が落ちて noscere になり、ラテン語経由で notus・nota(印・記号)・notorius(周知の)と広がりました。

英語に入ったのは16世紀。当時の notorious は「公に知られ、人々の口に上る」という中立的な意味でした。17世紀以降、悪い出来事・人物と一緒に使われることが増え、「悪いことで知れ渡った」という意味合いが定着しました。意味が変化したのは「英語に入った瞬間」ではなく、「使われ続ける中で少しずつ偏っていった」という流れです。

notoriety(名詞形)が登場したのは1590年代。フランス語 notoriété または中世ラテン語 notorietatem を経由して英語に入りました。

「否定の not ではなく、知るという not-」・・・語源まで追うと、悪名というネガティブな意味の裏には、ただ「知られた」という事実しかないとわかります。

まとめ

notoriety は、notor(notorius=よく知られた)+ -iety で「よく知られた状態」=悪名・悪評。

  • not-(notus)・・・知られた、知る。note/notice/notify/notification などの仲間へ
  • 否定の not との違い・・・まったく別ルート。「ノートと同じ not-」が正確
  • 意味の変化・・・もともとは中立の「周知」。17世紀以降に使われる中で「悪名」へ偏った

note(書き留める)と notoriety(悪名)が同じ根を持つ・・・その意外なつながりが、丸暗記なしで覚える入り口です。

notoriety の語源ワードマップ。中心は notoriety(=「よく知られた状態」→悪名・悪評)で、notor(よく知られた)+ -iety(〜な状態)に分解。語源・中心クラスタ(notus/noscere/印欧祖語 *gno-)、not-(知る)一族(note/notice/notify/notification/notable/notion)、悪名の仲間(notorious/notoriously)、覚え方のヒント(not は否定ではない・ノートと同じ not-)の4クラスタに整理した図。

  • 語源・中心:notus(知られた)← noscere(知る)← *gno-(知る)
  • 覚え方のヒント:not は否定ではない → note・notice・notification と同じ仲間
  • not-(知る)一族:note/notice/notify/notification/notable/notion
  • 悪名の仲間:notorious(形容詞)/notoriously(副詞)

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翻訳練習の解答例

  1. 彼は無謀な判断で悪名を得た。
  2. 悪名は、良い評判よりも速く広まる。
  3. その政治家の悪名は、選挙での敗北につながった。
  4. 彼女は悪名から、本物の信頼へと立ち直った。
  5. 悪名なんかに甘んじる必要はない。
  6. 悪名は、成功とは違う。
  7. 彼は悪名を静かに受け止め、少しずつ変わっていった。
  8. 悪名を名声と取り違える人は少なくない。
  9. 悪名とは違う道を、あなたはいつでも選べる。
  10. 悪名はやがて消える。でも誠実に積み上げたものは残る。