「レプリカ」という言葉、スポーツユニフォームや美術品の複製でおなじみですよね。綴りは replica。そしてその動詞形が、replicate(複製する・再現する) です。
音だけ聞くと、どうしても「リピート(repeat)=繰り返す」の仲間に思えてきます。リプリケート、リピート。頭が re で始まって、意味も「同じものをもう一度」。これはもう親戚でしょう・・・と言いたくなります。
リプリケート → リピート(repeat)する → 同じものを繰り返す → 複製する
覚え方としてはすんなりします。
ところが、この2語は別の家系です。replicate の意味の中心は、真ん中の plic(折る)。「折り返す」が出発点で、そこから「複製する」までたどり着いた単語なんです。
そして同じ家族には、意外な一語がいます。reply(返信する)。折り返す、だから返事をする。ここまで見えると、replicate がただの難しい単語ではなくなります。
replicate を分解してイメージで覚える|意味の中心は plic(折る)
replicate をパーツで見ると、こうなります。
re(再び・後ろへ)+ plic(折る)+ ate(〜する)
まず手がかりとして使えるのが、「リピートっぽい」という感覚です。実は、これはまったくの的外れではありません。replicate という語が英語に入った15世紀ごろ、この単語はまさに「繰り返す」の意味で使われていました。意味のうえでは、たしかに repeat と肩を並べていた時期があるんです。
でも意味の中心は、あくまで真ん中の plic(折る)。紙を一度折って、同じ形をもう一枚つくる。折り返した先に、元と同じものが現れる・・・それが replicate です。「もう一度(re)折る(plic)」から、「複製する・再現する」へ。
※ 正確には、replicate はラテン語 plicare(折る)から来ており、repeat(re+petere=再び求めて行く)とは別ルートです。「リピートっぽい」はあくまで入り口の手がかりとして使っています。
replicate の基本の意味と使い方
replicate は「複製する」「再現する」を表す動詞です。モノのコピーにも、実験や成果の再現にも使えます。
- replicate a design(デザインを複製する)
- replicate the results(結果を再現する)
- replicate the study in another country(別の国でその研究を再現する)
ポイントは、「ただコピーする」より 「同じ条件でもう一度やって、同じものが出るか確かめる」 という響きが強いこと。科学論文でもビジネスの報告書でも、この意味でよく登場します。
名詞のレプリカ(replica)が「できあがった複製品」なら、replicate は「複製する・再現する」という動きのほうです。
copy・duplicate・replicate の使い分け
近い意味の3語は、こう整理すると迷いません。
| 単語 | ニュアンス |
|---|---|
| copy | いちばん広く「写す・まねる」。日常語 |
| duplicate | 「二重にする」。書類やデータをもう一部つくる |
| replicate | 「同じ条件で再現する」。実験・成果・仕組みに使う |
成功した仕組みを別の場所でもう一度動かす・・・そういう場面は replicate の出番です。
plic(折る)でつながる単語ネットワーク
plic は「折る」。ここを押さえると、まったく別ジャンルに見える単語が一気につながります。
まず、replicate と同じ re(折り返す)グループから。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| reply | 返信する、返事 | re(折り返して)+ply=言葉を折り返す |
| replica | 複製品、レプリカ | 折り返してできた、もう一つ |
| replication | 複製、再現 | replicate の名詞形 |
| replicable | 再現可能な | もう一度折り直せる |
そして、plic(ply・ploy・plex と形を変えます)の広い一族。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| apply | 当てはめる、応募する | ap(〜へ)+ply=折って貼りつける |
| imply | ほのめかす | im(中へ)+ply=意味を中に折り込む |
| employ | 雇う | em(中へ)+ploy=組織の中に折り込む |
| duplicate | 複製する、二重の | du(2)+plic=二つ折り |
| multiply | かけ算する、増やす | multi(多く)+ply=何重にも折る |
| complicate | 複雑にする | com(一緒に)+plic=折り重なってややこしい |
| pliable | しなやかな | 折れ曲がる、柔らかい |
| plywood | 合板 | ply(層)=薄い板を折り重ねた板 |
トイレットペーパーの「2-ply(2枚重ね)」の ply も、この「折る」です。身近なところにも、ちゃんと隠れています。
「plic・ply・ploy が入っていたら、たぶん”折る”話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。
派生語|replicate まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| replicate | 動詞 | 複製する、再現する | レプリケイト /ˈreplɪkeɪt/ |
| replica | 名詞 | 複製品、レプリカ | レプリカ /ˈreplɪkə/ |
| replication | 名詞 | 複製、再現(実験) | レプリケイション /ˌreplɪˈkeɪʃn/ |
| replicable | 形容詞 | 再現可能な | /ˈreplɪkəbl/ |
| reply | 動詞・名詞 | 返信する、返事 | リプライ /rɪˈplaɪ/ |
TOEIC・英検での出題傾向
正直に書くと、replicate は TOEIC の超頻出語ではありません。ただ、Part 7 の報告書・プレスリリース系の長文で「成功モデルを他店舗で再現する」といった文脈で顔を出します。英検なら準1級以上の語彙レベルです。
むしろ実用度が高いのは、同じ家族の apply・imply・employ・reply。こちらは TOEIC でも日常でも出ずっぱりです。replicate を入り口に、この一族ごと手に入れてしまうのが得策です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- The team tried to replicate the experiment.
- You can replicate this success in your own way.
- They replicated the design with great care.
- It is hard to replicate the taste of home cooking.
- Try to replicate the steps you took when things went well.
- The study was replicated in three countries.
- Small good habits replicate themselves over time.
- If you replicate your small wins, a big one will follow.
- She replicated the old painting for the museum.
- What you practice today, your future self will replicate.
語源メモ|「折り返す」から「複製する」まで
replicate は、後期ラテン語 replicatus(replicare の過去分詞)に由来します。replicare は古典ラテン語で「折り返す・折り曲げる」、後期ラテン語で「返答する・繰り返す」。分けると re(再び・後ろへ)+ plicare(折る) で、さらに印欧祖語の語根 *plek-(編む)にさかのぼります。
英語に入ったのは15世紀はじめごろで、当時の意味は「繰り返す」。つまり replicate は、最初から「複製する」だったわけではありません。「複製する・レプリカをつくる」の意味が記録されるのは1882年で、名詞 replication から逆向きにつくられた比較的新しい用法です。実験を再現するという科学の意味は1923年、遺伝子の複製は1957年から。
一方 repeat は、ラテン語 repetere(re=再び + petere=求めて行く・向かう)。印欧祖語の語根 *pet-(飛ぶ・急いで行く)の系統で、plicare とは別家系です。意味が近く見えるのは偶然ではなく、「re(再び)」を共有しているからですが、後半はまったく別物。ここが案外、整理されずに覚えられている部分です。
もう一つ覚えておくと得なのが reply。これも replicare から来ています。古フランス語 replier を経て英語に入り、「言葉を折り返す」から「返信する」へ。つまり、スマホの返信ボタンと美術館のレプリカは、同じ「折る」でつながっています。
なお、complex・perplex のような plex 系は、plicare の兄弟にあたるラテン語 plectere(編む)から。同じ印欧祖語の語根 *plek- にさかのぼる、遠縁の親戚です。
まとめ
replicate は、re(再び)+ plic(折る)+ ate で「もう一度折り返す」=複製する・再現する。
- plic(plicare)・・・折る。apply/imply/employ/duplicate/multiply などの一族へ
- re+plic グループ・・・reply/replica/replication。「折り返す」でひとまとまり
- repeat とは別家系・・・repeat は re+petere(求めて行く)
折り返した先に、同じものがもう一つ現れる。replicate は、その「折り」のイメージを持ったまま、現代の実験室やビジネスの現場で使われています。

- 語源・中心:re(再び)+ plic(折る)+ ate =「折り返して、もう一つ」
- 覚え方のヒント:レプリカ → リピートっぽい → でも中心は plic(折る)
- re+plic グループ:reply/replica/replication/replicable
- plic(折る)一族:apply/imply/employ/duplicate/multiply/complicate/pliable/plywood
関連記事(内部リンク)
- multiply の語源(かけ算する・増やす)→ https://isseisuzuki.org/multiply/
- 【語源で覚える】application|頭の “ap” は、あの “up”?
- 【語源で覚える】explicit の意味|”E” マークの正体は ex(外に)+ plic(折る)
- 【語源で覚える】implicit の意味|「暗黙の」は im(中に)+ plic(折る)で一発
- 【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト
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翻訳練習の解答
- そのチームは、その実験を再現しようとした。
- あなたなら、この成功を自分なりのやり方で再現できる。
- 彼らは、そのデザインを丁寧に複製した。
- 家庭料理の味を再現するのは難しい。
- うまくいったときに踏んだ手順を、もう一度なぞってみよう。
- その研究は、3つの国で再現された。
- 小さな良い習慣は、時間をかけて自分で増えていく。
- 小さな成功を重ねていけば、大きな一つがついてくる。
- 彼女は、美術館のためにその古い絵を模写した。
- 今日あなたが練習したことを、未来のあなたが再現する。
集録語彙リスト
この単語は NAWL(学術) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。学術英語でもビジネスでも頻出する、汎用性の高い一語です。
NAWL(New Academic Word List)集録語
この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project
BSL(Business Service List)集録語
この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project

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