「ダブる」という日本語、ふつうに使いますよね。予定がダブる、名前がダブる。この「ダブル(double)」の頭にある du、実は英単語 duplicate の頭とまったく同じものです。
duplicate は「複製する」「写し」。ダブルと並べてみると、意味の重なりがすっと見えてきます。二つにする、もう一つ同じものを作る・・・これが duplicate です。
そしてこの du(=duo、2)を手がかりにすると、意外な単語まで芋づる式につながります。ダース(dozen)も、トランプの「ダウト」でおなじみの doubt も、実は同じ「2」の一族。ここを押さえると、一語から一気に世界が広がります。
duplicate を分解してイメージで覚える|頭の “du” は「2」
duplicate をパーツで見ると、こうなります。
du(duo=2)+ plic(折る)+ ate(〜する)
紙を一枚、ぱたんと二つに折る。開くと、同じ形が二つ並んでいる・・・これが duplicate のもとの絵です。「二重にする」から「同じものをもう一つ作る=複製する」へ。意味の流れに無理がありません。
覚え方の入り口は、頭の du。ダブル(double)、デュオ(duo)、デュエット(duet)、デュアルモニター(dual)。どれも「2」です。duplicate もその仲間だと思えば、綴りも意味も一度で入ります。
カタカナで「デュプリケート」と言う機会は少ないかもしれません。でも「ダブル」は毎日使う。知っている1語から、知らない1語へ・・・この橋を渡すのが、いちばん楽な覚え方です。
duplicate の基本の意味と使い方
duplicate は動詞・名詞・形容詞の三役をこなします。意味は「複製する」「写し・複製」「複製の」。
- Please send a duplicate copy.(写しを一部送ってください)
- The system found duplicate entries.(システムが重複した入力を見つけた)
- You don’t need to duplicate your effort.(同じ労力を二度かける必要はありません)
ポイントは発音が品詞で変わることです。
- 動詞:デュープリケイト /ˈduːplɪkeɪt/
- 名詞・形容詞:デュープリケット /ˈduːplɪkət/
語尾の ate が、動詞では「エイト」、名詞・形容詞では弱く「ット」。これは separate や estimate でも同じパターンなので、一度覚えると他にも効きます。
もう一つ。日本語の「ダブる」は duplicate と重なる場面が多いのですが、「ダブルブッキング」のような予定の重複は double-booking、データの重複は duplicate と使い分けられます。duplicate は「同じものがもう一つ存在する」という、やや事務的・正確な響きの語です。
「2」の duo でつながる単語ネットワーク
duplicate の中心にある duo(2)は、思っている以上に広く効きます。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| double | 二倍の、二重の | duo(2)+-plus(〜重) |
| dual | 二重の、二つの | デュアルモニター=画面が2つ |
| duo | 二人組、デュオ | そのまま「2」 |
| duet | 二重唱、デュエット | duo の縮小形。2人で歌う |
| duplex | 二世帯住宅、双方向の | duo+plex(折る)=2つに分かれた造り |
| dozen | ダース(12) | duo(2)+decem(10)=2+10 |
| doubt | 疑う、疑い | 心が2つに割れて決められない |
| dubious | 疑わしい、あやしい | doubt の兄弟。二方向に揺れている |
| twin | 双子 | ゲルマン語side の「2」 |
| twice | 2回 | two と同じ родственник(=two の一族) |
いちばん驚くのは doubt ではないでしょうか。「疑う」と「2」が結びつかない。でも、迷っている時の心の中を思い出してください。行くか、行かないか。やるか、やめるか。気持ちが2つに割れている状態・・・それが doubt です。ラテン語 dubitare がまさに「2つの心の間で揺れる」でした。
ちなみに古英語でも、「2」を表す tweo が「疑い」の意味で使われていました。ドイツ語の Zweifel(疑い)も zwei(2)から。言語が違っても、人は同じ発想にたどり着くんですね。
dozen(ダース)も面白い一語です。duo(2)+ decem(10)で12。買い物でおなじみの「1ダース」の中に、ちゃんと「2」が隠れています。
一歩先へ|diploma も「二つに折ったもの」
もう一つ、きれいにつながる語があります。diploma(卒業証書・ディプロマ)です。
これはギリシャ語 diploma「二つ折りにした書類」から。di(2)+ 折る、という組み立てで、duplicate とまったく同じ発想です。古代ローマでは、兵士に与える証明書を金属板2枚で折り合わせて作りました。そこから diplomat(外交官)・diplomacy(外交)も生まれています。
ラテン語ルートの duplicate と、ギリシャ語ルートの diploma。別々の道を通ってきた兄弟が、英語の中で再会している・・・そんな関係です。
派生語|duplicate まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| duplicate | 動詞 | 複製する、二重にする | デュープリケイト /ˈduːplɪkeɪt/ |
| duplicate | 名詞・形容詞 | 写し、複製/複製の | デュープリケット /ˈduːplɪkət/ |
| duplication | 名詞 | 複製、重複 | デュープリケイション /ˌduːplɪˈkeɪʃn/ |
| duplicative | 形容詞 | 重複する、複製的な | デュープリカティブ /ˈduːplɪkeɪtɪv/ |
| duplex | 名詞・形容詞 | 二世帯住宅/二重の | デュープレックス /ˈduːpleks/ |
| duplicity | 名詞 | 二面性、裏表があること | デュープリシティ /duːˈplɪsəti/ |
duplicity は duplex から来た語で、「表と裏の2つの顔を持つこと」。duo(2)がネガティブ方向に転んだ例です。
TOEIC・英検での出題傾向
duplicate は、TOEIC ではかなり使える一語です。オフィス文書の定番表現として、次のような形で登場します。
- duplicate copy(写し、副本)
- duplicate payment(二重支払い)
- duplicate order(重複注文)
- avoid duplication of effort(労力の重複を避ける)
- duplicate key(合鍵)
Part 7 のメール・社内通知文、Part 5 の品詞問題(duplicate / duplication / duplicative の使い分け)の両方で狙われます。英検では2級〜準1級レベル。ビジネス語彙として押さえておくと、得点に直結します。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- This file is a duplicate of the original.
- Please send me a duplicate copy of the receipt.
- The system found two duplicate entries.
- You don’t need to duplicate your effort.
- She asked the shop to duplicate her house key.
- Your work matters because no one else can duplicate it.
- We removed the duplicate names from the list.
- If you lose the ticket, you can get a duplicate.
- Try to duplicate your best day, little by little.
- Nothing can duplicate the warmth of a real conversation.
語源メモ|duo と plicare が出会う言葉
duplicate は、ラテン語 duplicatus(動詞 duplicare「二重にする」の過去分詞)に由来します。分けると duo(2) と plicare(折る)。英語には15世紀初頭に形容詞「二つの部分からなる、二重の」として入り、「寸分たがわぬコピー」という今の意味で使われ始めたのは1812年からです。動詞としては15世紀末に「もう一つ同じものを作る」の意味で現れました。
duo はさらにさかのぼると印欧祖語の *dwo-(2)。ここから英語の two・twin・twice・twelve といったゲルマン語系の語と、ラテン語経由の dual・duet・dozen・doubt が、別ルートで同じ源にたどり着きます。
後半の plic(折る) は、印欧祖語 *plek-「編む・折る」から。これは application(応募・適用)、explicit(明確な)、implicit(暗黙の)、multiply(掛ける)、reply(返事をする)など、別ジャンルの単語に広く効く重要なパーツです。duplicate だけでは語りきれないほど大きな一族なので、そちらは下の関連記事からどうぞ。
なお double は duplus=duo+-plus(〜重)という組み立てで、duplicate とは duo の部分を共有しています。後半の -plus の由来については「折る」とする説と「多い」とする説があり、辞書によって扱いが分かれます。ここは断定を避けて、「2を共有する兄弟」と捉えておくのが安全です。
まとめ
duplicate は、du(duo=2)+ plic(折る)+ ate で「二つに折る」=複製する・写し。
- duo(2)・・・double/dual/duet/duplex/dozen/doubt/dubious の一族へ
- plic(折る)・・・application/explicit/implicit/multiply の一族へ
- 発音は品詞で変わる。動詞デュープリケイト、名詞デュープリケット
「ダブる」を知っていれば、duplicate はもう半分覚えたようなもの。そしてその先には、dozen も doubt も待っています。

- 語源・中心:du(duo=2)+plic(折る)+ate =「二つに折る・もう一つ作る」
- 覚え方のヒント:du → ダブル・デュオ・デュアル
- duo(2)一族:double/dual/duo/duet/duplex/dozen/doubt/dubious/twin/twice
- duplicate 派生:duplication/duplicative/duplicity/diploma(ギリシャ語側の兄弟)
関連記事(内部リンク)
- multiply の語源(掛ける・増やす)→ https://isseisuzuki.org/multiply/
- 【語源で覚える】application|頭の “ap” は、あの “up”?
- 【語源で覚える】explicit の意味|”E” マークの正体は ex(外に)+ plic(折る)
- 【語源で覚える】implicit の意味|「暗黙の」は im(中に)+ plic(折る)で一発
- 【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶術で芋づる式に覚える
→ https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/ 👇

翻訳練習の解答
- このファイルは、元のファイルの複製です。
- 領収書の写しを一部送ってください。
- システムが、重複した入力を2件見つけた。
- 同じ労力を二度かける必要はありません。
- 彼女は店に、家の合鍵を作ってほしいと頼んだ。
- あなたの仕事に価値があるのは、ほかの誰にも同じものが作れないからです。
- 私たちはリストから、重複した名前を削除した。
- チケットをなくしても、再発行してもらえます。
- 最高だった一日を、少しずつでいいから、もう一度作ってみよう。
- 本物の会話のあたたかさだけは、複製できない。
集録語彙リスト
この単語は TSL(TOEIC) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。ビジネスでもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。
TSL(TOEIC Service List)集録語
この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project
BSL(Business Service List)集録語
この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project

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