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【語源で覚える】regime|”レギュラー” とつながる reg の一族

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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世界史で「アンシャン・レジーム」という言葉を見た覚えはありませんか。フランス革命前の旧体制を指す、あの regime です。

ニュースでも military regime(軍事政権)、regime change(体制転換)という形でよく出てきます。かたい政治の言葉、という印象かもしれません。

ところが、この regime・・・レギュラー(regular)と、同じ語源です。

野球のレギュラー、レギュラーコーヒー、レギュラー番組。あの「いつもの・決まった」の regular と、政権の regime が同じ家族だと言われると、ちょっと意外ですよね。

つなぎ目にあるのは、reg(まっすぐ導く・まっすぐにする) という意味の中心です。ここが見えると、regime も regular も regulation も、同じ一本の線の上に並びます。

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regime を分解してイメージで覚える|意味の中心は “まっすぐ導く”

regime の意味の中心は、ラテン語の動詞 regere(まっすぐ導く・治める) です。

思い浮かべてほしいのは、定規(ものさし)です。

曲がったものに定規を当てて、まっすぐな線を引く。この「まっすぐにそろえる」動作が、regere の原風景です。

  • 人の集団をまっすぐにそろえる → 統治する → regime(政権・体制)
  • 線に沿ってきちんとそろっている → regular(規則正しい・いつもの)
  • そろえるための決まり → regulation(規則・規制)

「国をまっすぐに導くやり方」が regime、「定規どおりにそろっている」が regular。入り口は同じ1本の線です。

ちなみに、綴りは reg なのに発音は「レジーム」。これは regime がフランス語を通って英語に入ったからです。regular(レギュラー)がラテン語から直接入ったのとは、通ってきた道が違います。同じ家族でも、育った国が違うと話し方が変わる・・・そんなイメージで捉えておくと忘れません。

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regime の基本の意味と使い方

regime は「政権」「体制」「統治のしかた」を表す名詞です。

  • the military regime(軍事政権)
  • regime change(体制転換)
  • the previous regime(前体制)

英語ニュースでの regime は、government(政府)よりも少し距離のある言い方で、批判的なニュアンスを帯びることが多い語です。「あの体制」「あのやり方」と、外から眺めている感じ。government が中立なのに対して、regime には書き手の目線が入りやすい、と覚えておくと読み違えません。

もうひとつ、政治以外にも使われます。

The company introduced a new management regime.
(その会社は、新しい管理体制を導入した)

会社や組織の「運営のしかた・体制」という意味です。こちらはビジネス文書でも見かけます。

使い分け|regime・regimen・regiment

ここが regime のいちばん紛らわしいところです。この3語は、すべて同じラテン語 regere から生まれた三つ子で、英語に入ってから役割が分かれました。

単語意味使う場面
regime政権・体制政治・組織の運営のしかた
regimen養生法・療法・決まった進め方健康・トレーニング・治療
regiment連隊軍隊の部隊

迷いやすいのは regime と regimen です。

運動や食事、スキンケアの「決まったやり方」を指すときは、本来 regimen を使います。

Her doctor suggested a gentle exercise regimen.
(医師は、無理のない運動プログラムをすすめた)

実際には regime をこの意味で使う人もいて、英語圏でも「よくある混同」として話題になります。ただ、書くときは regimen が無難です。

三つ子がここまでこんがらがるのは、歴史的な事情があります。19世紀の終わりごろまで、英語ではこの3語がきちんと区別されずに使われていました。いま私たちが見ている「きれいな使い分け」は、わりと最近できたものなんです。

“reg(まっすぐ導く)” でつながる単語ネットワーク

reg が「まっすぐ導く」だと分かると、まったく別ジャンルに見える単語が一気につながります。

単語意味イメージ
regular規則正しい・いつものregula(定規)=線に沿っている
regulation規則・規制定規どおりにそろえる決まり
regulate調整する・規制する線に沿うように整える
region地域線を引いて区切られた範囲
reign治世・君臨するregnum(王国)=王が導く範囲
regal王の・堂々としたrex(王)=まっすぐ導く人
correct正しい・訂正するcom(すっかり)+reg=まっすぐに直す
direct直接の・指示するdi(離れて)+reg=まっすぐ向ける
erect直立した・建てるe(上へ)+reg=まっすぐ立てる
rectangle長方形rectus(まっすぐ)+angulus(角)

correct(正す)、direct(まっすぐ向ける)、erect(まっすぐ立てる)。この3つが並ぶと、reg が「まっすぐ」の意味だということが、理屈抜きで腑に落ちてきます。

「正しい」と「まっすぐ」が同じ語源というのは、考えてみると不思議ですよね。曲がっていないことが正しいこと・・・そういう感覚が、言葉の奥に残っているわけです。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
regime名詞政権・体制レジーム
regimen名詞養生法・療法レジメン
regiment名詞連隊レジメント
regime change名詞句体制転換レジーム・チェンジ
ancien régime名詞句旧体制(フランス革命前)アンシャン・レジーム
regular形容詞規則正しい・いつものレギュラー
regulation名詞規則・規制レギュレーション
regulate動詞調整する・規制するレギュレイト

TOEIC・英検での出題傾向

正直に書くと、regime そのものは TOEIC での出題頻度は高くありません。政治色が強い語なので、ビジネス中心の TOEIC では出番が限られます。

むしろ TOEIC で繰り返し出るのは、同じ一族の regulation・regular・regulate のほうです。

  • safety regulations(安全規則)
  • government regulations(政府の規制)
  • on a regular basis(定期的に)
  • regularly scheduled maintenance(定期メンテナンス)

Part 5 の語彙問題・品詞問題で、regular(形容詞)と regularly(副詞)の選択を問われる形が定番です。

regime を読み物の中で見かけるのは、英字ニュースや英検準1級以上の長文。「政権・体制」の意味さえ押さえておけば、文脈で十分に読めます。あわせて、regimen との取り違えにだけ気をつけておけば大丈夫です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. The old regime finally came to an end.
  2. Under the new regime, everyone has a voice.
  3. A regime is only a set of rules that someone once chose.
  4. The company moved to a flexible work regime.
  5. You are allowed to question the regime you live under.
  6. No regime lasts forever, and that is a kind of hope.
  7. Historians still debate why that regime fell.
  8. The new regime gave teachers more freedom in class.
  9. If the regime around you does not fit, you can look for another place.
  10. Every regime starts with a small decision someone made.

語源メモ|regimen から来た regime、regula から来た regular

regime は、1792年ごろにフランス語 régime から英語に入りました。さかのぼると古フランス語 regimen、さらにラテン語 regimen(統治・導くもの・舵)。その元が、動詞 regere(まっすぐ導く・治める)です。

いっぽう regular は、ラテン語 regularis(規則にかなった)から。その元は regula(定規・まっすぐな木の棒)で、これも regere から生まれた名詞です。

つまり2語の関係は、こう整理できます。

  • regime ・・・ regere → regimen(統治)→ フランス語 régime → 英語
  • regular ・・・ regere → regula(定規)→ regularis → 英語

通ってきた道は違うけれど、出発点は同じ regere。さらにさかのぼると、印欧祖語の *reg-(まっすぐ進む)にたどり着きます。この根から、rex(王)・rectus(まっすぐな)が生まれ、そこから regal・reign・correct・direct・erect・rectangle まで広がっていきました。英語でも屈指の大家族です。

なお、冒頭でふれた regime・regimen・regiment の三つ子も、すべてこの regere 由来です。ラテン語の1つの動詞が、フランス語経由・ラテン語直輸入・後期ラテン語経由と、別々のルートで英語に入り、それぞれ別の意味を引き受けた・・・そういう成り立ちです。

まとめ

regime は regere(まっすぐ導く)から生まれた「統治のしかた・体制」。おなじみの regular(レギュラー)と、根っこは同じです。

  • 意味の中心・・・reg=まっすぐ導く、まっすぐにそろえる
  • 覚え方のヒント・・・定規を当てて、まっすぐな線を引く
  • 統治の一族・・・regime/regimen/regiment/reign/regal/region
  • 規則の一族・・・regular/regulation/regulate
  • まっすぐの一族(rectus=まっすぐな)・・・correct/direct/erect/rectangle
regime の語源ワードマップ。中心は regime(=まっすぐ導く・統治する)で、ラテン語 regere(まっすぐ導く)に由来すると示す。覚え方のヒント(定規を当ててまっすぐな線を引く)、統治の一族(regimen / regiment / reign / regal / region)、規則の一族(regular / regulation / regulate)、まっすぐの一族(correct / direct / erect / rectangle)の4クラスタに整理した図。

まっすぐにそろえること。それが、治めることの始まりでした。自分の毎日をどう導くかも、きっと同じところから始まります。

NAWL(New Academic Word List)・BSL(Business Service List)収録語

この単語は NAWL(学術) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。学術英語でもビジネスでも頻出する、汎用性の高い一語です。

出典:New General Service List Project

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翻訳練習の解答

  1. 古い体制は、ついに終わりを迎えた。
  2. 新しい体制のもとでは、だれもが声をあげられる。
  3. 体制とは、だれかがかつて選んだ決まりごとにすぎない。
  4. その会社は、柔軟な働き方の体制へ移行した。
  5. 自分が身を置く体制に、疑問を持っていい。
  6. どんな体制も永遠ではない。そのことが、ひとつの希望でもある。
  7. なぜその政権が倒れたのか、歴史家たちは今も議論している。
  8. 新しい体制は、教師たちに授業での自由をより多く与えた。
  9. まわりの体制が合わないなら、別の場所を探していい。
  10. どんな体制も、だれかの小さな決断から始まっている。