「バイオテクノロジー」のバイオ。職場や学校で耳にする「ダイバーシティ」。どちらも、もう日本語の一部になっていますよね。
この2つをくっつけると、biodiversity(生物多様性)になります。長くて身構えてしまう綴りですが、中身は知っているカタカナ2つの合体です。
この記事では、前半の bio(生命) に光を当てます。bio がわかると、生物学・伝記・抗生物質・共生といった、一見バラバラな単語がひとつの家族に見えてきます。
※ 後半の diversity(多様性)の中にある vers(向く・回る)については、diverse の記事でくわしく扱っています。あわせて読むと、biodiversity が「生命」と「向き」の2つの家族が出会う単語だとわかります。
biodiversity を分解してイメージで覚える|「バイオ」+「ダイバーシティ」
biodiversity をパーツで見ると、こうなります。
bio(生命)+ diversity(多様性)
さらに diversity を開くと、
di(離れて・別々に)+ vers(向く)+ ity(〜であること)
まとめると、「生命が、それぞれ別々の方向を向いていること」。森の中で、鳥も虫もキノコも、みんなちがう方向を向いて、ちがう暮らし方をしている・・・その「ちがいの豊かさ」をひとことで表したのが biodiversity です。
覚え方は、カタカナのまま足し算するのがいちばん早いです。
バイオ(生命)+ ダイバーシティ(多様性)= 生物多様性
この単語は、パーツの意味がそのまま全体の意味になる素直な語です。分解さえできれば、もう怖くありません。
biodiversity の基本の意味と使い方
biodiversity は「生物多様性」を表す名詞です。ある地域や地球全体に、どれだけいろいろな生き物が、いろいろな形で暮らしているかを指します。数えられない名詞なので、a は付けず、複数形にもしません。
- protect biodiversity(生物多様性を守る)
- biodiversity loss(生物多様性の損失)
- rich in biodiversity(生物多様性が豊かな)
- a biodiversity hotspot(生物多様性の宝庫、ホットスポット)
ニュースでは環境やSDGsの話題とセットで出てくることが多く、「守るべきもの」「失われつつあるもの」という文脈でよく使われます。
diversity・diverse との関係
biodiversity の後ろ半分は、そのまま diversity です。ここは整理しておくと迷いません。
| 単語 | 品詞 | 意味 |
|---|---|---|
| diverse | 形容詞 | 多様な、さまざまな |
| diversity | 名詞 | 多様性 |
| biodiversity | 名詞 | 生物多様性(生命の多様性) |
diversity は人・文化・意見など何にでも使えますが、biodiversity は「生き物」に限った多様性です。職場の「ダイバーシティ」に bio を付けても、人材の多様性という意味にはならないので注意してください。
bio(生命)でつながる単語ネットワーク
biodiversity の頭の bio は、ギリシャ語 bios(生命・人生)から来ています。ここを押さえると、こんな単語が一気につながります。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| biology | 生物学 | bio+logy(学問)=生命の学問 |
| biography | 伝記 | bio+graph(書く)=人生を書いたもの |
| autobiography | 自伝 | auto(自分)+biography=自分の人生を書いたもの |
| antibiotic | 抗生物質 | anti(対抗)+bio=細菌の生命に対抗するもの |
| symbiosis | 共生 | sym(共に)+bios=共に生きること |
| biodegradable | 生分解性の | bio+degrade(分解する)+able=生き物の力で分解できる |
| microbe | 微生物 | micro(小さい)+bios=小さな生命 |
| biotechnology | バイオテクノロジー | bio+technology=生命を扱う技術 |
「bio が入っていたら、たぶん生命や人生の話」・・・そう見えるようになると、初めて見る理科系の単語でも、ぐっと意味の見当がつけやすくなります。biography(伝記)が「人生」の bio だというのは、ちょっとうれしい発見ではないでしょうか。
派生語|biodiversity まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| biodiversity | 名詞 | 生物多様性 | バイオダイバーシティ /ˌbaɪoʊdaɪˈvɜːrsəti/ |
| biodiverse | 形容詞 | 生物多様性の高い | バイオダイバース /ˌbaɪoʊdaɪˈvɜːrs/ |
| biological diversity | 名詞句 | 生物多様性(正式な言い方) | ― |
※ di の部分は「ダイ」と「ディ」の両方の発音があります。
TOEIC・英検での出題傾向
正直に言うと、TOEIC で頻繁に出る単語ではありません。ビジネスの場面より、環境・科学の話題で使われる語だからです。
一方で、英検準1級・1級の長文や、大学入試の環境テーマの長文では見かける機会があります。ニュース英語でも定番の語なので、「読めればいい単語」として押さえておくと安心です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Biodiversity means the variety of life on Earth.
- This small pond is rich in biodiversity.
- Forests protect biodiversity.
- You can support biodiversity by planting flowers.
- Biodiversity makes nature strong.
- Every species plays a part in biodiversity.
- Your garden can be a home for biodiversity.
- Children learn about biodiversity at the zoo.
- Biodiversity reminds us that differences are strengths.
- Just like biodiversity, your differences make the world richer.
語源メモ|1985年に生まれた、新しい言葉
biodiversity は、古い言葉のように見えて、実はかなり新しい語です。1985年、アメリカの Walter G. Rosen が、生物多様性をテーマにした会議(翌1986年にワシントンで開催)を準備する中で、biological diversity を縮めてつくりました。その後、生物学者 E. O. Wilson がこの会議の報告書を『Biodiversity』(1988年)としてまとめたことで、一気に広まります。
なお、biological diversity という言い回し自体は、それより前の1980年に Thomas Lovejoy が使っています。「言い回しを使い始めた人」と「縮めて一語にした人」は別、と整理しておくと正確です。
パーツの出どころも見ておきましょう。
- bio:ギリシャ語 bios(生命・人生)
- diversity:ラテン語 diversitas から。もとは divertere(dis〈離れて〉+ vertere〈向ける・回す〉)=「別々の方向へ向ける」
つまり biodiversity は、ギリシャ語の bio とラテン語由来の diversity を組み合わせた単語です。生まれも育ちもちがう2つのパーツが一緒になって「多様性」を表している・・・言葉そのものが、ちょっと多様性っぽいですね。
まとめ
biodiversity は、bio(生命)+ diversity(多様性)で「生物多様性」。
- bio(生命)・・・biology/biography/antibiotic/symbiosis などの家族へ
- diversity(di+vers=別々の方向を向く)・・・diverse・universe など vers の家族へ
- 覚え方は、カタカナで「バイオ+ダイバーシティ」と足し算するだけ
いろいろな命が、それぞれちがう方向を向いて生きている。そのちがいこそが、自然の強さです。

関連記事(内部リンク)
- diverse の語源(多様な・別々の方向を向く)→ https://isseisuzuki.org/diverse/
- convert の語源 → https://isseisuzuki.org/convert/
- anniversary の語源(vers=めぐる)→ https://isseisuzuki.org/アニバーサリー/
- 【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶術で芋づる式に覚える → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/
翻訳練習の解答
- 生物多様性とは、地球上の生き物の多様さのことだ。
- この小さな池は、生物多様性が豊かだ。
- 森は、生物多様性を守っている。
- 花を植えることで、あなたも生物多様性を支えられる。
- 生物多様性が、自然を強くしている。
- どの種も、生物多様性の中で役割を担っている。
- あなたの庭も、生物多様性のすみかになれる。
- 子どもたちは、動物園で生物多様性について学ぶ。
- 生物多様性は、ちがいこそが強みだと教えてくれる。
- 生物多様性と同じように、あなたのちがいも世界を豊かにしている。
NAWL(New Academic Word List)収録語
この単語は New Academic Word List(NAWL) に収録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project

癒しの色彩心理 イッセーのホームページ
